マニラ新聞が発行している無料誌ナビ・マニラにビコール・エクスプレスが復活したとの記事が載っていた。ビコール・エクスプレスとは、マニラービコール地方レガスピ市を結ぶ、約500kmのフィリピン唯一の長距離列車。一日たった一本、約12時間かけて走る夜行寝台列車だ。現在は長距離バスに押されて、その存在意義が疑問視されるが、フィリピン国鉄(PNR)の威信をかけての復活だ。 昨年、マニラとラグナを結ぶ通勤列車が、韓国から援助された列車を使って運転されているが、国鉄というにはあまりにもお粗末だった。そのため、日本から援助されたかつてのブルー・トレイン「北陸」を使っての長距離路線の復活はPNRの祈願だった。 ここ数年来、マカティの南、サウス・スーパー・ハイウエイ沿いを走る線路のスコーターが撤去され、通勤列車が走り始めたが、線路はがたがたで、いまだにスコーターの住民の昼寝の場所になったりしている。 ビコール・エクスプレスは、2006年の超大型台風レミンの被害で、鉄橋がいたるところで破壊され、約5年間、不通になっていた。この台風ではビコール地方タバコ市にある我が家も屋根が吹き飛ぶという大変な被害を被った。 レガスピの手前のリガオ、私は、レガスピを訪問することが多いので、まさかこんな状況の線路に列車が走るはずがないと、その復活を信じることができなかった。 レガスピの中心地の近くに駅があるので、今回の訪問を期に立ち寄ってみたが、そこは相変わらずの廃屋だった。 しかしながら、ここでクリスマスの模様しものが開かれるようで、飾り付けがあった。中では公園のように人が散策していた。普通の駅と違って線路はここで行き止まりだから、駅のプラットフォームの端が駅舎となっている。運賃は片道655ペソ、車内は清潔だが、乗り心地は今一、現在脱線横転事故の復旧で運休中だそうだ。 ちなみにビコール・エクスプレスは、ビコール地方の名物料理の名前でもあり、トウガラシとオキアミをココナッツで味をつけた、フィリピン唯一の辛い料理だ。だから、甘党のフィリピン人の中にあって、ビコラノだけは辛党で知られている。