ルソン島の尻尾の先端にあるビコール地方、ソルスゴン県、ドンソールはホエール・ウオッチングで有名な所だ。ホエール(Whale、鯨)といっても、ここで見ることができるのは、Whale Shark(ジンベエザメ、タガログ語ではButanding)で正確にはシャーク・ウオッチングだ。しかし、ジンベエザメはご承知の通りまるで鯨のように大きくておとなしく、優雅に泳ぐ地球上最大の魚は一見に値する。 農場のあるタバコ市からレガスピ市を経由して、南へ約2時間、ゆったりした田舎の景色を眺めながらのドライブを楽しんだ後、ようやくソルスゴンのドンソールに到着する。ソルスゴンはブルサン火山の噴火で時折ニュースになるが、普段は知る人ぞ知るサマール/レイテへの通り道でしかない。ただし、温泉などが豊富なリゾート地帯でもある。 ドンソールの街を過ぎて5kmほど行くと、一目で分かるリゾート地帯にでる。その中央あたり、ツーリスト・センターでホエール・ウオッチングを受け付けている。ホリー・ウイーク中のせいか、周囲は白人の姿が目立つ。外国人が訪れるためか、施設が清潔で、フィリピンらしい混沌がここでは見られない。 そこではシュノーケルでもぐることもできるが、器具を使っての潜水は禁止、ジンベエザメに触ることも許されない。彼らはこの地方の宝で大事に保護されているのだ。連れのフィリピン人に料金を聞かせてみたら、外国人が一人300ペソ、フィリピン人は一人100ペソだという。船で30分くらい沖へ行くそうできわめてリーゾナブルな価格だ(と思った)。さらに私は退職ビザを持っているのでフィリピンの住人(Resident)だと交渉したら、100ペソになった。しめて600ペソ足らずだ。それで料金を払おうとしたら、請求書の頭に3500ペソという数字がある。聞いてみると貸切の船代だという。件の300ペソは登録料(Registration Fee)だとうそぶく。たった30分の船旅で3500ペソはいかにも高い。この程度の船であれば丸一日分の料金だ。 それでは乗り合いはないのかと聞くと、6人のりで、一人頭600ペソ弱だという。それにしようと決めて、出航時間を聞くと4時間後だという。なんとも馬鹿にした話で、われわれ「金なし...」組みには、それだけ払って魚を見る勇気がない。したがって、今回は下見ということで、次回スポンサー付で来ようということになった。魚を見るために金をはたくのは外国人がほとんどだから、価格も外国人価格となっているようだ。さらに、昼も近いので隣のレストランで食事を取ったが、マニラ以上の値段だった。これも外国人価格のようだ。 ドンソールへの帰り道、この付近は低地で湿地が広がっている。南国の湿地で育つのが下の写真のニッパ椰子だ。幹がなくて葉だけの椰子で、屋根材として使われ、いわゆるニッパ・ハットの原料となる。