英会話の賢い学び方 2010年11月24日


英語を話す家庭で生まれた赤ちゃんは3歳位になると流暢に英語を話す。ゼロからスタートしたのに、ほとんどの日本人は中高6年間英語を勉強していても、 とてもかなわない。一方、タガログ語にいたっては2~3才の子供が数ヶ月で覚えるところを、当方は15年以上にフィリピンにいても足元にも及ばない。

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(なんとも可愛らしい仕草でミルクを飲むキアンだが、その好奇心は厭きることを知らない)

年を取ればとるほど新しいこと、特に言葉は頭に入りにくいものなのだが、とにかく赤ちゃんそして子供は言語の天才で、すぐに言葉を覚えてしまう。だか ら、彼らに英会話の学び方を教わるのが一番手っ取り早いのではないだろうか。それでは赤ちゃんはどうやって言葉を覚えるのだろう。

生ま れたての赤ちゃんはもちろんどの言葉も知らない。だから最初に話す言葉はバブ・バブやママ・パパで世界共通だ。しかし、この1歳未満の時に赤ちゃんの頭脳 では喋るための準備が目覚しく行なわれているそうだ。赤ちゃんは周囲の言語を聞いて、その言葉を発音するための能力を培い、不必要な能力を削いでいく。例 えば、RとLの発音を日本人は区別できないが、赤ちゃんはそれが出来るのだが、日本語にはその区別が無いので、この時点でRとLを区別する能力を削除して いるのだそうだ。もし、両親が国際結婚のため家庭内で複数の言語が飛び交っているとしたら、両方の言語をネイティブで話す基礎がその時出来るそうだ。だか ら、子供が混乱しないように家庭内では一つの言語に統一しようなどという両親の努力は、子供の能力を削ぐ結果になるだけだ。

そして、1 歳から徐々に単語を発し始め、2~3歳では爆発的に語彙数を増やし、いくつかの単語を連ねた言葉を話し始める。我々が外国で生活するのに必要な会話能力と しては充分なレベルだ。喋ることは食べたり動いたりする人間の基本能力の一つ、だから、脳や器官に異常が無い限り、誰でも能力に関係なく喋ることが出来る ようになる。昔中学や高校で英語が出来た・出来ないなんて関係のないことだ。そもそもアメリカに生まれた赤ちゃんは誰でも英語を話すのだ。

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(今は食べることに熱心なキアン、しかし頭脳は新しい経験でフル回転だ)’

英会話の勉強というとすぐに英会話のフレーズを本で読んで暗記しようとする。フレーズを憶えていれば、それで喋れると思うのだが、実際問題何の役にも立た ないことは皆、経験済みのことだ。果たして赤ちゃんはフレーズを聞いて暗記などしているのだろうか。バブ・バブから始まって、抱っこ、おしっこ、などと体 や心が欲することを言葉で言うだけだ。心に思うことが言葉で出る、ということが大切なのであって、おかれた状況に関係ない本に書いてあるフレーズを繰り返したとしても、英語の知識は身についても会話にはならないのだ。

そもそも、いくら英語の知識を溜め込んだとしても、読み書きは充分で きたとしても、会話は出来ない。フィリピンでは小学校から英語を習い、数学や理科は英語で習う。だから、読み書きの知識は小学校ですでに相当のレベルにあ る。しかし、地方に行くとハイスクールを出ても英語を喋れる人はあまりいない。私立学校出身者は、学校にいるときは英語を喋るように強制されていたから、 皆流暢に英語を操る。知識としての英語と英語で会話をすると言うことは別物なのだ。ちなみに野球の知識をどんなに持っていたとしても実際のゲームでヒットを打つことはできない。言葉を喋るということは運動能力の一部のようなもので、感情や頭に浮かんだことを異なる言語(英語)で表現するというトレーニング を積んで、体で覚えることが肝心なのだ。

当たり前のことだが赤ちゃんに文字は読めない。文字を覚える前に流暢に話が出来るようになる。 大人はなまじ文字が読めるので、英会話の教科書などというものが存在するが、本来そんなものは英語が喋れるようななるためには不要なものなのだ。そもそも 文字の文化は数千年程度のものだろうが、人類は百万年以上前から言葉を喋っていたのだ。会話に不要な文字を介在するから、聞いた文章を文字にして日本語で 解釈し、その回答を英語の文章にしてそれ読んで回答する、というプロセスを繰り返していて、会話が成り立つのだろうか。こっちが回答するころには相手は待 ちくたびれて、そっぽを向いてどこかへ行ってしまうだろう。

