Daily Archives: September 20, 2013


フィリピンの携帯電話の普及は目覚しいものがあり、現在はハイスクール以上の全国民が一人一台あるいは2台持っているのではないかと推定される。そうなると、国民の4人に3人は持っていることになって、その数は7千万台程度となる。シェアはGlobe、Smart、Sunが市場を分け合っているが、各社とも熾烈なシェア争いをしている。  フィリピンで普及しているのはプリペイド方式で、ロード(チャージ)した分だけ使えるというもので、携帯の器械とシムカード、それにプリペイドカードを買ってロードしたら、その場で使えるという便利なものだ。また、電話会社の乗り換えはシムカード(一枚50ペソ)を買い換えるだけだから、簡単にできる。一つの器械で何枚ものシムカードを使い分ける人もいるし、ダブルシムなんて器械もある。  だから電話会社はユーザーをつなぎとめるのに必死だ。ちょっと油断すると、ユーザーは50ペソ支払って、ほかの電話会社に移ってしまう。各電話会社の売りは、アンリテキスト(Unlimited Text、フィリピンではメールのことをテキストと呼ぶ)あるいはアンリコール(Unlimited Call)と呼ばれる、メール打ち放題あるいは電話かけ放題というサービスだ。例えば、20ペソ払えば、一日中メールが打ち放題などというものだ。ほとんどのフィリピーノは恋人との交信などにこれを利用して、実に、一日中メールを打ちまくっているのだ。  さらに同じ電話会社同士なら、通話料無料などというのもあって、外でメイドなどが、仕事をさぼって数時間も話しまくっている。こんなサービスをしていたら、電話会社は共倒れになってしまうのではないかと心配になるが、したたかな戦略を持って、彼らはたくみに通信料を稼いでいるのだ。  最近、ある退職者が日本へ帰るので、フィリピンの携帯が要らなくなったからと、おいていった。それを私の緊急用の携帯として持ち歩くことにした。いつも使う携帯の電池がなくなったり、ロードがなくなったりしたら、それを使おうという算段だ。また、カラオケなどでGRO(Guest Relation Office、ホステス)に携帯番号をせがまれたら、むげに断れないので、その番号を教えてお茶を濁すという利用方法もある。  その携帯は、めったに使わないので、ロードもほどほどに入れておいた。ちなみに、ロードには金額ごとに有効期限があって、数週間ないし数ヶ月するとロードは取り上げられてしまう。さらに、日本に帰ったりして長期間携帯を使わないと、シムカードそのものが無効になってしまう。だから、空港にはシムカードやロードを売る店が待ち合わせ場にある。  ある日、その携帯でメールを打とうとしたら、なぜか打てない。確か数十ペソあるはずのロードが有効期限内なのになくなってしまっていたのだ。携帯を新規にロードするとFree Textというものがもらえて、それは200回以上残っていたからメールはできるはずなのに、ロードがないとそれも使えないようだ。それから、再びロードして、全く使わないで、ロードの残りを毎日チェックした。ちなみに電話会社を呼ぶと一回1ペソで残りのロードをメールしてくる。そうしたら、毎日、10ペソずつロードが自動的に引かれていることを発見した。そういえば、このFree Textというやつも、そんなに使ったはずもないのに、どんどんなくなっていく。  一体、全く使わないのに何で料金がかかるのか、摩訶不思議な現象を解明しようと、ロードの残りのチェックは十数日続けた。ということはそのために数百ペソ費やしたことになる。もしかして、普段使う携帯も同じ現象があるのではないかと、夜、寝る前に残りをチェックして、翌朝、再度チェックしたら、見事に 10ペソ引かれていたのだ。普段は頻繁に使っているので、10ペソのロードの減少は気づかないが、夜の間に密かに差し引かれていたのを確かめることができた。 […]

プリペイド携帯電話の怪 2013年9月20日