Monthly Archives: December 2009


 防災科研の調査の最終日、アジア開発銀行(ADB、Asian Development Bank)でのヒアリングに参加した。ADBと言えばマニラにある国際機関の本部だ。台風災害のヒアリングというよりもADBという組織に興味があって内部を見せてもらった。  オルティガスのEDSA沿いにあるADBの建物は1980年代に完成し、オルティガス発展の引き金ともなった建物だ。当時はその威容を誇っていたが、1990年代後半の高層ビル建設ラッシュのおかげで、少々一昔前の建築の感が否めない。  ADBの中庭から眺めた最新鋭の高層ビルが良いコントラストになっている。高所恐怖症の私にとっては9階建てのADB位が丁度良いが。 ADBの会議室群は五つ星ホテルも真っ青なくらい豪華でしゃれている。20年以上たってもこれほどの威容を誇っているのだから、その建設費も莫大なものであったろう。韓国系の建設会社が請け負って長いこと係争でもめていたというが、よほどうるさ型の建設コンサルタントが管理を担当したのだろう。業者は大分泣いたに違いない。  職員食堂も立派、スターバックスなどもあって、外へ出る必要がない。至れりつくせりだ。  職員はすべて個室を与えられ、最適な執務環境で仕事が出来る。各国からの一流の専門家を呼び寄せ、アジアの復興に寄与する活動を行なっている。    中庭に当たる部分は図書室となっており、世界各国の職員のたまり場になっている。西洋人と東洋人が熱心に話し合っている姿を見かけた。   大部屋にいるのはADBが抱える秘書や事務職員の一般職。ここには専門家はいない。入り口での入出門管理も厳重で写真付のIDをその場で作り、つけさせられた。   ところでADBは海外ジョブを担当するコンサルタントが目指す最終ゴールといわれている。アジアの復興事業について色々調査検討し、お金をつけて実行にこぎつけ、アジアの人に貢献するという、とても有意義な仕事ができるところだ。

防災科研の台風災害調査に同行(その3 アジア開発銀行) 2009年12月11日


 マリキナ市の次はバイ湖(ラグナ湖)畔、そしてマニラ市内の洪水と洪水管理の状況を視察した。  バイ湖畔のHagonoyには高級ビリッジが湖沿いに開発されている。台風の大雨以来、湖の水位が1.5メートル位あがっているせいで、ビリッジが全面的に冠水している。そのため住人は船で移動し、水が浅くなったところでトライシクルに乗り換えるという暮らしを強いられている。その原因はビリッジが洪水管理の堤防の外、湖側にあるために水位の上昇の影響をまともに食ってしまっているのだ。住民はMMDA(Metorpolitan Manila Development Authrity)に文句を言っているが、ラグナの水位を急速に下げようとしたら湖の外が冠水してしまうので、どうしようもないという。    湖の周辺から流れ込む川にはすべて水門とポンプが設置されている。現在バイ湖の水位は周辺より高く、湖周囲の水位が危険水位(海抜10フィート)を超えたらポンプを動かして水を湖に移動して、水位を下げるのだ。そうでないと周辺の住宅が冠水してしまう。一旦湖に貯めた水は水門を閉めて流れ出さないようにして周囲が冠水するのを防ぐ。  現在、バイ湖の水はナピンダン川からパシッグ川に流れているだけで、水位が下がるのは当面先の話だそうだ。ナピンダン川の流出口には水門はない。周辺の家は台風当時、当然のごとく冠水したが、現在はすでに水は引いている。この辺はほとんどスコーター(スラム)で遠くに見渡せるオルティガスやボニファシオ・グローバルシティのビル群と対照的だ。  ここからはマニラへの直行のフェリーが出ている。確かに渋滞する道路でマニラに出たら数時間かかるものが数十分で到着するだろう。それにしてもフィリピンの子供はいつでもどこでも明るい。  マニラ市内の小河川がパシッグ川に流れ込むところには日本の援助で建設された水門とポンプが設置され、洪水管理が行なわれている。パシッグ川の水位が高いときは水門を閉め、小河川の水をパシッグ川にポンプアップすることにより市内の冠水を防ぐ仕組みになっている。しかし台風の時、ポンプは稼動させなかったという。 なぜならば、パシッグ川の水位が上昇し堤防を越え、市内に逆流していたのだ。すなわち、これらの洪水管理の想定を全く覆す状況になっていたのだ。  ケソン市一帯の水を集めてパシッグ川に流れ込むサン・ファン川のパシッグ川との合流点を調査した。川に沿って密集するスコーターはすでに逞しくよみがえっていた。そこではバロット(アヒルの有精卵のゆで卵)の製造現場に遭遇した。  サン・ファン川には鋼矢板で立派な護岸が建設されている。しかし、川の水位は護岸をはるかに超え、市内に水が流れ込んできたそうだ。流れ込む先のパシッグ川がすでオーバーフローしていてはサン・ファン川としてもそうするしか手がない。これも想定外だったのだろうが、ここでも子供達は屈託がない。  結論として、マニラの洪水管理はそれなりにやってはいたものの、今回の雨は全く想定外で、水門やポンプがあろうがあるまいが同じ状況だったようだ。今回のような雨が再びやってきたとき、一体どうしたら洪水を防ぐことができるのか、想像がつかない。ただ、自分は決して低地にすまない、あるいはコンドミニアムの上階に住むなどして防ぐ、ということが教訓だろう。とにかく都市は災害に弱いのだ。

