退職ビザを取得するためには健康診断を受けなければならないが、私がもっぱら利用しているのが日本人会クリニックだ。ここはマニラ日本人会が経営し、日 本人駐在員のためのクリニックだが、日本人の医師もいて相談にのってもらえる。場所はブエンディア通り、RCBCタワーのとなりのとなり、トライデントタ ワーの23階にある。ここはマニラ日本人会やマニラ日本人商工会議所の事務所があるところで、たとえ日本人会に加入していなくとも診察や健康診断はしても らえる。 この日本人会クリニックとの関わりは20年以上になる。私が企業の駐在員としてフィリピンにいたころ、私自身ばかりではなく、フィリピン人社員 の健康診断もここで受けるなど、クリニックの経営に少なからず貢献してきた。そのころ、日本人会クリニックでフィリピン人医師として働いていたのが、この ホクソン先生だ。現在は優に80歳はは超える年齢で、毎週土曜日、妊産婦の検診などをしているそうだ。腰は少々曲がっているものの、いまだ現役として働い ているのはすばらしい。 ホクソン先生と私の兄は奇しくも医療学会などで既知の仲であり、そのころ、カマヤン(フィリピン料理の老舗レストラン)などで一緒に食事をとったりした のを覚えている。そんな縁でホクソン先生には、会社のかかりつけ医師として、毎週1回、アラバンの事務所に来てもらっていた。 そんな縁の深いホクソン先生に15年振りに再開したのだが、先生はしっかりと私や兄のことを覚えていてくれた。そうしたら、クリニックの事務の 女性が私に向かって「あなたがTIC(日揮の子会社、現JGCフィリピン)の社長をしていたころ、この方が日本人会クリニックの先生だったのよ」と声をかけてきた。彼女達とは、現在も毎日のように接点はあるものの、あくまでも事務的なものだ。ところが、20年前からの私とクリニックとの関わりをちゃんと承 知していたのだ。 1989年以来、フィリピン在住は16年に達するが、このような古い出会いがあることはともてもうれしく思う。もちろん新しい出会いも大いに歓迎だが。 […]