5月13日(月)、いよいよ、3年毎の統一選挙の時がやってきた。今年は大統領の選挙がないので、盛り上がりに欠けた感があるが、上院議員の半数、下院議員、市長など役約18000のポストが争われた。ちなみに、この日は特別休日となり、多くの人が故郷に戻って選挙に臨んだ。 これに先立ち、中央選管は、通常2日間の禁酒令を、5日間に延長する指示を出した。しかし、各方面からの抗議で、最高裁がこれを差し止め、普段の2日間となった。私も、5日前の9日(木)、あわてて2ダースのビールを買いだめしたが、徒労に終わった。 さらに中央選管は、10万ペソ以上の現金取引を禁止する措置を発表した。これは選挙人の買収を阻止する目的があったが、中央銀行を初め、多くの団体が、通常の商業取引を阻害するする恐れがあると、抗議が沸き起こり、これもまた、最高裁で差し止められた。 アロヨ前大統領に大統領の座を追われ、違法賭博、フエテンの罪で終身刑を受けながら、即座に恩赦で釈放された元大統領エストラーダはマニラ市長選に出馬した。映画のヒーロー役で庶民の指示を受ける76歳のエストラーダは庶民の街キアポで有権者の最後の支持を募り、未だ健在振りを示していた。マニラ市長選の本命は現職の堅物のリム(83才)だが、エストラーダが勝てば、マニラも再び面白くなるだろう。翌日の開票結果ではエストラーダがリードしているが予断は許されない。 この日、KIANの散歩がてら近くの投票場の取材に出かけて行った。我が家のあるサンアントニオには副大統領のビニャイとその息子でマカティのメイヤーのジュンジュン・ビニャイが住んでいるので、ひそかに彼らとの遭遇を期待していた。 KIANは歩くのが嫌いで、いつもヤヤにすぐ抱っこをねだるので、しばらく使わなかったベビーカーに乗せて出かけて行った。最近は雨が降ることが多く、いよいよ雨季入りを期待させる。特に、この夏は異常に暑く、35度に達する日が多かったので、ほっとしている。このベビーカーには日よけがついているすぐれものだ。 ふったりやんだりの小雨だったが、照りつける日差しがないので幸いだった。10時をすぎていたので、フィリピーノにおやつは欠かせない。お祭り気分の投票場の回りにはスナック売りの屋台がたくさんでいていて、20ペソで揚げ物のおやつを買ってやった。 途中の道路には候補者のポスターが所狭しと張られている。地元だけにビニャイ一家のポスターが目立つ、ちなみに娘は上院議員に立候補している。 近所の投票場は、多くの人が列を成す。数十年、選挙を遠ざかっている私だが、日本と違って70%以上の投票率を誇るフィリピンでは投票場は人で埋っている。 投票場の外にはクモンの張り紙があったが、学習塾のクモンはフィリピンでもかなり幅を利かせているようだ。 投票場のすぐ前にはビニャイ副大統領の家があり、家の前にはフィリピンでは1000万円以上もするトヨタのランドクルーザーが何台も止まっていた。いつぞや、インとラムロスのサンアガスティン教会の前で見たプレートナンバーが「2」のやつだ。 投票場の前ではビニャイが属する野党、統一民族主義者連合(UNA)の候補者名前が書かれた投票用紙のサンプルが配られていた。金で票を売る貧困層にはいかにもわかりやすい。このサンプルと共に現金が渡されるらしい。 ビニャイ副大統領の家の前、サンアントニオ国立高校の前に来ると、どこかで見たような若者がインタビューを受けていた。まさにビニャイ副大統領の息子で、今回2期目のマカティ市長に立候補しているジュンジュン・ビニャイ、マカティ市長だ。 全国37000箇所に及ぶ投票場が厳重に警備されている。特に副大統領のビニャイが投票するこの投票場は警備が厳しい。 […]