フィリピンのTV番組を見ていると、ニュース、歌謡ショー、クイズ、トークショー、スポーツ中継、等がほとんどだ。日本のNHKでやるような教養番組はまったく見当たらない。特にトークショーでは女優のスキャンダルや打ち明け話がほとんどで、有名女優が恋人や亭主にひどい目にあったと、涙ながらに語っている。それを、大衆は固唾を呑んで聞いているのだ。
国民的スポーツのバスケットボールは絶え間なく中継されている
フィリピンのニュースキャスターもご多聞にもれず美人が多い
今やトップスターにかけのぼったコーリー ・アキノ元大統領の娘のクリス・ アキノも元有名男優でパラニャケ市長だったジョイ・ マルケスとの恋の顛末をTVで語り、ますます人気を博すことになったほどだ。元ペガサス・ナイトクラブでホステスだったロザナ・ロシェスも自分のプライバシーを公開することにより大スターになっている。フィリピンの人々は他人の恋の行方に大変興味を持っており、それが娯楽であり、そしてまた寛容なのだ。
プライバシーをとうとうと語る新進気鋭の美人女優
トークショーでは聞き役が大事、ズバッとポイントをついてくる
私はNHKの、半導体、地球、などの特別番組シリーズ、あるいは最近の世界遺産シリーズなど興味深く見ている。ところがこのような教養番組はフィリピンのTVではまったく見かけることがない。一度、フィリピン人の友人からリニアーモーターとは何かとの質問を受けた。われながらよどみなく答えたのだが、相手は最新のテクノロジーに対する私の知識に驚嘆していた。日本人なら誰でも知っていると思うのだが、なぜか?それはTVからの知識なのだ。いかにTVが教養をつけるのに役に立っているか痛感するのだ。
闘鶏のTV中継も人気番組の一つ
一方、フィリピン人大衆は女優のスキャンダルにうつつを抜かしているから、その手の教養は身につかない。あるいはメディアを牛耳る経済界のリーダーが、あえて国民に教養をつけるのを阻害しているのではないか、愚民政治をもくろんでいるのではないか、と疑いたくなってしまう。フィリピンの大衆の貧困については語る必要もないが、その貧困にもめげず、楽しく暮らしていくためには、余計な教養は邪魔なのかも知れない。他人の不幸や幸せ、特に恋物語にため息をつき、自分のおかれた状況の真の原因には目をむけない、というのがこの国で幸せに暮らしていくコツなのだろうか。
最近、50%近い視聴率を上げているテレビ番組がある。GMA局のマリマールというドラマで、新人の美人女優が人気だ。ストリーリーはメキシコのもので、不遇な女性が親の遺産を引き継ぎ富裕になるというものだが、毎日その時間になると夜の町から女性が消えてしまうとまで言われている。
新人女優のマリアン・リベラは10代の大型新人女優
10年前、ジュディアン・サントスが主演して社会現象とまでなった「エスペランサ」以来のお化け番組となっている「マリマール」