CIMG3730s-1(キアンの寝姿は独特だ。この小さな抱き枕を何だと思っているのだろう) 

昔学校で習った英語は知識だから英会話には何の役にも立たない。初めは歯がゆいかもしれないが、赤ちゃんになったつもりで、心に浮かんだことを英語で話し 始めることだ。赤ちゃんと違って言いたいことは色々あるから、表現も複雑になるが、初めはうれしい、悲しい、おなかがすいたとか、単純に表現できることを 心身(しんみ)一体で口に出すことだ。こんなことをしていたのでは、一体いつになったらまともな英会話できるようになるのかと心配にするかもしれないが、 一旦心に浮かんだことが日本語や文字を介さないで出てくるようななったらしめたもので、2~3歳の子供のようにいずれ爆発的に会話能力が発達するだろう。

 私が24歳でシンガポールに赴任したときは、全く英会話が出来なかった。高校ではトップクラスの英語の成績を誇っていたが、そんなことは何の関係もなかっ た。シンガポールのホテルで電話を使いたいので、なんと言ったらよいか先輩に聞いたら、「Can I use telephone」と教えてくれた。知識ではわかっていても、自分が思ったことが出てこないのだ。そして私の英会話修行が始まった。ご承知の通り多人種 が暮らすシンガポールの共通言語は英語だ。だから英語を使う機会には事欠かない。それで仕事が引けて夕飯を終えると、毎晩ナイトクラブに通ったのだ。指名 料が1時間、15Sドル1000円程度で、その間、好みの女の子を独占できる。たわいもない気楽な会話を毎日毎日数時間繰り返しただけだ。もちろん昼間は 仕事で汗をかきながら客と英語で会話しなければならないのが辛かったが、その結果、6ヵ月後には、なんとか話せるようになってしまったのだ。

日本人としてRとLを区別する能力は赤ちゃんの時に捨ててしまった。だから今更RだLだにこだわっても始まらない。出来ないものは出来ないのだ。いつま でも発音がどうのこうのとやっていたのでは、英会話は身につかない。耳から聞いたことが心を経由して口から出て行くのであって、大脳を働かせてはいけな い。発音記号も糞も無い、相手の言葉を聴いてそれをまねする。その時スペルがどうとかは考えないほうが良い。

シンガポールや香港で中国 人の喋る英語は気をつけて聞いていないと、中国語ではないかと思ってしまう。インド人やアラブ人もしかりだ。皆、目一杯、なまった英語を喋っている。だか ら日本式英語があってもいいと思うのだ。ちなみに私にとって一番聞き取りにくい英語はアメリカ人の喋る米語だ。彼らはいくつかの単語をつなげてしまうので すこぶるわかりにくい。例えば 「Put it on the desk」は「プチトンダデスク」と発音するので、何がなんだかわからない。こういう輩と話すときは、おれはお前の言葉で話してやっているのだから、俺の わかるように話せ、ちゃんとした英語を話せと抗議することにしている。

フィリピンは世界で3番目に英語を話す人口が多い国だといわれて いる。ちなみには公用語は英語でフィリピンの法律、契約書、役所への届出や証明書、銀行の振込み・引き出し票などすべて英語だ。一方、フィリピン人同士の 会話はタガログ語やビサヤ語などで、彼らは常に二つの言語を操っている。だから英語がわからないとフィリピンでは全うな社会生活を営むことは出来ない。
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(くしゃみの様子は子供も大人も一緒だ。くしゃみは元来動物に備わった器官から異物を追い出す本能なのだ)

もっ とも効率よく英会話を学ぶ方法は、当たり前のことだが、自分を英語尽くめの環境におくことだ。週に2~3回、英会話教室に行って、その時だけ英会話に親し んでみても何の役にも立たないだろう。オンライン英会話は自分の都合の良い時間に毎日ナマの英語に接することが出来るので、少しはましかもしれない。外国語を覚えるには長い髪の教師にベッドの上で習うのが一番というが、もしフィリピンにロングスティあるいは永住するというならば、英会話をものにするチャン スだ。フィリピンは英語の国だから24時間英語づけになることが出来る。しかもフィリピンで生活するつもりなら、英語は不可欠だから是非チャレンジして欲 しい。必要は発明の母とも言うように、大きなインセンティブになるだろう。

CIMG3808s-1(始めての絵本を手にしてうれしそうなキアン。しかしその直後キアンを絵本を舐め始めてしまった)

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