10月14日に解禁されたバランガイの選挙運動から10日後の今日、25日は全国で投票が行なわれている。そのため、フィリピンでは今日は臨時休日となった。 バランガイとはフィリピンの最小行政単位で、東京なら区の中の町、あるいは市の中の町ないし村に相当する。バランガイ議長(キャップテン)一人と議員(カ ウンセラー)7人、さらに15~17歳の未成年者で構成される青年評議会(SK)議長と議員7人が選ばれる。任期は3年、4選は禁止。 バランガイはスペイン統治以前から存在する行政組織で、全国に4万3千のバランガイがあり、区域のインフラ整備、社会福祉、環境・衛生活動、フィエスタ (お祭り)などの娯楽、住民同士のトラブルの仲裁などの役割を持つ、いわば村長さんだ。政府から給与と予算を与えられ、その支出が一存で決めることが出来 て、何かと実入りも良いそうだ。 近所の知り合いや友達、親戚あるいは親兄弟が立候補する選挙とあって、家族ぐるみあるいは友人同士の選挙運動が繰り広げられる。応援する友人のために道端 でダンスの練習に余念の無いハイスクールの生徒や、トライシクルに乗っておそろいのT-シャツを着て行進したり、身近な選挙戦だ。 たまたま選挙直前に訪れたアンヘレスのフィールド・アベニューでは道路を遮断して応援演説会ないしショーが開かれていた。はでな衣装に身を包んだ応援者も控えていたが、あいにくの雨で観客は少なめ、当方も長居はせずに、立ち去った。 ちなみに私の相棒のジェーンのお兄さんが、ビコール地方タバコ市、バランガイ・クボのカウンセラーに立候補した。ジェーンは大分前からポスターなどを用意していたが、選挙直前の21日(木)に息子のキアンを連れて応援に出かけて行った。地元ではかなり知名度の高いジェーンは連日、自宅でパーティを開き、多くの人に食事を振舞って清き一票を依頼した。キアンも笑顔を振りまいて多いに選挙戦に寄与したそうだ。そのため農場の子豚2頭が犠牲となり、レチョンとして振舞われた。スコーターに住んでいる人々は滅多なことではレチョンなどにありつけないので、満面に笑みを浮かべて味わっていたそうだ。ジェーンの応援が あればきっと当選するに違いないと、弟のボボイが話していたが、翌日に知った開票結果によると次点の8位で当選はならなかったとのこと。 首都圏マニラではさほどの盛り上がりは見れないが、地方ではかなりはでな選挙戦が繰り広げられていたようで、私はマニラに残っていたので、その様子を写真で伝えられないのが残念だ。 ところで選挙会場は、5月の全国統一選ほどではないにしても、なかなかの賑わいだった。選挙会場のバランガイの体育館ではまるで繁華街のように人が集まっ ていた。選挙も一種のお祭りにしてしまうフィリピン人のことだから、選挙を楽しんでいるようだ。ちなみに夕べはレストランやサリサリでは酒の販売が禁止されている。酔っ払って興奮して暴力事件が起こるのを未然に防ぐためだそうだ