現在、フィリピンでもっとも人気があり、偉大なタレントと言えば、バイスガンダ以外に名を上げることはできない。かつては、シャーロン・クネタ(女優、歌手)、クリス・アキノ(女優、現大統領の妹、英雄コーリーアキノ元大統領の娘)あるいはフェルナンド・ポー(俳優、元大統領候補)やドルフィー(コメディアン)など、時代を画するタレントがいたが、現在は、バイスガンダ以外にこれといったタレントはいない。キム・チューやサラ・フェロニモ、マリアン・リベラなどの女優は単なる可愛子ちゃんで、タレントと呼ぶには程遠い。 バイスガンダとは「バイス」がVice Presidentの「VICE」で副という意味、「ガンダ」はタガログ語で「美」という意味の二つの単語を合成したもの。オカマのバイスガンダにはぴったりの名前だ。彼は、ちゃきちゃきのコメディアンで雰囲気的には日本の物まねタレントののコロッケに似ている。しかし、その抜群のトークは、上院議員のミリアム・サンチャゴ女史や元大統領のエストラーダを手玉にとって笑わせてしまったというほどのものだ。彼の話術にかかると、可愛子ちゃんタレントも、つい本音が出てしまい、テレビで何でもさせられてしまうほど。彼はオカマであることを前面に出して、かえってそれを売りにしている。男でもない女でもないバイスガンダに誰もが心を許し、打ち解け、その話術に翻弄される。 テレビではいつも厚化粧に真っ赤な口紅をつけて登場、フィリピンのオカマのアイドルでもある。180cmの長身で舞台でもかなりの存在感がある バイスガンダは、かの東洋一と言われるスラム街、トンドで1976年3月31日に生まれ、本名はJose Marie Borja Viceralという長ったらしい名前(奇しくも、今日、2月24日が誕生日の私の相棒のジェーンと同い年だ。しかも、3月31日はKIANの誕生日でもある)。父親はバランガイ・キャップテンでオカマのバイスガンダには、いつもきつくあたっていたらしい。しかし、バイスガンダの目の前で射殺され、それが、バイスガンダのトラウマになっている。Far East University(FEU)で政治学を専攻したバイスガンダは1999年から芸能活動を開始した。はじめは、ナイトクラブなどでコメディをやっていたせいで、下ネタ中心のジョークで、嫌いな人もいるが、そのハイセンスなジョークには誰もが舌をまいて笑い転げる。学生時代はなんとも当たり前な顔つきだった 2009年、ABS-CBNテレビの番組「It’s Showtime」で、メジャーデビューを果たしたバイスガンダは、タレントとして不動の地位を確保した。2011年には「Gandang Gabi, Vice!(こんばんわバイスです)」が開始され、バイスガンダがテレビに出ない日はないほどになった。現在は、クリス・アキノに取って代わる、間違いなくABS-CBNの看板スターだ。 有名人や有名タレントをスタジオに呼んでのトークショーはゲストの意外な一面を引き出して、笑いにつなげる 2010年5月、統一選挙ではビニャイ、マカティ市長候補に対立したメルカド候補の選挙戦にに出演(?)、舞台を縦横に歩き回るパーフォーマンスに聴衆はやんやの喝采を送った