早いものでKIANも来年の3月には3歳になる。この半年、KIANの会話能力はめざましい成長を遂げ、周囲との会話を楽しんでいる。タガログ語が混じると、すぐにママ・ジェーンのチェックが入るが、自分の意思をしっかりと言葉で告げることができる。そして話題のGANGNAM STYLEを独特のステップで踊って周囲を沸かせる。
先日のPRAのクリスマスパーティでは、いろいろな珍しい催しに目を輝かせる。
保育園で教えてもらうらしいが、食事前のお祈りも英語で暗記しているほどで、KIANの知識は著しく成長をとげている。そんな時、KIANを保育園に通わせることを進言した私は得意げに、{子供がが興味を持っていることにチャレンジさせ、決して「まだ早い」とか、「礼儀が悪い」とか、大人の既成概念で子供を縛ってはいけない、かれらは無限の成長の可能性を持っているのだから}と、しつこく繰り返す。
ポールダンサーには、まさに興味津津だ
一方、 KIANのやんちゃぶりは、ますます磨きがかかり、ママ・ジェーンも手を焼いている。先日、保育園の年上の園児にかみついて血を流させてしまうと事件が起きた。ママ・ジェーンはその園児の母親から抗議を受け、さらに父兄会の要求でKIANが保育園を退学させられるのではないかと心配した。
パーティの最後のダンシングタイムはママが他の男と踊っているのを見て、抗議をしていた
KIANの両親、すなわちママ・ジェーンとカーネルが保育園にお詫びに行くと、意外にも先生は「KIANは、何も悪くない、件の園児がKIANの勉強を邪魔するので、KIANが怒って、かみついてしまったのだ」と必死にKIANを弁護する。
保育園での作品を得意げに披露するKIAN
さらに、先生の言うことを聞かない生徒に対しては、KIANが制裁を加えて、言うことを聞かせるそうだ。先生は父兄の手前、子供を叱ることが難しい。だから、すっかり先生の頼られる存在になっているそうだ。
クラスの嫌われ者のはずのKIANにはクリスマスパーティではクラス全員からプレゼントが寄せられるなど、皆に慕われ、すでにクラスをしっかり束ねてしまっているようだ。
誤ってトウガラシを食べてしまい、その辛さに泣叫ぶKIAN
KIANの性格はどう見てもママ譲りだ。ママ・ジェーンの弟のボボイにジェーンの幼少の頃のことを聞いた。ボボイは、「彼女は中国人の父親に甘やかされて、とんでもない乱暴者で周囲に嫌われていた」と評する。ジェーンの母親(マミー)は必死にその性格を矯正しようとしたらしいが、なかなか思い通りにならなかったらしい。その結果、マミーの劣等生だったはずのジェーンを、今では兄弟、皆が頼りにする、頼もしい姉御に育っているのだ。
デパート遊技場で画面の車を運転するKIAN。きっと映画CARSの主人公のつもりなのだろう。
マミーはきっと、ごく当たり前の母親なのだろう。子供の悪いところは容赦なく叱って、矯正しようとする。癇癪をおこして、ただ怒っているようにも見えるが、大人しくて、やさしくて、素直で、親の言うことを良く聞く理想的な(?)子供に育てようとしているだけなのだ。
行きつけのレストラン「サイカ」で好物の焼きそばを前にして、ポーズをとるKIAN
たしかに周囲を見てみると、みな静かで優しい子供ばかり、やんちゃで強情でわがままな子供はKIANぐらいなものだ。KIANは母親でさえも気に入らないと張り手を食らわすくらいだから、相当の悪だ。しかし、そのあと、「Sorry」と声をかけられると怒る気にもなれないとコメントする。KIANは人の心をつかむ天才でもあり、やんちゃで明るくて活発なKIANは近所の人気者で、誰もが彼を愛している。
パパ・カーネルが業務用の車(パトカー)で帰宅、両親に抱っこされてうれしそうなKIAN
やんちゃ、すなわち、何事にも物おじせず、積極的にチャレンジして、リーダーシップを発揮する、そして周囲に好かれ、頼りにされる性格、これは大いなるタレント(才能)だ。そんな偉大なタレントを、母親や周囲は、悪い子と決めつけて、その芽を摘んで、並みのつまらない人間にしてしまうものなのだ。
再び「サイカ」で食事、今日はつけ麺をほおばる
三つ子の魂百まで、という諺があるが、まさにKIANにとって、この時期は将来のKIANが何者かであるかを決める大事な時期だ。大人のつまらぬ既成概念で子供を縛ったり、伸びようとする芽を摘んではいけない。そうすれば子供は両親を超えて、成長し、末は国家の指導者になることさえも可能となるだろう。