首都圏、そしてフィリピンの封鎖に伴いSRRVを保持してフィリピンに在住している方から、問い合わせが相次いだ。当方にとりわけ情報が入ってくるわけではないのだが、日本大使館とPRAからの情報を注視して私の見解を織り交ぜて役に立つ回答となるように心がけている。そのいくつかは、フィリピン在住SRRV保持者にとって共通な疑問だと思うので、紹介したい。
1.フィリピン在住者の国外退去は必要なのか?
3月20日に発令された PRA通達 によると、外国人の入国制限は日本を含む全ての外国人を対象としたもので、これから入国を計画している場合はまだしも、すべてのビザを取り消すという文言に、フィリピン在住の自分も国外退去になるのかと戦慄が走った。これを聞いたキアンはダダも日本へ帰るのかと涙ぐんでしまったくらいだ。
3月20日午後2時受信:志賀さん、こんにちは。ご無沙汰しております。
今回のCOVID-19、コロナウイルス感染防止対策の一環で、昨日に新規ビザ発給停止、発給済みビザ一部が無効になったニュースを読みました。
質問させていただきたいのですが、SRRVは無効措置の対象外という理解でよろしいでしょうか?また、9aを延長している私の後輩は、現在フィリピンに滞在中ですが、今回の措置で延長手続きができなくなったと思います。このまま措置が終わるまでフィリピンに滞在してもいいのか、日本に帰国しなければならないのか、判断に困っております。
3月20日午後3時回答:特に根拠はないのですが、SRRVは対象外だと思っています。PRAの職員に聞いてみますが、返事をもらえるかどうかわかりません。9aについては、この状況から、延長はできないと思います。そうなると出国しなければならないことになりますが、飛行機が飛ぶかどうか、チケット取れるかどうか、空港にに行けるかどうか、確信はないですよね。仮に出国が困難で、そのままフィリピンに滞在したとして、後日処罰されるということがあるとは思えません。動けば動くほど感染のリスクは高くなるので、この際、じっとしているのが一番ではないでしょうか。ルソン島の封鎖は人が動くのを防止するのが趣旨だと思うのでジタバタしないほうが良いと思います。
3月20日午後7時回答:大使館情報を入手したので転送しました。SRRVも9aもこのままフィリピンに滞在可能です。ただし、SRRVを含むいかなるビザを保持していようともフィリピン人の配偶者と政府筋の外国人以外は入国できないようです。理にかなった処置だと思いますが、さらにDFA(外務省)発行の大元の入管通達を入手したので送付します。
2.SRRVは将来とも有効なのか?
3月19日発行された入管通達(SRRVも含めてすべてのビザを取り消すという処置)は、現状が回復した後も有効なのか、それがYESだとしたら、SRRVも政府の意向でいつでも取り消すことができるわけで、無期限有効・出入国無制限というのは謳い文句でしかありえず、SRRVの信用は失墜して存在価値を失ってしまう。
3月27日受信:志賀様 その節は、SRRV取得の為に親子で大変お世話になりました。いかがお過ごしですか?お伺いしたい事があり、ご連絡させて頂きました。私共は、コロナウィルスの影響を懸念して、3月19日より日本に一時帰国をしておりまして、その後、全てのVISAの無効を知りました。SRRVも再度取得し直す必要があるのでしょうか?もしくは、一時停止が解除されれば有効になるのでしょうか?お忙しい所、恐縮ですがご回答よろしくお願い致します。
3月27日回答:ご無沙汰しています。PRAは、3月19日「コロナ感染防止策の一環として、すべてのビザを無効とし、外国人(フィリピン人の配偶者と政府関係の外国人を除く)の入国を禁止する」という入管の通達に対して、PRAとしてSRRVの有効性を再確認するためのPRA通達を発効しました。一体何が言いたいのかわかり難いのですが、要約すると「SRRVは引き続き有効であるものの、現状の封鎖状態が解除されるまで、例えSRRVを保持している外国人でもフィリピンへの入国は出来ない」と言う事です。
3.SRRVは永住ビザ(Permanent Resident Visa) なのか ?
兼ねてからSRRVは永住ビザであるということに何の疑問も持たなかった。取り消さない限り死ぬまで有効なビザなら永住ビザと呼んでも何の差支えもないだろうと。ところが今回のコロナ騒ぎで、その解釈が大きな分かれ目となった。2月3日に発行されたPRA通達では、中国経由の外国人はフィリピン人と永住ビザ(Permanent Resident Visa)保持者を除いて入国を認めないとしたのだ。そこで当然、SRRVは永住ビザの範疇であろうと考えたのだが、入管の判断は以外にもNOだったのだ。
3月31日受信: 志賀様 ご無沙汰しております。今回の騒動でフィリピン政府は外国人の入国規制を行っております。3月19日以前の例外項目の中で永住ビザを持っている者となっておりました。SRRV保持者はSRRVは永住ビザと考え、簡単に再入国出来ると考え 帰国した方が多くいます。3月19日の新たな方針で永住ビザ保持者が例外項目から削除されSRRV保持者も一連の措置が解除されるまでは入国は出来ない事がはっきりしました。SRRVのマーケッターの中にはSRRVは永住ビザと謳ってる業者もおります。しかしSRRVは永住ビザでは無く、期限なし長期滞在ビザと言うのが本当の様です。フィリピンの法体系の中で どの法律でSRRVが規定されているので しょうか?
3月31日回答:ご無沙汰です。確かに今月はじめから入管ないしPRAの言うことが毎日のように変わり混乱の極みでした(パスコ・ブログ 参照)
ご質問の、「SRRVは永住ビザ(Permanent Resident Visaなのか」ですが、例の通達が出た時、私もSRRVは当然永住ビザなので入国を制限されないと思っており、早速PRAに確認したのですが、「入管はNoと言っている、PRAとしては、Yesだと主張して抗議している」という思いがけないものでした。
そうこうしているうちに、入管は「いずれのビザを保有していても、フィリピン人の配偶者を除く外国人の入国を禁止」したので、その議論はウヤムヤになってしまいました。
そもそも永住ビザないしPermanent Resident Visaというビザは存在せず俗称にすぎません。Non Immigrant ビザの一つである9gビザをワーキングビザと呼んだり、9aビザをツーリストビザと呼んだりしているのと同じです。SRRVはSpecial Visaの範疇にはいり、その定義は「無期限有効、出入り自由な特別滞在退職ビザ」が正確な表現です。SRRVが永住ビザの範疇でないとしたら、永住ビザとは、Immigrant ビザであるクオータビザや13a(婚姻ビザ)を指すことになるのでしょう。
私の推察ではビザのことをよく知らない大統領の側近が、あのような曖昧な用語使ったのではないでしょうか。それで各方面から問い合わせが殺到して、慌てて具体的なビザの名称を列挙した 入管通達 を出し直したのでしょう。
SRRVは法的にはExecutive Order No. 1037 1985年施行に規定されています。2009年にPRAが発行した小冊子(60ページ)がありますが、その17ページに定義として(non-immigrant and allowing multiple entry and residence for an indefinite period) という記述が載っています。
これが永住ビザ(Permanent Resident Visa)なのかどうか議論してもあまり意味のないことのように思えます。そもそも永住ビザの定義が曖昧あるいは無いし、確かに永住という言葉は頻繁に使われていますが、永久に生きられる人間なんていないのですから。