退職ビザ取消申請について 2023年5月7日 1


最近、ある退職者の方から、「2023年1月15日に退職ビザを取り消しを申請したのだが、4月16日に完了するとPRAに告げられたが、4月末になっても完了せず、帰国するめどが立たず、ひどい目にあっている。」との連絡があった。「PRAを再三、つついてはいるのだが、PRAの担当者は、申請が多くて、遅れていると、言い訳するだけで、らちが明かない。」とのことだ。

その方が、日本大使館に相談しても、「同じような相談が何件かあり、対応に苦慮している、フィリピン退職庁のリタイアメントビザは解約手続きにトラブルが生じる可能性がありお勧めできない、このまま手続きが滞るようなら、代理人や弁護士による交渉を検討してはどうか。」と匙を投げられた格好になってしまったそうだ。さらに、大使館は、「SRRVのビザの取消手続きがこれほど時間を要するのは、フィリピンイミグレーションではなく、PRAの手続きが意図的?に滞っているためではないか」ともコメントしていたそうだ。

退職ビザ申請の代行サービスを生業としている、私にとって、この情報は聞き捨てならないものだ。大使館のコメントに関しても無責任も甚だしい。確かに退職ビザの取り消しに時間がかかっているのは間違いない事実で、パンデミック前は2か月程度でパスポートが戻ってきていたが、パンデミック中は3~4ヶ月かかるのが常態化していた。パンデミックの規制による、業務時間の短縮、非効率化にまして、取消申請の増加が拍車をかけているようだ。しかし、時間がかかることを見越して、申請時にそれなりの対応をしておけば、例え、思惑通りに手続きが終わらなくても慌てる必要はない。

コロナのパンデミックで、退職ビザの発行停止、外国人の入国禁止などの措置で、退職ビザの新規申請が途絶えて、私のビジネスも風前の灯だった(2022年2月の入国緩和以来復活しているものの、いまだ出足は鈍い)。それを辛うじて支えてくれたのが、退職ビザの取り消しの代行サービスだった。したがって、これだけはパンデミック中も途絶えることなく継続していたが、顧客の様々な状況を踏まえて、いかに取消し申請を滞りなく進めるかが知恵の絞りどころだった。取消申請にまつわる問題の主なものは下記のようなものだ。

・日本在住で、しかもパンデミックでフィリピンを訪問することはできない

・海外出張等でパスポートを長期に預けることはできない

・退職ビザのシールが貼ってある古いパスポートをなくしてしまった

・ビザ預託金の証書をなくしてしまった、あるいは、どこの銀行にビザ預託金が預けてあるのかわからない

・速やかに日本に帰りたいので早急に取消手続きを終わらせたい、

などなど、問題が無い方は返って少数派だ。

これらの問題を踏まえていかに作戦を練るかが、私の仕事だ。練り上げたストーリーに沿って申請書類を準備して、署名、公証、アポスティーユ(外務省認証、日本で署名した場合)を取得してもらって申請すれば、後は「果報は寝て待ての」諺に沿ってゆったりと待つだけになる。

退職ビザの取消申請は添付のSERVICE REQUEST FORMに必要事項を記入して、退職ビザシールの貼ってあるパスポート原本とPRA IDカード原本を添えて申し込むだけでOKで、きわめてシンプルだ。Affidavit of Quitclaim(免責保証、公証が必要)の提出も必要だが、PRAに頼めば、その場でドラフトを作ってくれるだろう。さらに取り消しを待っている間、フィリピンに滞在する場合は、退職ビザの取り消しと同時にフィリピンの滞在資格を失うので、短期ビザの発行(ダウングレーディング)を申し込まなければならない(さらにその場合、出国に当たって出国許可(EEC)が必要となるので要注意)。

しかし、問題は、PRAから、いつパスポートが返却され、いつお金が戻ってくるのか、PRAは確約できないことで、えてして思惑が外れて、トラブルになってしまう。そのため、日本への帰国、海外旅行、その他でパスートの返却に期限がある場合は、次の方策を取っておく必要がある

・日本に帰国してから申請する:この場合、代理人の活用が必須で、Specail Power of Attorney(委任状、公証が必要)の提出が必要となる

・とりあえず申請を終えて、日本に帰国してからパスポートをPRAに送り返す:この場合も代理人の活用が必要だ。

・パスポートを更新して古いパスポートをPRAに提出する:PRAに提出する必要のあるパスポートは退職ビザシールが貼ってあるものだけで、それが有効であるかどうかは問わない

・パスポートの提出を免除してもらう:パスポートを無くす等、やむをえない事情がある場合で、Affidavit of Loss(紛失証明書)等の提出が必要

上記から適用可能な手段を選択して、パスポートの返却が遅れても差支えの無いように手を打っておくことだ。

次に銀行引き出し手続きだが、預金証書が見当たらない場合は、PRAに申し入れれば、コピーを提供してもらえる。預金先がDBPであるばあいは、引き出し送金手続きはPRAが行うので問題ないが、最近、DBPの動きが鈍く、最後の段階で予想外の時間がかかっているようだ。

預託金がDBP以外の認定銀行に預けてある場合は、基本的に本人が引き出し、送金の手続きをしなければならず、銀行によって手続きが異なるので事前のヒアリングが必要だ。フィリピンで取り消し申請を行う場合は、PRAの取消手続きに先立って本人が銀行に出向いて必要な手続きを済ませておくことが可能だ。そうすれば、代理人が引き出し許可証を受け取って銀行に届けるだけで、手続が完了する。

日本から申請する場合は、代理人に銀行手続きを代行させることになるが、銀行によって必要書類と手続き方法が異なるのでどのような準備が必要か、やはり事前ヒアリンが必要だ。指名した代理人にヒアリングも代行してもらえるだろう。

取消手続きは一見、簡単そうだが、安易に進めると、とんだ落とし穴がある。大きなお金も絡むので、手前みそになるが、若干の費用がかかったとしても経験豊富な代理人を起用するのが一番だろう。


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One thought on “退職ビザ取消申請について 2023年5月7日

  • kujira

    ご無沙汰しています。以前連絡していましたが、終活とともにPRAのSRRV解約も視野に入れています。タイムリーな記事をありがとうございます。
    昨年帰国した友人は数か月でSRRV解約されたと聞いています。マーケッターの活用はこの国では必然なんでしょうね。