先日書いたセックス・ビデオ・スキャンダルの事件は、その後ますます激しく巷の話題を独占し、一種の社会現象と化している。芸能人のスキャンダルなどを専門に取り上げるSNN(Showbiz News Ngayon)というニュース番組がある。司会はかの元大統領、Cory Aquinoの娘のKris Aquino(下写真右)。週一回の番組だったが人気上々で、今では毎日放映している。その番組に毎日のようにこの「セックス・ビデオ・スキャンダル」が取り上げられているのだ。
先日第2回目の聴聞会が上院で開催された。必死に息子の無実を訴える母親(写真下左)と神妙に聞き入る話題の張本人のHyden Jr. Kho(写真下右)、二人ともここまで話題が大きくなると、神の裁きに頼るしかない。
Hayden Jr.に、セクシーコメディアンであるRuffa Mae(写真下右)を寝取られた男優も登場したが、彼女自身は沈黙を守っている。ビデオに登場した他の女優あるいは女性達も恥ずかしさに耐えて沈黙を守っているが、Katrina Halili(後述)だけが訴訟を起こし、いきまいている。人々は、そんな彼女をレベルの低い女だからと白い目で見ているが。
一方、第3者であるはずの有名人も話題に登場している。Hayden Jr. のガールフレンドでビューティ・クリニック「Belo」のオーナーのVicki Beloと女優のRosana Roches(写真下右)の確執だ。Rosana Rochesは幾多の有名女優を輩出したことで有名な伝説のナイトクラブ「ペガサス」出身で、以前Beloの広告モデルをしていた。彼女がオーナーである Vicki Beloの悪口をテレビでべらべらと喋ったので、Vicki Beloは彼女を告訴したが、寸でのところで却下されてしまった。今度はロザナ・ロシェスがボーイフレンドのスキャンダルで苦境に立つVicki Beloを「ざまあ見ろ」とばかりに攻撃しているのだ。もっとも、彼女はその毒舌でテレビのトークショーで人気を博していたので、今が出番とばかりにしゃしゃり出てきたのだろう。
Hayden Jr.の攻撃の先鋒となっているのが、Katrina Haliliだ(写真下)。彼女は、Hayden Jr.、Bistic Rosario、Eric Chua、Vicki Belo、Hayden Jr.の母親など、関係者全員を告訴の対象としている。ちなみにBisticとEricはビデオの流出に関わったHayden Jr.の友人だ。
KatrinaはFHMという男性誌の人気モデルNo.1で、今フィリピンで最もセクシーな女優とされている。そんな女優の本番ビデオが流出したのだから、話題になるのも当然だ。しかしこのスキャンダル以降、彼女への出演依頼は皆無となり、彼女としても大損害を被っているのだ。
彼女のボーイフレンドは歌手で、近々アルバムを出すことになっている。タイトルは「Careless Whisper」。奇しくも彼女がビデオの中でセクシーダンスをしている折に流れていた曲がこの「Careless Whisper」だった。人々はこの歌を聞くと、彼女のセクシーダンスを思い出す。まさにこの曲はこの事件の主題歌となってしまっているのだ。それをボーイフレンドが歌っているのだから、皮肉なものだ。
この事件がとんだところに経済効果をもたらしている。キアポなどの下町ではこの手の流出セックスDVDは20~30ペソで手に入れることが出来る。しかし、No.1セクシーモデルの本番DVD(写真上)ともなれば、200ペソという高値でも飛ぶように売れた。そのため、DVDのベンダー(売り子)は子供達の新学期の準備も出来たと、たいそう喜んでいる(ちなみにフィリピンでは6月が新学期で、その準備に親達は頭を悩ますのが通例だ)。しかも、DVD販売で潤ったために街で引ったくりの被害が激減したという。そのため、ベンダー達は国家警察に対して、是が非でも取り締まりの手を緩めるよう懇願してやまないそうだ。