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フィリピーノはボス次第といって、よしも悪しきもボスの真似をする。ボスがだらしなければみなだらしなくなる。だから、いつも先頭に立って見本を見せることが肝心だ。また、トップダウンの国柄だから、下から色々提案があって、自然に物事がうまくいくなどということは期待してはいけない。わからないことがあって部下に相談しても、最後はボスの決定として命令することが必要だ。

フィリピーノ気質 フィリピーノはボス次第


フィリピーノを使うコツはキス・キック・キスだという。文句を言いたいときはまず、最近良くやっているねなどとやさしい言葉で初めて安心させて、こちらの話を聞く気にさせる、そしてまずいところを徹底的に責める、そして最後にまた、期待しているからね、がんばってね、とやさしい言葉をかけるのだ。はじめから責めて、責めて、責めまくると、悔しさ以外なにも頭に残っていないものだ。 何かの弾みでフィリピーノを怒らせてしまったら、甘い言葉、やさしい言葉で攻めてみてほしい。こっちもいっしょになって怒ってはいけない。しばらくするとシゲナガ(まぁしゃーないか)といって機嫌を直して前よりもいっそう仲良くなれる。

フィリピーノ気質 キス・キック・キス



フィリピーノの部下に何かやらせると、いつまでたってもウンともスンともない場合がある。聞いてみると、わからないから机の中にしまったままだという。彼らは恥ずかしくて“わかりません”と言えないのだ。また一度聞いてわからなくても聞き返さない。それはボスに対して失礼なことなのだ。したがって、何か頼んだときは、こまめにフォローする必要がある。しつこくてうるさいことをマコリットといって嫌われるが、ボスは部下に対してマコリットでなければならないのだ。また、女の子を食事に誘ったりする場合、3度は誘ってほしい。一回目は必ず断られるが、これは、一回でOKするのがはしたないことだからなのだ。3度誘ってだめなら、本当にいやなのだ。一回で止めると、本当は行きたかったのにとうらまれる。3度以上だとマコリット(しつこい)と嫌われる。

フィリピーノ気質 マコリット


フィピーノのファミリーの絆の強さはすさまじいものがある。もしあなたが彼女をいとめたとしたら、ファミリー全員を面倒みる覚悟であたらないと、二人の関係は長続きしない。あなたの社員がファミリープロブレムで休むとか、会社を辞めるといったら、これは絶対という意味で下手に逆らわないほうがいいだろう。社員を海外に送ったりするとすぐにホームシックにかかってしまう。フィリピーノはファミリー無しでは生きていけないのだ。われわれから見るといつまでも乳離れしない若者のようにも見えるが。 これはフィリピーノの子育てに原因があるのではないかと思う。フィリピーナの我が子に対する母親振りは奇異にも映る慈しみようでなのだ。子供が幼稚園にはいると園児の母親全員授業が終わるまで毎日参観しているそうだ。これが一年間続くというのだが、信じられますか。 しかし、もしあなたがフィリピーノのファミリーメンバーと認められたとき、このファミリーの絆がなんとも頼もしいものになるはずだ。フィリピンでは子供の登校拒否とか家庭内暴力、老人の独居死とか自殺とか、そういう問題は存在しない。また、お年寄りに対するの畏敬は絶対的なものがあるのだ。  

フィリピーノ気質 ファミリータイ



フィリピンでは相互扶助の精神が色濃く残っている。たとえ寝るところや食うに困っても友達の家を渡り歩いていれば何とか生きて行けるという。フィエスタ(お祭り)には知り合いの家に一族郎党で押し寄せてご馳走になっていくそうだ。パーティを開くと奥さんや恋人を連れてやってくる。彼女を食事に誘うと家族でやってきて大変にぎやかな食事になってしまう。 誰かが少し金を手にすると、親戚中の人がねだりにきてたちどころになくなってしまうそうだ。これを“籠のカニ”というそうだ。カゴの中のカニがカゴからでようと這い上がると他のカニが足を引っ張って引きずり落としてしまう、一方下のものに対してはみなで引っ張りあげてやろうとすることからきている。何か無理な事を頼むとしたら、自分が大変かわいそうな立場にあってどうしても助けが必要だと説得すると、きっと力になってくれる。フィリピーノを口説くコツだ。 食事をしているときに誰かが通りかかると必ず“カインカナ(食べませんか)”といって、自分の食べているものを勧める。これを真に受けて食べてしまうと、後でうらまれることになるから、おなかがいっぱいとか言って断らなければならない。また、レストランであまったご飯をテイクアウトして、家のものに分けるように同席した女性にあげたり、ドライバーにあげたりすると大変喜ばれる。

