Monthly Archives: November 2008


  フィリピーノの子供の傍若無人ぶりは他でも触れた。そしてそれをほっておく親の顔をあきれて眺めることがしばしばあることも。しかし、フィリピーノの子供への愛情は日本人には想像のつかないものがある。しかも、子供は自分あるいは家族のものという感覚が強く他人が介入すべきものではないのだ。 3歳のいとこに化粧をしてあげて遊ぶフィリピーナ(8歳) 仮に他人の子供がコンドミニアムなどの廊下で遊んでいて、あまりにうるさいので注意する、あるいは他の子供をいじめているので注意する、時には聞き分けがないのでたたいたりしてしまったりすることがあるかと思う。そんなことをフィリピンでやったら大変なことになる。なにしろ子供は何をしても許される社会だから、他人がわが子を叱ったり、たたいたりしたら、それはもう戦争だ。たとえその子供にどんな非があろうとも、あなたにどんな事情があろうとも、決して許されることではないのだ。あなたは悪魔の化身として忌み嫌われ、その家族からは一生口を聞いてもらえなくなることは間違いないだろう。 そうなると一体どうやって他人の子供に注意したらいいのだろうか。親しいフィリピン人に頼んで、それとなく親に伝えて注意してもらうのだ。遠まわしにいかに当方が迷惑を被っているか、それとなく伝えて子供を指導してもらうのだ。それでもだめだったら我慢するしかない。 ある日、コールセンターに夜勤しているフィリピーノが、昼間は寝ているので子供たちがコンドミニアムの廊下で大騒ぎをして遊んでいるのは甚だ迷惑であることを親に伝え、外で遊ぶか静かに遊ばせるよう要求した。ところがその子供の親は、昼間に子供が遊んで何が悪い、しかも、子供が静かに遊ぶことなどできはしないと、聞き入れてもらえなかった。そこで話はバランガイ・キャップテンまで行ってしまったが、キャップテンの判定は、件の子供は白。昼間に寝なければならないのは個人的な理由であって、それを他人の子供に押し付けることはできない、ということだった。その後も子供たちはコンドミニアムの廊下で何事もなかったように大いにはしゃぎまわっていたのはいうまでもない。 トライシクルも子供にとっては遊び道具だ   これをフィリピン人はなんと社会的常識にかけるのだと責めてみても始まらない。フィリピンに住んでいる限り、社会的常識に欠けているのは我々外国人なのだ。

フィリピン人の子供を叱ってはいけない


当たり前のことを言うなと叱られるかもしれないが、ちょっと古いタイプの人には人前で平気でおならをする人が少なからずいる。それを大物である証のように思っているのだ。ちょっといやな気もするが、「美人へもすりゃクソもする」という言葉があるくらい、誰でもすることだから、大目に見ていることも確かだ。このおならは日本では「すかしっぺ」などと言って笑いのネタにされることが多いくらいだ。 ところがフィリピンでは事情が違う。ご承知の通り、フィリピーノはにおいに敏感だ。においの元となるおならは人前では決して許されないことなのだ。ゲップをするとフィリピーノは必ず「Excuse me」と言って、たとえ誰もいなくても周囲の人に詫びる。しかし、おならはそれでは済まされない。フィリピーノは、年寄りや子供は弱者として何でも許しいたわる。しかしおならだけは別で、たとえ年寄りでも、人前でおならをすると、ひっぱたかれても仕方がないくらい下衆なものとして嫌われる。 確かにこんな状況ですかしっぺなどをされたらたまらないだろうが   フィリピーナと仲良くなりかけて、何故かある日突然相手にされなくなってしまったことがあるとしたら、そんなところに原因があるのかもしれない。フィリピンで女性にもてようとしたら、体臭やおならなど、ことのほか気をつける必要がある。もちろん夫婦や恋人あるいは家族の間では許されるようだが、やらないことにこしたことはないだろう。

人前でおならをしてはいけない



 オールセイントディ(万聖節)でビコール地方タバコ市の農場に来ているが、今回パソコンを1台持ってきてSmart BROを使ってインターネットにつないでみた。電話回線が来ていない農場では、電話は携帯の普及で事なきを得ているが、インターネットが懸案事項だった。携帯が使えるところならばどこでもインターネットにつなげるSmart BROの登場はまさに朗報だった。早速試して見たが、遅いことを除けば快調だ。プリペードカードで15時間当たり300ペソ(約600円)は決して安くはないが、ないよりははるかにましだ。2500ペソ(約5000円)でUSB対応の機器(写真)を買うだけだから、イニシアルコストも負担にならない。  これで、タバコの農場の通信インフラが飛躍的に改善した。たとえマニラでのビジネスをやっているとしても、人と会うことを除けばかなりのことがタバコの農場でも可能だ。これでゆっくり休暇も楽しめるということだ。マヨン火山を目の前にしながらインターネットが使えるということは実に隔世の感がある。ヘッドセットをもってこなかったので、まだSKYPEは使えないが、それが使えるようになれば日本への通信もほとんどただでやりたい放題だ。 退職ビジネスについても私の役割をホームページや本を通しての広告塔、E-メールでの対応と限って、実際の応対とPRA(退職庁)の対応をスタッフにやってもらえれば、相当程度タバコで業務が可能となる。さらに余った時間で本の執筆を心がけるなんてこともできそうだ。そうしたら、65歳で現役を引退してタバコに引っ込むと計画していたが、もしかしたら70歳位まで現役で頑張れるかもしれない。 天気がよければ窓からは下の写真ような景色が見えるのだが、この日は曇天で、マヨン火山は残念ながら雲に隠れていた。

