モール・オブ・エイシアの近く、マカパガル通りにあるシーサイド・マーケット・レストランは以前にも紹介したが、マーケットで食材を買って周辺のレストランで料理をしてもらうという、ユニークな食事どころだ。マーケットにはエビやカニ、ラプラプなどの高級食材が豊富に並び、一方、レストランの数も40~50軒はあろう。コスト的にはあまり安いとはいえないが、この日、10人で飲み物や料理代を入れて、しめて3800 ペソ、一人当たり約350ペソだから、まあまあだ。ここの良いところは量が多く、家へのテイクアウトまでできるところで、大人数の食事にはもってこいだ。支払いはカーネルと私で割り勘、持てるものが払うのがフィリピン流だ。
この日はマム・ジェーンのお兄さんのダシンが奥さんと末の娘を連れてマニラに出てきたので、彼らが憧れるシーサイド・マーケット・レストランに招待した。さらに、ダシンの奥さんの姉夫婦(亭主はトンボイ)も参加して、総勢10人と半分(KIAN)で、三菱モンテーロに乗って出かけていった。10.5人も乗るとさすがにモンテーロも窮屈で、途中運転手役のボボイが交通警官に停められ、車線変更違反をとがめれた際、さらに乗りすぎを指摘された。しかし、この日は、カーネルが一緒だから、こんな交通警官のいやがらせなど、屁でもない。カーネルの名前を告げて「パセンシャカナ-ごめんなさいね」で無罪放免だ。
シーサイド・マーケット・レストランは初体験のKIANは、その大量の食材に目を見張る。特に生きたエビやカニには恐る恐ると手を出して、歓声を上げていた。マーケットのはずれには貝を売る店が固まっているが、この日は正真正銘のアサリと赤貝を発見した。海草は海ぶどうがあるだけだが、これが案外美味だ。
数あるレストランでマム・ジェーンのお好みはフィリピン料理のALING TINYA’Sだ。室内のダイニングを抜けると屋外は木製の工芸家具のテーブルが並んで、生バンドの出演もある。周辺に比べていつもここだけ混んでいるが、果たして他と比べて何が違うのだろう、美味しいのだろうか?フィリピン料理なので私に評価するだけの舌は持ち合わせていないのが残念だ。
10人掛けのテーブルの端にベビー・チェアーをおいてKIANを座らせて、大量の料理に挑戦だ。この時ばかりは皆、正式な食べ方、すなわちカマヤン・スタイル(手で食べる)だ。ホークやスプーンではエビやカニはかったるくてやっていられないようだ。
KIANはめったに味わえないソフトドリンク(スプライト)を飲ましてもらってご機嫌で、イカのリング揚げに舌鼓を打っていた。シーフードなのでフライドチキンは我慢してもらったが、イカの感触が似ているので、ほとんど区別ができていないのかもしれない。
料理は、上から順番にクホール・サ・ガタ(タニシのココナツ・ミルク煮)、活きた小エビのスチーム、車エビのガーリック炒め、マヤマヤのシネガン・スープ、殻入りカキのスチーム、カニのオイスターソース煮、それにイカのリング揚げの7種類、それぞれ二皿ずつ、合計14皿だ。これらをあらかた平らげてしまった彼らの食欲には脱帽だ。
食事の来るのを待っている間に、退屈しのぎにパパ・カーネルとその辺をうろちょろしていたKIANの目に止まったのが光のおもちゃだ。電池でチューブを回転して、変わった光の模様と曲を流す。好奇心の強いKIANは欲しくてたまらない。150ペソとかなり高価で、デビソリアなら50ペソで買えるとママ・ジェーンはそう簡単にはうんと言わない。しかし、物欲しげなつぶらな瞳に、結局勝敗はKIANにあがった。ここでKIANが泣きわめいたら負けだったが、 KIANはひたすらおもちゃを見つめて、勝ち取ったのだ。転んでもただでは起きないママ・ジェーンは売り子に100ペソにまけさせて、パパ・カーネルに払わせていた。