5月8日、WBCウエルター級のタイトルマッチがラスベガスで行われた。今回のタイトルマッチの相手は同級3位のシェーン・モズリーで、元世界3階級制覇のつわものだが、39歳という盛りを過ぎたロートルではパクヤオの敵ではなかった。試合は圧倒的な大差の判定でパクヤオが勝利し、フィリピン国民の喝采とアキノ大統領の賛辞を受けた。 試合の生中継はテレビでは行われず、映画館や劇場などで有料で公開され、料金は最低500ペソとフィリピンでは高額だ。パクヤオにはファイトマネーのほかに、この有料放送の割り当ても手にできる。パクヤオのファイトマネーは3000万ドルで、なんと13億ペソ(24億円)という天文学的数字だ。現在、世界でもっとも高額なファイトマネーを稼ぐボクサーだろう。ちなみにフィリピンでももっともお金持ちの下院議員だそうだ(パクヤオは前回の統一選で地元カガヤンデオロから立候補して当選している)。 パクヤオの試合には、いつも5人のチームがフィリピンから同行し、トレーナーやコックなど、皆、パクヤオが貧しい下積み時代からの親友だ。もちろんチームの頭は妻のジンキーだ。彼女は整形を繰り返して今の美貌を手にしたそうで、フィリピーナのご多分にもれず世界チャンピオンのパクヤオを尻に敷いている。これら5人のサポート・チームも、パクヤオのおこぼれで、もはや大金持ちになっているそうだ。 パクヤオを世界の名ボクサーに育て上げたのは彼の母親で、子供のころから、パクヤオが喧嘩に負けてくると、いかに相手を殴り倒すか、母親が実地指導をしたそうだ。現在、母親は70歳を優に超えるそうだが、今でもボクシングのスパーリングと社交ダンスが趣味の活発なおばあさんだそうだ。 ちなみにパクヤオはかつで大変貧しく、10代でマニラに出てきたときはパン屋で働きながら、ボクシングジムに通った。食事は一日一回で、お祭りなどでボクシングの試合をやって稼いだ。パクヤオが世界戦に勝つと、実家や別荘の50人を超えるガードマンやメイドに数千~数万ペソのボーナスを配るそうだが、今回は、さらに自分へのボーナスとして2百万ドル(1億6千万円)の家をアメリカで買った。 上の写真は合後のインタービューに応じるパクヤオ、パンチによるダメージも全くなくて、まるで試合前のようだ。私がテレビを見る限り、一発もパンチを食らっていなかったのではないかと思う。