日ごろ運動不足を痛感しているが、ジムに通ってベルトの上を歩いたり、ペダルをこぐのはいかにもむなしい。いずれ、引退してタバコ市の農場に引っ込んだら、毎日近所を自転車で走り回ろうと思っていたが、その日が来るのはまだまだ先のようだ。
最近フィリピンでもサイクリングブームのようで、タガイタイなどに出かけるといつもグループでツーリングを楽しむ人たちが目立つ。私も昔とった杵柄で、週末サイクリングを楽しもうと、しばらく前から、自転車屋さんを探していた。
探してみると意外と高級なマウンテンバイクを売る店が多数ある。特にカーティマ・マーケットには10軒近い自転車屋さんが軒を連ねている。値段的には1万ペソ程度から十数万ペソの高級車まで千差万別だ。詳しく聞いてみると、2万ペソ以上の自転車は油圧ブレーキやショックアブソーバーなど余計なものがついていてプロのバイカー用だ。そこそこ見栄えがして、実用的なものは1万5千ペソも出せば十分と感じた。
店の中には完成品のほか、フレームやリムが天井からぶら下がっているのは昔と同じだ。フレームはアメリカあるいはイタリアブランドだが、ほとんどが台湾製だ。中国製のものは数千ペソ程度の普及用だ。一方、ギアやハブなどの部品は日本のSHIMANOブランドが圧倒している。しかし、これらはマレーシア製だそうだ。私の学生時代はロードレースはイタリア製のカンパニョーロ、サイクリング車はフランスのユーレイなどがあこがれのブランドだったが、まったく影を潜めている。
予算1万5千ペソを告げると、目の前の自転車が丁度だという。カウンターにあったのは2万3千ペソで、何が違うのかと聞くと、フレームのブランド名が違うだけで、品質的には差がないという。ならばと1万5千ペソのに即決した。
家に持ち帰り、中庭においてみたら、中々の存在感だ。最近は雨が多いので試乗するのは先になるかも知れないが、ちょっと乗るのがもったいないような気もする。40数年前の学生時代、サイクリング車といえば、普及品が2万円~3万円で、高級なロードレスは10万円程度して、ため息が出るような美しさだった。値段的には現在も大差がないようだが、ブレーキはディスクブレーキで、ギアは前が3段、後ろが8段で24段ギアとかなりの進化だ(昔は2x5=10段が普通だった)。
サイクリングに必需品のヘルメットと鍵を同時に求めたが、派手派手なシャツは遠慮した。タガイタイはサイクリングのメッカ、適度な勾配があって、上り下りのツーリングが楽しめるので、いつも派手派手なスタイルのサイクリストに遭遇する。マホガニー・マーケットのトロトロ・レストランで腹ごしらえをして、再び自転車にまたがる人々。