フィ リピンは群島国家であり、船の便が各都市を結んで便利に旅ができる。しかしルソン島などそれぞれの地域では中長距離の旅をする場合はバスか車に限定される。鉄道はマニラとレガスピを結んでいるが、遅く、汚く、安全でないということから、一般の人は使わない。一方他の島には全く鉄道がない。バ スの便にはフェリーを乗りついでダバオまで2日がかりで行くものもあるが、船のほうがはるかに快適だ。ルソン島内のもっとも遠いところ、北のラワグ、南のレガスピ、それぞれ500km程度の距離で、10時間程度で結ばれている。夜の7時~8時ごろに出発して早朝到着するので時間の無駄がない(昼間の便もあるが時間がかかる)。値段はバスのグレードによるが、片道で500~1000ペソ程度だ。疲労ということを考えると一番高いバスを選んだほうが無難だ。それ以上の遠距離は船か飛行機ということになる。
アラネタセンターバスターミナルは南へ向かうバスの総合ターミナル
同ターミナルでバスを待つ乗客
同ターミナルのバス会社ごとのチケット売り場
バスターミナルはマニラ市内にあちらこちらに分散され、バス会社毎あるいは行き先毎に異なる。最大のターミナルはEDSA通 り沿い、アラネタコロシウムのあるケソン市クバオにあり、南北行きのたくさんの会社のバスが発着し、一大ショッピングセンターともなっている。マニラの 南の県であるカビテ方面のバスはバクララン、ラグナ、バタンガス方面はアラバン、さらにフィルトランコをはじめとするバス会社各社のバスターミナルはパサ イ市に集中している。大変わかりにくいので、初めてのときは是非、フィリピーノと同行してほしい。
フィルトランコのバスは清潔で運転も確か(パサイ市エドサ通り)
JAMのバスターミナル(タフト、パサイ市)
BBLのバスターミナル(タフト、パサイ市)
バギオ/ダグパン行きバス(クバオ、ケソン市)
バ スの切符は原則、ターミナルで買う必要があり、電話での予約は受け付けていない。短距離であればたとえエアコン無しのバスでも何とか我慢できるので、あ らかじめ切符を求める必要はない。最寄りのターミナルへ行って切符を求め、少し待てば乗れる。しかし長距離となるとエアコン付のデラックスバスで ないと疲れるので、数日前に切符を買わなければならない。特にホリーウイーク、クリスマスなど皆が田舎へ帰るシーズンになると席を確保することは至難の 技となる。長距離バスもでもピンからキリで、バスに乗られさえすればよいという向きには、当日早めにターミナルへ出向けばなんとかなるだろう。ただ し安いバスに乗るときは決して金目のものは持っていかないほうがいい。寝ている隙になくなってしまうことがありえる。
ビコール地方行きのバスの価格表(フィルトランコ)
ダバオ行きのバスもある、ビコール、サマール、レイテ、ミンダナオとフェリーを2回乗り継いでフィリピンを縦断する(フィルトランコ)
長距離バスは2~3時 間ごとにトイレや食事のために停まってくれる。それぞれ契約のお店があるようで、路線あるいはバス会社ごとに同じドライブイン(のような所)に停まる。乗務員の食事の席はちゃんと決まっており、只だ。乗務員がへそを曲げると停まってくれなくなって、レストランは、客がいなくてあがったりになるから優遇されるのだ。こんなところでもしっかり潤滑油(コミッション)の原則が活きているのだ。
もともとフィルトランコは赤い車体だったが経営危機を乗り越え、白に模様替えをした
長距離バスのエアコンは調整ができないのか、やたら冷えて困る。このときは日本から来る時に着てきたジャケットが役に立る。毛布も貸してくれるが、ジェケットと長ズボン、それでさらに毛布に包まって一晩を過ごす。席は3列 でリクライニングも効いて快適なのだが、一晩寝るとなるとお尻が痛くなるのが弱る。少し安いバスに乗ると一見リクライニングもエアコンも効いてよさ そうなのだが、運転が荒くて往生したことがある。普段めったに酔うことなどないのだが、ハンドルの切り方が急で、1時間くらいで酔ってしった。これから9時間どうしようかと途方にくれたものだ。それ以来、常に一番高いバスに乗るよう心がけている。
フィルトランコの脇にある弱小バス会社のターミナル、安さで客を横取りしようという作戦
高速道路を失踪するバス(RABBIT)
マニラーレガスピ(タバコ)の路線を運営しているバス会社は多数ありますが、大手のフィルトランコはゴールデンクラスを900ペソで提供しており、寒さを除けば快適な旅ができる。一方、カグサワ(カグサワ教会跡とマヨン火山の風景で有名なビコール地方の名所)とう地元のバス会社で同じ900ペ ソだが、寒くないだけメリットがある。ところがこのカグサワバスでマニラに行ったとき、置いてきぼりを食ってしまったのだ。ちょっと寝ていたのだがバスが停まっていることに気づき、あわててトイレに行った。すっきりして出てきたらバスがいないのだ。ここのバスは必ずしも客の確認をしないで 出発することが多々ある。途方にくれていたのだが、やはりマニラ行きのカグサワバスがいて、それに乗せてもらい、電話連絡の末、少し先で追いついて 無事に乗れた。この会社は近隣の都市から出発するマニラ行きの複数のバスが連なって運行しているのだ。バスが故障したり、事故にあったり、あるいは 賊に襲われたりしたときの用心としてこのような対策を行っているのだそうだ。このような客を大事にするマネージメントのおかげで、カグサワバスを愛好する人が 多く、残念なことにいつも満員なのだ。
私が良く使ったカグサワバスのチケット売り場