豆辞典 世界最大級モール、SMモールオブエイシア


2006年、マニラ湾の埋立地にアジア最大というSMモールオブエイシア(SM Mall of Asia)がオープンした。オープン当初は空きが目立ったモールも一年経過した現在はほとんど全部埋まって、まさに巨大あるいは広大な、まるで大都市の繁華街がまるまる収まったモールを形成している。この地域は10年以上前に埋め立てられ、その開発が手付かずにいたのだが、モールオブエイシアのオープンに伴って、新興の街並みを形成し始めている。マカティ、オルティガス、ボニファシオについで、首都圏メトロマニラを代表する近代的市街地になるのは間違いないだろう。

CIMG6290sSM Mall of Asiaの正面

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SM Mall of Asiaの外観

 SMとは一代で街角の靴屋からフィリピン最大のデパートチェーンを築き上げた、中華系新興財閥(TAIPAN)ヘンリーシー率いるシューマート(靴屋)と呼ばれるデパートの略語だ。1980年代から急成長を始めたSMは80年代にケソン市にSM Cityをオープンした。まさにCityと呼ばれるにふさわしい、当時としては度肝をぬくようなモール街とデパートだった。さらに90年代初頭にはさほど離れていないマンダルヨン市オルティガスにSMメガモールをオープンした。これまた、まさにメガ級の巨大モールでモールひとつが街を形成することできることを実証したようなものだった。

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中庭では楽団による演奏が客を迎える

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Mall of Asiaの地図

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広いモールを回るために遊覧車が用意されている

 さらに2000年前後にはメトロマニラ郊外のビクータン、スーキャット、アラバン、カビテのダスマリニャス、モリノ、さらに首都マニラの周辺都市、ルセナ市、サンフェルナンド市、バギオ市と絨毯爆撃のように大規模モールを展開していった。老舗マカティ市のSMもリニューアルされ近代的なデパートに衣替えをした。そしてその総仕上げがSMモールオブエイシアなのだ。

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Mall of Asiaの中は広々とした空間が広がっている

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2階の屋根には開口部があり自然光を取り入れている

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中庭はレストランが並ぶ

CIMG9820sハロウインの商品を売る売り子さん

中華系新興財閥(TAIPAN)はスペイン系名門アヤラ家、ロペス家等に代わって今やフィリピン経済を牛耳る巨頭だ。その代表はSMのヘンリーシー、ロビンソンデパートとセブパシフィック航空のゴーコンウエイ、フィリピン航空のルシオタン、そして金融界の王、元駐日フィリピン大使のユーチェンコなどだ。ヘンリーシーはSMデパートチェーンの他、保有しているエクイッタブルPCI銀行とバンコデオロ銀行を合併させてフィリピン第一位の銀行を出現させた。そして、ルシオタンはPNB銀行とアライド銀行を合併させてフィリピン第4位の銀行を出現させるべく画策中だ。ユーチェンコはRCBC銀行を保有している。さらにゴーコンウエイはHSBC銀行を保有している。これら銀行を中核にして経済界に大きな影響を与えているのだ。ちなみに大手銀行の一角BPI銀行はアヤラの持ち物だ。

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モールの内部にはスケートリンクまである

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華麗な(?)スケーティングを披露する女の子

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アイススケートリンクはSMにしかない

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一日280ペソから350ペソという料金はフィリピーノにとって高値の花

SMの競争相手はロビンソンデパートチェーンだ。SMと 同様、首都圏のあちこちに巨大モールを建設し、マニラ周辺にも積極的に展開している。しかしながら、ロビンソンデパートには余り人が人が入っていない。そ れは、ゴーコンウエイの息子さんが半身蛇で、若い娘の生身を食べて生きている、そしてロビンソンの試着室では多くの若い娘が消え去っている、といううわさ がまことしやかにまかり通っているため、若きフィリピーナはロビンソンデパートに足を踏み入れないのだ。そのため、ロビンソンの女性服売り場には店員以 外ほとんど客がいない。

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SMを率いるヘンリーシーの野望は世界へ向かう

 SMモールエイシアに話を戻そう。モールに入ると幅が20メートル位あるゆったりとした通路が続き、中央付近には吹き抜けの広場とスケートリンクがある。さらに中庭に面して数多くのレストランが並んでいる。そして2階に上がって海のほうへ向かうと、マニラ湾の夕日を眺めながら食事という嗜好だろうか、10メートル位のベランダに面してしゃれたレストランが並んでいる。海岸沿いは、まだ建設中だが、近い将来、遊歩道と庭園、そしてスナックや飲み物の売り場が並ぶことになるだろう。

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海に面したベランダを占めるレストラン街CIMG7326s

夜のモール

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有名なマニラ湾の夕日

 SMの外には広大なジプニーとフィルキャブのターミナルがある。モールオブエイシアは交通の要所というよりも市街地から離れたところにあるので、マニラの各地あるいは郊外から直行の交通手段を用意して、客を集めているのだ。また、広大なモールの3、4階が全部駐車場になっていて、数千台の車が収容できる。中に入ってみると外からは、想像がつかない数の人たちが、この美しくてゆったりした街の散策を楽しんでいる。ここは冷房が効いた街そのものなのだ。

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近代的な近隣交通のターミナルを備えている

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