Daily Archives: December 16, 2008


 12月17日は先日、デラ・ホーヤとの世紀のミスマッチといわれた試合に勝ったフィリピンの国民的英雄マニー・パクヤオの30歳の誕生日だった。テレビに放映された誕生日を祝う様子はまさに国家的行事だった。故郷ゼネラル・サントス市で開催された誕生パーティにはアロヨ大統領を初め、上院議員、パクヤオと試合を行なった元世界チャンピオンなど2000人を超える人々が招待された。会場はラスベガスを模した舞台がしつらえられ、ショーもラスベガススタイルだった。さらに会場がから1.5kmはなれた一般人の会場では誕生会の模様がモニタースクリーンに映し出され、5千人を超える人々が、レチョンを初めとする無料の料理に群がった。スポンサーであるサンミゲルビールからは大量のビールが振舞われ、くじ引きの一等賞は家一軒という豪華な景品が出たそうだ。  パクヤオはゼネラル・サントス市の貧しい家庭に育ち、少年時代サリサリストアから借りたパンを食べ、ボクシ ングの試合に臨み、賞金でその代金を支払ったという。その後、パン職人として生計を立てながら、世界チャンピオンへの道を歩んだ。まさにアメリカンドリー ムを成し遂げたゴールデンボーイだ。    パクヤオは50人にのぼるメイド、ドライバー、ガードマンなどを雇い、フィリピン人の雇用に寄与しているという。もっぱらラスベガスで試合を行い数百万ドルという外貨を稼ぎ、それを多くのフィリピン人にばら撒いているというわけで、おおいに結構なことだ。かつての独裁者のように国民を搾取してそれをスイスの銀行に溜め込んでいたことなどと比べるとはるかにフィリピンに寄与していることになる。フィリピンの人気テレビチャネルABS-CBNのアナウンサーの質問に答えるパクヤオもその顔を見るとその辺のフィリピーノとなんら変わらないのだが。  パクヤオも多くのフィリピン男性と同じように美貌の妻の尻の下に敷かれているそうだ(フィリピンではこれを「アンダー・デ・サヤ/ペチコートの中」と表現する)。メスティーサ(白人との混血)の妻は妊娠中で現在ラスベガスに滞在中。パクヤオも誕生会のあとラスベガスに戻り妻とともに暮らし、次回の世界戦に備えるとのこと。

英雄パクヤオの誕生日2008年12月18日


 私の事務所のあるパソンタモとバグティカン通りの角は4軒のトロトロが並ぶ庶民の食事どころだ。トロトロとは出来合いの料理を指し示して注文することを意味する。ほとんどのフィリピンの食堂はこの形式で、今風に言えばファーストフードだ。デパートの地下などでも多数のトロトロが並び、好きな店から好みの料理を選んでセルフサービスで共同のテーブルで食べるシステムになっている。パソンタモ通りはマカティのオフィス街のはずれになっており、比較的事務所も多い。そのため昼食時となると多くの人がやってきて列をなしている。一番人気が奥から2番目、次が一番奥、そして最後は皆満員となる。さらに夜間もこの付近に住んでいる人の夕食で賑わい、夜間はカラオケを楽しむ人が夜中までビールを飲んでいる。まさに庶民の憩いの場だ。最近は土日も休まずオープンしている。   ここの名物は豚や魚のバーベキューだ。豚のばら肉を味付けして炭火で焼いたバーべキューはとてもおいしい。これ一枚に野菜、ライス、さらにビールを一本つけて100ペソ程度で済む。毎日側を通る時、こんなに仕込んで売れるのだろうかと心配するが、昼食時の行列を見るとなるほどとうなずける。    フィリピン人は一日5回食べるというから、10時と3時のミリエンダ(おやつ)もかかせない。トロトロの前にはおやつや飲み物を売る屋台が出ている。ブコジュースは飲み物の一番人気、フライドポテト、パイナップル、グリーンマンゴなどはミリエンダの定番だ。  トロトロよりももっと安く済ますなら、屋台でバーベキューあるいはフライドチキンなどとライスを買って、事務所あるいは道端で食べることもできる。これなら50ペソ程度で満腹になる。フライドチキンのおばさんは毎日20~30羽は売るので、3000~5000ペソ程度の売り上げとなり、平均毎日1000ペソ近い儲けを出している勘定になる。ただし、トンボイの彼氏と二人がかりで夜中までやっているから、さほどおいしいビジネスではないが。   4軒のトロトロの間には比較的大型のサリサリストアが24時間営業をしている。常に2~3人の客があり、一人相手するのに1分くらいかかるとすると、1時間に60人、1日千人近い客が来ることになる。客単価は数ペソ~数十ペソだろうが、それでも一日1万~2万ペソ程度の売り上げになり、2千~3千ペソ程度の収入にはなるだろう。  節煙のため、毎回2ペソでタバコの一本買いをとなりのサリサリでしているが、毎度のことなのですっかり顔を覚えられ、何も言わなくてもタバコを差し出すようになっている。そのためか、クリスマスが近いわよ、とクリスマスギフトの催促をされてしまった。フィリピンではサービスを受けるものが感謝の意を表さなければならないのだ。

大繁盛、庶民の胃袋を満たすトロトロ2008年12月16日