フィリピーノ気質 籠のカニ


フィリピーノの男女の間ではでは、やきもちは美徳だ。やきもちをやくと相手は愛されていると実感するようだ。あなたの彼女が他の男の話をしていて、あなたがやきもちをやかないと、あんた本当に私を愛しているのと疑われてしまう。やきもちは女の特権ではなく、男も大いにやきもちをやく。はたで見ていて悲しくなるくらいやきもちやきだ。よくまあ、女が腹を立てないかと思うけれど、女のほうはまんざらではないようで、こんなに愛されているんだと幸せなのだ。 このやきもちは男女の間のことだけではなく、フィリピーノの感情のあらわれの多くがやきもちにたんを発しているということに気をつけなければならない。あなたの部下の一人にだけなにかプレゼントすると残りのものがやきもちをやく。扱いは常に公平にしなければならない。給与も一律なんていうのが簡単で不満を発生させることが少ないのだ。  

フィリピーノ気質 やきもちは美徳



一年中常夏のせいか、時間の観念が少々いい加減なのがフィリピンだ。とにかく約束の時間にこないのにはいらいらさせられる。もっともマニラのこんな渋滞では決められた時間に到着するなんて至難の技かもしれない。しかし、田舎にいても同様なのでどうも渋滞のせいだけではないようだ。遅れてもけろっとして“トラフィック カセ(交通渋滞だから)”などといい訳をする。これだけはどうしようもないようだ。普段の生活のことならばこちらも気楽に構えていればいいのだが、会社の社員となったら、事情が違う。遅刻したら給与を差し引くようにすると、決して遅刻をしなくなる。 もし女性がデートに遅れたのであれば、決して責めてはいけない。女性がデートの約束に時間どおり行くのは物欲しげでとても恥ずかしいことなのだ。30分遅れて行くのがルールだそうだ。一時間待ってもこなかったら、あきらめて帰ったほうが良いだろう。自分を優位に立たせたいと思ったら約束の時間に遅れていくのがコツだそうだ。

フィリピーノ気質 遅れるのが当たり前


フィリピンではお年寄りの言うことはめちゃくちゃ言っても聞いてくれる。お年寄りを大切にしないと自分が年を取ったとき誰も面倒見てくれなくなると思っているのだ。お年寄りを大切にしない人は周囲が侮蔑の目で見られる。いったい誰がおまえを育てたんだと。ウタナローブ(恩)という言葉も健在だ。古い日本の良さが残っているといった感じで、われわれにはうれしい風習だ。

フィリピーノ気質 ウタナローブ



フィリピーノは徹底的にレディファーストだ。エレベーターに乗るにしてもまず女性から。たとえそれがあなたの秘書や部下でも先に乗せるのが当たり前なのだ。降りるときももちろん同様。レストランに入るともドア-を開けて、椅子も引いてやる。それができないならフィリピンで女にもてようなどとは思わないほうがよい。

フィリピーノ気質 レディファースト


フィリピーノの人間関係を大事にする風習は見習うべきだ。なにかへまをしてしまったり、言いにくいことを言ったり、申し出を断ったりするとき、実に相手を傷つけないよう、感情を害さないようにいい訳を巧みに使う。日本人にとっては嘘八百並べているとも取れるが、たとえその場限りでも、ことを荒立てず、平和的に解決しようとするのだ。うそはシノガリンといい、非常に悪いことなのだが、この場合のうそはシノガリンの範疇には入らないようだ。このいい訳をにこやかに受け入れてやらねばフィリピンには暮らせない。彼女をデートに誘っても決してノーとは言わない。ママヤ(後で)とか、考えてみるなどといったら、それはノーということなのだ。

フィリピーノ気質 うそも方便