農場にインターネットがつながる2008年11月3日


 11月1日はオールセイントデイ(万聖節)で祝日だ。今年は土曜となったので、前日の10月31日が半ドンとなった。別名ハロウィンディとも呼ばれるが、その名のごとく、罪人も含めてすべての死者が聖人となり家族に会うために現世に戻ることが許される日とされている。この日は夕方からすべての人々が故人に会うために墓地を訪れる。そして、故人を囲んで家族団らんのひと時を過ごすために食事の支度までしている。そして翌朝まで墓地で過ごし故人を懐かしむのだ。  この日、ビコール地方アルバイ県、タバコ市の墓地にその様子を見物に出かけた。タバコ市には隣接して3つの墓地がある。ひとつは一般用、二つ目はお金持ち用、そして3つ目は中国人用である。それぞれの墓地の大きさは同じくらいだが、一般用墓地にはよくこれだけの人がタバコに住んでいるかと思うほどの人でいっぱいだ。メインの通路は真ん中にロープが張られ一方通行となり、交通整理がされているほどの人出なのだ。この日は日本のお盆と同じで、マニラなどの都会に出ている人たちが里帰りをしていて、街の人口は数倍に膨れ上がっているのだという。  ご承知のとおり、フィリピンでは土葬だ。なきがらは立派な棺に納められ、かつコンクリート製の箱に入れられて祭られる。普通はコンクリート製なのだが、お金持ちのものは御影石などまるでエジプトの王の棺のようだ。コンクリートの棺は必ずしも地下に埋められず、地面に露出しており、その上に幾段にも積み上げられる。その上では居場所のない子供たちが座り込んでいて、まるで夕涼みをしているようだ。相変わらずのことではあるが、それにしてもやたらと子供と若者が多い。そして普段外を出歩かないような深窓の令嬢が訪れるのではっとするような美女も多い。どこへ行っても老人しか目にしない日本に比べて、フィリピンの将来へ向けての底力を感じられずにはいられない。  一般用の墓地にはコンクリート製の棺が所狭しと立体的に配置されているのだが、お金持ちの墓地には屋根で覆われているもが多く、とても立派なたたずまいだ。その中のひとつに元上院議員でタバコ市のメインストリートの名前にもなっているZIGA(シガと読む)一家の墓があった。また、一般用墓地では自分の事務所の社員のおじいさんのお墓にもしばし見舞うことができた。中国人用の墓地はやはり圧倒的な財力を誇示するものばかりだ。小さいながらも豪邸ともいえるたたずまいで、死後の世界でも優雅に暮らせるようにとの中国的発想なのだろう。 午後7時ともなるとタバコ市のメインストリートは人でいっぱいで、車両の通行は許されない。南のレガスピ市や北の街には、この道を通っていくしかないはずなのだが、問題はないのだろうかと心配になる。また、道路沿いにはどこの国でも同じで、人が集まるところには屋台が並んでいる。焼き鳥やトロトロが多いが、ルーレットのような賭博を公然と行っているところがある。葬式は賭博を開帳することが黙認されているが、この日も特別にOKなのだろう。しかし、年に一度のご開帳では商売にならないと思うのだが。フィリピンの田舎でも段々西欧化の波が押し寄せているのか、Mister Donutの屋台も出ていてそこそこ売れているようだった。

オールセイントデイ 2008年11月3日



 マニラの下町といえばエルミタ地区のデルピラール、マビニ、アドリアチコなどの通りに代表されるが、さらに一歩入ったところにいかにも裏町の風情漂う穴場がある。今回はフィリピン観光省に勤務している月村さんにに案内してもらった「鳥新」というお店を紹介しよう。  アドリアチコ通りにあるパンパシフィックホテルの横の通り、Gen. M. Malvar通りをマニラ湾と反対に角を一つ進むとJ. Bacoboという変わった名前の通りに出る。コンビニのMINI STOPを右に折れると、すぐ左側に鳥新がある。日本語で書かれたちょうちんが二つあるだけなので、うっかりすると見逃してしまう。  周囲はカラオケやレストランが並んでいるが、最近はやりの大型カラオケとはうって変わって、いかにも下町風だ。ハングル文字も幅を効かせており、韓国の通もよく訪れるものと推察される。デルピラやマビニと違い、うっとうしい物売りもいない。しかし人通りは結構あるので、決して身の危険を感じるようなことはない。  「鳥新」の中はいたって簡素で、2人がけのテーブルが二つ、それに5~6人が座れるカウンターだけだ。メニューはそこそこ種類があるが、白板に書かれた「本日のおすすめ」が食欲をさそう。ご主人はもちろん日本人、客もすべて日本人とその連れだ。いかにもマニラに長いといって常連客で占められている。味は完璧に日本のそれだ。日本直輸入とか高級な食材とかは使っていないが、比較的手に入りやすい材料で十分日本食を堪能できる。  ビールをそれぞれ3~4本飲んで、たっぷり食べて二人で1000ペソ足らず。普通の日本レストランならば、その倍はくだらないだろう。マニラに長く滞在するならば、このようなところで日本を味わうのがお利口というものだ。ちなみに、その後、やはり場末風のカラオケ・クラブに行ったが(ATARASHI KOKOROというおかしな日本語の名前だった)、2時間ほどいて、二人で2000ペソに届かなかった。しかも客が少ないから歌い放題だ。これも相場の半分くらいだろうか。エルミタ近辺に宿泊している場合はぜひ試してみてほしい。 写真中央がご主人の高橋さん。

マニラ裏町探訪2008年11月3日