「無届老人ホームの闇」2009年4月26日


 昨夜、NHKの「追跡A to Z」という番組で「無届老人ホームの闇」というのをやっていた。生活保護を受けている介護が必要な老人が特別養護老人ホームにも入れず、行くつくところは、全国に600箇所もある劣悪な環境の「無届老人ホーム」しかない、と言った内容だ。またさらに、全国に特養の順番待ちが30万人おり、これら老人はその一部だそうだ。

 特養は従来、貧困層を優先していたが、介護保険の導入以来、富裕な層も平等に扱うべきという建前から、貧困層が行き場を失い「無届老人ホーム」に流れているそうだ。しかも、その「無届老人ホーム」に入居を斡旋しているのが市役所だというのだ。市役所の担当者もそれ以外に貧困介護老人を世話する方法がないのだろう。さらに新規の特養はよりよい環境という掛け声で高級/高額化し、特養に入居の申し込みさえできない貧困層が出ているそうだ。放送の中で識者が「いつのまにこんな日本になってしまったのか」とコメントしていた。

 フィリピンなら生活保護で支給される10万円程度のお金で家賃と食事さらに介護も含めて十分やっていける。ビザ取得のための1万ドル(年金生活者)と施設建設の初期投資が問題だが、これを制度的に解決すれば、これら介護老人に個室や手厚い介護を提供することが可能だ。これは日本のゴミ捨て場に追いやられている老人を救う大いなる慈善事業ともいえる。

 ところで、私のタバコの農場には日本人退職者が一人ロングステイしている。個室、3食、その他すべての面倒を月々4万ペソ (85千円)で賄っている。人手は十分あるので介護が必要になったとしても何の問題もない。彼は新しい家族に囲まれて極めて快適な生活を送っている。これをヒントに思いついたのが、フィリピンにおける介護老人のホームステイだ。

  フィリピンで居室に余裕がある家庭に日本の介護老人を預けるのだ。1ヶ月4万ペソを支払うとすれば、ほとんど無数の人が手を上げるだろう。そして住環境や家庭環境を調べたうえで合格と判断されたら、日本から介護老人を招聘して送り込み、定期的に巡回して満足度をチェックするという仕組みだ。フィリピン人の老人を大事にする心は定評があるから、きっと手厚い介護をしてくれるだろう。ビザの問題はPRAと掛け合って年金や生活保護費だけで退職ビザ発行されるようなアレンジが必要だろう。

 上記の仕組みの問題点は医療の問題だろう。いろいろな病気を抱えているお年よりも多いから、それに適切に対応できるかだ。すくなくとも「無届老人ホーム」よりはましだろうが、色々なところから疑問の声が上がることは目に見えている。日本人がこれならばと思える医療施設や介護施設を整えるとなると、どうしても一人数百万円の初期投資がかかってしまう。既存の施設などを利用してそれをいかに安く押さえるかが鍵だろう。医師を巡回させるなどという仕組みも必要だろう。

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