8月18日(日)夜半、激しく降り続いた雨は、恒例のマニラ名物の洪水、道路冠水を予測させるに足るものだった。この日は、朝9時から打ち合わせの予定があり、客からは、今日のミーティングは行われるのかと朝、早くから携帯メールが入っていた。一方、ミーティングの相手、デベロッパーからは、当然のことながら何の連絡もない。周囲の反対を押し切って、行くだけは行って見ると勇んで家を出た。 しかし、コンドミニアムの外の道路に出てみると、そこには道路はなく、まさに川だ。水深は40~50cmはあろう、車が通れる代物ではない。マニラのマニラたる所以を思い知った。 ひざうえまで水位があるから、50cm程度はあるだろう 通りを行くのはゴムボートを押して、救助に向かうその筋の人だけで、さすがに道行く人はいない こんな状況では、もはや、何も迷うことはない。客にメールを入れて、ミーティングの中止を告げ、事務所に戻り、E-メールでデベロッパーに次回のアポを取り直した。デベロッパーからは相変わらず、無しのつぶてだ。我が家があるエリアは道路より1m以上高くなっており、特にこれといった状況にはない。しかし、皆、家に引きこもっていると見えて、車が道にあふれている。 テレビではいち早く首都圏の官庁は、すべて休みとアナウンスしており、ところによっては車が水没するような状況にあることを報じていた。実際問題、マカティの中心部は全く冠水はなくて、平常に機能している。しかし、いたるところで道路が冠水しているために通勤してくる従業員が事務所にたどり着けないのだ。そのため、官庁はもちろん、民間会社も休みにしてしまうところが多い。 昼近くになって、雨も収まっていてので道路の様子を見に行った。多少は水位は下がっていたものの、まだまだ、車が走れる状態ではない。しばらく眺めていると、無謀にもこの水の中を走っていく車があった。とんかつ屋の主人によると、30人前の弁当を買って、ミーティング中の日本人会の方々に届けるのだそうだ。後で知ったことだが、ほとんどのレストランは閉まっていて、こんな時に働いている日本人は兵糧攻めにあってしまったのだ。だから、運転手は洪水などにかまっておられず勇気を奮って水煙を上げながら爆走していったのだ。 午後になると、30cm程度に水位も下がってトライシクルやパジャック(3輪自転車)が走り始めている。 こんな時は彼らの稼ぎ時なのだ。道路を渡すだけでお金を支払ってくれるのだから 水位が10cm~20cmくらいになると、人々は、ほとんど日常の暮らしを取り戻すようだ。 この程度になれば、三菱パジェロなどのSUVは悠々と走ってゆく。だから、マニラではSUVが必須で、自家用車の半分くらいはSUVではないかと感じる。 そして、この夜、再び猛烈な雨が降って翌19日(火)も、官庁は休みとなった。それに21日(水)ニノイ・アキノ・ディで元々休み、したがって17日(土)から、思いがけない5連休となってしまった。ちなみに今回の大雨は、ルソン島の北を通過して台風マリン(12号)の影響で南西季節風が吹き込みが強まり、3~4日も雨が続いた。合計の雨量は1000mmに達するところもあって、2009年にマニラを襲った台風オンドイに匹敵する被害をもたらしたそうだ。しかし、洪水に慣れっこのマニラ子は屁にも思っていないようだ。