Monthly Archives: January 2007


役員は、通常株主と同じにする。もちろん大会社では別だが。役員は最低一株の株式を持っていなければならない。役員は実質的に会社運営に必要な事項を決定する権限を持っているから、慎重に人選する必要がある。会社の事業内容にもよるが、社会的に名声のある人を選ぶ事が大切で、会社の信用にも関わってくる。最低5名の役員が必要で、通常、その内3名以上をフィリピーノとする必要がある。飲食店等では取締役全員がフィリピーノでなければならない。 オフィサーは最低、社長(President)、書記役(Corporate Secretary)、監査役(Treasurer)を任命しなければならない。また原則としてこれらオフィサーは、フィリピーノ会社においてはフィリピーノでなければならない。ただしDOLE(労働局)に申請して承認されれば、外国人でもこれらオフィサーになれるとの情報もある(ただしフィリピンに居住している事)。しかしながら、書記役だけはフィリピーノでなければならない。人材派遣会社等では外国人はオフィサーになれない。 書記役は株主総会、役員会、SEC関連の書類の記録や発行をする係り。監査役はお金の管理と税務申告等を取り扱う。どちらも会社を運営していくには必須な役割で社長の両腕といえる。弁護士やCPAに依頼するのも手だ。

会社運営ー取締役、オフィサー


SECに申請するのは授権資本(Authorized Capital)だ。これは資本の枠を決めるもので、払込資本がこれに達すると増資を申請しなければならない。授権資本の増資は新会社を設立するのと同じぐらいの面倒な手続きを必要とするので、大きめに設定しておいた方がよい。 授権資本の枠内で資本を引き受ける株主を決定する。これを引受資本(Subscribed Capital)といい、会社設立時、授権資本の25%以上である必要がある。 実際に払込をするとき外国人・ローカルあわせて引受資本の25%を払い込む必要がある(ただし、設立時、外国人は100%払い込む必要がある)。 残りは後日ある時払いだ。これを払込資本(Paid Up Capital)という。なお、この未払い分については帳簿上、会社からの借入金とみなされれ会社解散などのときは、支払義務が発生する。 資本の払込はSEC申請に先立ち行う。そのため仮のトレジャラー(Treasurer in Trust)により銀行口座を開設する必要がある。 なお、授権資本の枠内での引受資本や払込資本の増資は役員会の決定で行う事ができる。ただし、引受資本における60:40等の株式比率は常に守るようにしなければならない。 払込資本が引き受け資本の25%以上でなければならないという条件は、外国人及びローカルの払いこみのトータルに適用される。したがって、個々の株主は必ずしも25%払い込む必要はない。しかしながら、極端に少ないとダミー禁止法に抵触するのである程度リーゾナブルな額を払い込まねばならない。外国人とローカルを同じパーセントあるいはそれぞれの株主の払込を25%以上としておけばまず問題はない。  

会社運営ー資本の払込



会社設立に当たっては、自分以外に最低4名の株主(Share Holder)が必要。フィリピーノ株主は出来るだけ互いに関連のない人を選び、彼らが結託して会社を乗取ったり、不本意な方向に動いてしまう事を防ぐことが肝心だ。全員彼女やフィリピーナ・ワイフの家族などというのは大変危険で、その時点で会社の所有権と運営権をやってしまったのと同じだ。会社設立を依頼したCPAにも株主になってもらうのも一方だ。会社設立に関する知識は豊富だし、信用が大事なのでおかしなことはしない。 会社の設立に際して5名の設立発起人(Incorporator)が必要。通常株主と同じにする。また資本金の受け入れなどの手続きに仮のトレジャラー(Treasurer-In-Trust)を決める必要がある。信用できるフィリピーノ・パートナーに依頼するか、会社設立手続きを依頼するCPA(公認会計士)などに依頼することもできる。

会社運営ー株主等


フィリピンでは小売や土地の保有はフィリピーノ会社に限定されている。輸出や最先端技術等は外資100%でも許可されるが、通常のビジネスをやる場合はまずフィリピーノに60%の株式をもってもらう必要がある。したがって我々外国人が持てる株式の最大は40%まで。これは法的にはフィリピーノが決定権を持っていなければならないという事で、そのため誰かフィリピーノに形だけ株主になってもらってと考えるわけだが、これはアンタイダミー法で禁止されている。いくら裏契約を交わしてもその契約そのものが違法ですから、いざとなると役に立たない。 そのため白紙委任状(Deed of Assignment)および株券の裏にあらかじめ委譲のためのサインをもらうといった予防措置が必要だ。株主や役員が意に叶わないと思ったら交代させてしまうのだ。こうする事により、ローカル株主もはじめから自分のものではないのだと肝に銘じて、おかしなことを考えないものなのだ。予防注射のようなもので、皆初めから悪さをしようなどと思っていないから、必ずサインをする。もしいやだといったら、はじめから株主からはずしてしまえばよい。 株式の額面は、普通1ペソから1000ペソの間で自由に設定しているが、外国人が保有する株式をフィリピーノが保有する株式の額面を変えて、フィリピーノの出資額を少なくする事が出来る(その場合、クラスAフィリピーノ用、クラスB外国人用と株式を区分けする必要がある)。但し、議決権に関しては株数で考えるので60%の議決権を持つ事には変わりない。しかしフィリピーノの金額的出資比率が下がるので、いざ会社解散などとなると回収できる金額が大きくなる。そのためにはあらかじめ会社定款に “解散後の資産の分配は出資額に応じて分配する”  等の文面を含めておく必要がある。 また、資本の60%は基本的にフィリピーノの所有となるために、資本の額を小さく抑え、ローンという形で会社の資金を貸し付けるということが、外国人株主の財産を守る上で有利となる。

会社運営ー株式比率等