メトロマニラには3本の高架鉄道が営業されている。一番古いのはLRT(Light Railway Transit)と呼ばれ、北のカラオカンのモニュメント駅から南のバクララン駅までタフト通り、マニラ湾沿いに走る約14kmの路線。二本目はMRT(Metro Railway Transit)と呼ばれ、北のノースアベニュー駅から南のタフト駅まで、エドサ通り沿いに走る約16kmの路線。これらは残りの5kmが完成するとメトロマニラの環状線となる。これに対してLRT2は東のサントラン駅から西のレクト駅まで約12kmを結ぶ路線で、上記環状線のほぼ中央を横断し中央線的役割を果たしている。LRTとLRT2はドレトホセ/レクト駅で、MRTとLRT2はクバオで、MRTとLRTはエドサ/タフト駅で乗り換えることができる。
LRT・MRT路線図
路線図2
MRTブエンディア駅のプラットホームにて
将来、各路線はLRTの北がブラカン方面、南がカビテ方面、LRT2はアンチポロへ延長され、MRTにはパラニャケ、アラバン、ラグナ方面ならびにケソンシティ方面への放射状の路線が計画されている。これらが完成すれば、車にしか頼れなかったメトロマニラへの移動が容易になり、地獄的な交通渋滞が緩和されるものと期待される。
LRT2乗車口
エドサ通りの中央を走るMRT
マ ニラ首都圏の主要道路の渋滞は、ご承知の通り、マニラッ子の遅刻の言い訳にも使われるくらい、目的地への到着が全く予測できないほどだ。どこにでも止ま る無数のジープニーもその渋滞に拍車をかけ、とうの昔に限界状態になっている。その解決策がカラーコーディングと呼ばれるプレート番号の末尾番号により 週に一日、車が運転できないという施策だから、語るに落ちたといえる。しかし、このLRTとMRTを使って行けるところはその渋滞に悩まされることが無く、極めて快適に移動することができる。ただし朝夕のラッシュ時は相当な混雑なので避けたほうが無難だ。すりも多いそうだが、女性専用の車両があるので、女性だけの場合はそれに乗るのが良い。
サウススーパーハイウエイとエドサ通りの立体交差点を走るMRT
MRTと並行するエドサ通りはバスの傍若無人の運転振りが目立つ
LRT/MRTの乗り方は日本の電車と同じで、IDカードの大きさのチケットを買い、自動改札を経て、電車に乗り、目的地で同じチケットで自動改札を抜ける。チケットは10ペソから15ペソの範囲で大変割安だ。LRTとMRTは窓口で買えますが、LRT2は自動販売機でチケットを購入する。お札が使える機械が壊れていることが多いので、コインを用意したほうがいいだろう。100ペソのプリペードカードもあるがが、日本の定期券に相当するものはないそうだ。また、LRT-MRT等の乗り継ぎチケットはない。駅に入る前に荷物検査が行われ、酒気帯びでは電車に乗ることを拒否される。LRTではどういうわけか写真を取ることが許されていない。
チケット売り場はやはり人手に頼るのが一番
LRT2には自動販売機があるがこれが返って厄介だ
LRTバクララン駅からの料金表
MRTブエンディア駅からの料金表
MRTのチケット
LRT2のチケットには路線図があって便利
LRTドレトホセ駅の改札口
LRT2の改札口
LRTとMRTは建設からだいぶ時間がたっているので少々くたびれている。駅もフィリピンン特有の雑踏と混沌で覆われている。LRTの電車はドアがスライドするのではなく、おなべにふたをするように開閉するので手や荷物を挟まれないように気をつけてほしい。LRT2はさすがに新しいせいか日本の電車と見劣りしないくらいきれいで整っている。電車の内部も日本の電車よりもかなり幅が広く極めて快適だ。
LRTの車両
LRT車両の内部(バクラランは始発駅なので乗客は少ない)
MRTマガリヤネス駅
MRT車両の内部
LRT2の車両
LRT2車両内部は日本の電車よりも広い
LRT2の駅はとてもきれい
LRTとMRTがつながるエドサ/タフト駅からバクラランにむかう高架下には無数の屋台が並んで、果物、靴、衣類、その他の雑貨を売っている。いかにもフィリピンらしい光景なので、是非訪ねて見てほしい。とくにバクララン駅からの光景は写真家をうならせる光景だ。
LRTバクララン駅の高架下の屋台の店
LRTとLRT2 はドレテオホセ/レクト駅で結ばれていますが、その間、約500mはスコーターエリア(スラム街)となっている。そのため、専用の通路を空中に作ってあるが、そこからスラムの中をのぞくことができて興味深いものがある。
レクト駅のそばはスクオーターエリア
レクトとドレトホセ駅を結ぶ空中歩道
レクトとドレトホセ駅を結ぶ空中歩道の外観
MRTとLRT2 を結ぶクバオ/アラネタ駅は、アラネタモールを経由している。クバオには大きなバスターミナルがあり、南北への長距離バスが発着している。アラネタコロシウムは巨大な円形のホールでコンサート等が16000人の観客を集めて行うことができる。デパートやモールもSM等大きなものがいくつもあり、メトロマニラ有数のショッピング街ともなっている。
超大型ドームで有名なアラネタコロシウム
MRTの終点ノース通りの近くのスラム街、最新のモールと貧困が隣り合わせしている
MRTの終点ノース通りからSMシティを望む
LRT2とMRTの交差