サ リサリとはタガログ語で“何でも”という意味。自分の家の軒先に小さな窓を設けて、日用品雑貨、飲み物、スナック等を売るコンビニエントストアーの原型だす。一坪から数坪の店で、必要なものは何でも置いてある。塩、調理用油、調味料、洗剤、歯磨き等々、その日使う分を小分けにしておいてあり、その日の 数百ペソの稼ぎで暮らす人にとっては大変重宝だ。最近では携帯電話のロード(フィリピンの携帯電話はほとんどがプリペイド方式で、事前に払う通話料を ロードという)も小分けして売っているのにはびっくりした。

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サリサリストアーの典型

住宅街に行くと、50mおきぐらいにサリサリストアーがあって、家を出れば数十歩で買い物ができるという究極のコンビニエントストアーと言える。値段としては割高だが、それはサリサリのオーナーはスーパーで仕入れ、それに利益を乗せるのですから、当然だ。ちなみに、煙草一箱は、スーパーなら25ペソ程度で買えるものが30ペソ。道端のベンダー(道端でタバコ、スナック、飲み物を売る人たち、サリサリの小型版)は40ペソ程度だから、良心的かもしれない。さらにこれらサリサリあるいはベンダーは、この煙草をさらに小分して、2ペソで一本づつ売るのだ。スーパーにはサリサリ用に洗剤等を小分けにして、20枚程度つなげた商品を置いている。サリサリではそれを仕入れて店の中に吊るして、一枚づつ売るというわけだ。だから、サリサリでは数ペソから数十ペソ単位の商いが普通なのだ。

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私が利用するサリサリは大型店ともいえ、24時間営業

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5本入りのタバコが袋入りでつながって売っている

サ リサリは、場所さえあれば、数万ペソで商売が始められる。軒先を改造して、冷蔵庫を置き、あとは商品を仕入れれば、即商いを開始することができる。サ リサリの窓口は通常簡単な鉄格子がはまっていて、商品を出し入れできるだけのスペースが開いているだけだ。これは商品を持ち逃げされないための用心なのだろう。24時間営業のサリサリもあり、まさに巷のコンビニエントストアだ。セブンイレブンもフィリピンのサリサリにヒントを得たのかもしれない。

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サリサリストアーの内部は商品であふれている

サ リサリで買い物する人たちはほとんど日銭を稼いで生活している人たちで、常にその日の生活に汲汲としている。すなわちその日の糧もない人たちが多く、サ リサリからつけで買い物をして、お金が入ったとき支払うというのが当たり前だ。トロトロと同じで、ただでものが買えるというので案外気前良く使いう。それがどんどんたまっていって、数千ペソともなるともはや支払えない。近所のあちらこちらに借金を抱えて、挙句の果てに夜逃げということになってしまう。このような不良債権を抱えてしまったのではサリサリもたまらない。少ない資金が底をついて仕入れができなくなり、店じまいとなってしまうのだ。私 も何度か運転手等にサリサリを開きたいから金を貸してくれと頼まれたが、最終的なつけは私に来るのはわかっているから、断ることにしている。

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田舎のサリサリ兼トロトロストアー

 そ の昔、味の素がフィリピンに進出した当時、今では日本ではさっぱり見かけなくなった白い粉の“味の素”だが、フィリピンでは全く売れなかったそうだ。 それが、あるフィリピーノ社員の発案で、一回分づつ小さなプラスティックの袋に小分けして売り出したところ、爆発的なヒットとなったそうだ。日本でも、 味の素の売り上げを伸ばすために、ある女子社員がビンのふたの穴を大きくしては、という発案をして、売り上げの伸びに大きく貢献し、表彰されたという話が あるが、まさにこれはそのフィリピン版だ。私はここにフィリピンの購買の原点を見ることができると思うだ。

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