Daily Archives: June 13, 2008


 マニラ、マカティにあるカラオケ「アカシア」が250万ペソで売りに出た。ちなみにカラオケ「アカシア」といえば1980年代後半から20年以上営業を続けてきたカラオケの老舗中の老舗だ。現在ではマカティアベニュー沿いの「大好き」、「ナポレオン」、パソンタモ通りの「夢の中へ」、「カルチェ」などと共に数少ない家族的なカラオケの一つだ。現在はマニラの下町のエルミタ地区あるいはマカティのパサイロード沿いも大型のショークラブ的カラオケが隆盛で、カラオケよりもショーを見に行くという雰囲気が強い。  長年、フィリピンの駐在日本人企業戦士を慰め続けてきたカラオケも栄枯盛衰が激しく、生まれては消え、消えては生まれる歴史を繰り返してきた。最近はジャパユキさんが日本にいけなくなったせいで、日本が話せるGRO(Guest Relation Officer、要はホステス)が激増し、大半を占めるようになっている。1990年代はマカティのカラオケは駐在員用、マニラエルミタ地区のカラオケは観光客用と住み分けられていたのだが、最近は企業の接待費の使用が絞られたせいか、マカティのカラオケも観光客を相手にしないと生きていけなくなったようだ。 かつてマカティにはほとんどいなかった日本語を話せるGRO が、今や日本語は必須となっている。すなわちほとんど全員が日本のどこかで働いた経験があるのだ。また、これら観光客相手のカラオケはイリュージョン、アップステージ、ブルーエンジェル、シアワセ、ニュー・サチなどパサイ通りあるいはパソンタモ通り沿いの大型店が主体で、昔ながらの駐在員相手のアカシヤ、夢の中へなどのカラオケは隅のほうでひっそりと営業を続けている。  日本人駐在員のおじさん達がフィリピーナと仲良くなるというのは、現実的にカラオケくらいしかない。普通のオフィスレディは鼻も引っ掛けてくれない。しかし、カラオケはビジネスだから、GROは得意のホスピタリティを発揮して、なんともやさしく対応してくれる。これがお互いに大きな勘違いを呼んで、本当の恋人同士になってしまうのだ。したがってカラオケは駐在日本人男性の恋人予備軍の基地という役割を果たしていたのだ。そして幾多の恋物語を生み出してきた。(ところで日本人用カラオケは決して女性を連れ出してホテルへ連れて帰るなどと言う場所ではないので、誤解のないように。その点、ゴーゴー・クラブ、ショー・クラブ、置屋、等とは一線を画している。)  同伴という制度が日本から導入され、店は積極的にGROに客との同伴を奨励している。最低週一回の同伴を義務付けているところもあり、それが達成できなければ首とか、厳しいノルマを課している。この同伴がどうにも勘違いを呼び起こすきっかけのような気がするが、50過ぎのおじさんと20前後の小娘が二人で恋人同士のように食事をしているはいかにも奇妙な光景だ。しかしはじめから、1対1の同伴は気が引けるので、必ず、同伴の同伴がいて二人でやってくる。だから二人分の食事をご馳走しなければならない羽目になってしまう。  GROは上記のノルマを達成するために、今様は携帯電話を駆使している。なじみの客には朝昼晩と一日3回、10名近い客にメールを打つそうだ。一回1ペソだから、彼女達にとってはかなりの出費だ。文面は How are you? Did you finish […]

カラオケ・クラブの栄枯盛衰 2008年6月13日