防災科研の台風災害調査に同行(その2 メトロマニラ2)2009年12月11日



  クラークのミモザ内にはホリディ・インとモンテビスタ・ビラズの二つのホテルがある。36ホールのゴルフ場に併設されたこれらのホテルは元将校の宿泊施設を改造したもので、ゆったりとした敷地にいかのもアメリカの高級住宅を思わせるバンガロー(平屋造り)だ。   住宅は二つのユニットが連続している2戸一がほとんどだ。1ベッドルームのものと2ベッドルームのものがあり、宿泊費はそれぞれ100ドルないし200ドル程度で、五つ星ホテル並みだが、室内はゆったりと大きく、値段だけのことはあると感じる。また、周囲はもともと住宅なので車の出入りもなく都会の喧騒を忘れさせてくれる。ゴルフ好きの方にはもってこいだ。  周囲にはさらに日本レストランZEN、韓国レストラン、カジノ、などがあり、遊び場にも事欠かない。夫婦で1週間くらいのんびり過ごすのに適しているのではないだろうか。     ダブルベッドのベッドはキングサイズと呼ばれる縦横が同じ、あるいは横幅の方が長さよりも大きいというベッドだ。

クラーク・ミモザの紹介 2009年 12月10日


 9月ともなるフィリピンはクリスマスの準備が始まる。September、October、NovemberそしてDecemberなど末尾にberのつく月はもはやクリスマスシーズンなのだそうだ。街のあちらこちらにはクリスマスランタンを売る店が出る。近隣のブラカンやラグナからやってきたランタン業者だ。1000~2000ペソ程度のランタンは家の入り口に飾られクリスマスムードを盛り上げる。ランタン業者は1月になっても店じまいしないが、これは安くなったランタンを次のクリスマスのために買い求める客が少なからずいるためだ。大きな荷物を持ってふるさとへ帰り、来年まで在庫をかかえるよりも安値で売ってしまおうと業者の魂胆とが一致したものだ。   今年は9月末~10月初め立て続けに台風16号(オンドイ)と17号(ぺぺン)がフィリピンに甚大な被害をもたらし、その復旧もままならない状況においては、クリスマスの飾り付けを差し控える風潮が強い。退職庁でもクリスマスパーティを取りやめ、代わりにチャリティ活動を行なうという謹慎ぶりだ。街の飾りつけも大げさなデコレーションをやめ、キリストの生誕などを模した飾り付けが多い。  パシフィック・スタービルの前の飾りつけ。 パスコが入るGMA LOU-BEL Plazaビルの飾りつけ。  下の写真はバギオの高級ホテル、マノールのロビーの飾りつけ、とモール・オブ・エイシアのクリスマスツリーだ。やはり商業施設はそこそこの飾りつけは欠かせないようだ。    パサイ通りの民芸品店のバリクバヤンの飾りつけ、大きなランタンとキリストの像がセンス良く飾りつけられていた。

フィリピンにクリスマスがやってくる 2009年12月8日



 11月1日、万聖節でタバコの農場を訪問したばっかりだったが、退職者の方2名と不幸があってマニラを訪問していた方が気晴らしにと、都合3名の方のお供をして、今月2度目の訪問となった。今回は残念ながらマヨンは一度も顔を見せることはなかった。    マヨン火山は現在活発に活動中で、スカイウエイは入山を禁止していたが、途中までということで何とか無理を言って入れてもらった。ここの景色を見てもらわないと、タバコに来た甲斐がないというものだ。下の写真は展望台の少し手前まで行って景色の開けたところからの風景だ。中央にココナツ林が途切れたところ、やや左にあるのが我が家だ。この日は空気が澄んでいて良く見えた。  最近レガスピ市の空港の脇にある小さな山に展望台がでいている。そこからはレガスピ市と空港の滑走路が一望に見渡せる。反対側からはマヨン火山が見渡せるはずなのだが、この日も曇っていた見ることができなかった。今のところ、ここからマヨン火山が見えたことは一度もない。と言っても今回が3度目の訪問だが。  タバコの農場の丁度反対側に「ウララ・スプリング・リゾート」がある。退職者の方がまるで「熱帯植物園」にいるようだと称していたが、たしかに熱帯の植物が所狭しと、しかも美しく配置され手入れも行き届いている。プールの水も青々としてきれいだ。マヨン火山の周囲には多くのスプリング・リゾートがあるが、山すそに湧き水が湧き出ていてそれを利用したものだ。我が農場にもうまく水脈を当てれば湧き水が豊富に出てくるかもしれないということなので、いずれ試してみようと思う。そうなれば只で美しい水を得ることもできるし、浄化装置も不要なはずだ。     熱帯観葉植物で作ったクリスマス・ツリー。なかなか圧巻だ。フィリピンはハイビスカスの本場。赤いハイビスカスのほかに黄色の大輪のものや白いものなど種類が豊富だ。ちなみにハイビスカスはタガログ語でゴマメラという。   タバコ訪問の2日目、退職者のたっての依頼で、久々にタバコ湾沖合いの島、ピナミントガン島に行くことになった。ボートはかなり大きいので何人乗っても同じだ。相棒の家族など総勢20名で島に向った。約1時間の船旅で到着した砂浜は相変わらず美しい。退職者の方は、しきりに感動していた。  子供達の食欲は旺盛だ。さんざん泳いでお腹がすいたのか、たちまちの内に大量の食料を平らげる。港で買った朝取りの魚(カツオ)をさばいて刺身にしたが、それだけは手をつけてくれなかった。  食事が終わるとさっさと海に戻った子供たち。さんざん泳ぎ回った後、帰りの船では皆ぐっすり眠っていた。  退職者と近所を散歩していたら、豪邸に出くわした。3階建てのマニラにあったとしてもたいしたものだ。こんな田舎にどんなお金持ちがいるのやら、フィリピンはまだまだわからないことが多い。

タバコ農場訪問(その?)2009年12月6日