Monthly Archives: May 2016


5月9日の統一選(大統領選)は、事前の支持率調査の通り、ドテルテ候補(現ダバオ市長)の圧倒的勝利に終わった。それから2週間、新聞(マニラ新聞)では、毎日、ドテルテ新大統領に対する期待の記事が掲載され、選挙前の批判、懸念の記事はほとんどない。巷の人々も、国民が民主的に選んだ大統領ということで、まずは期待の目で見守ろうといういう声が多く、国民そして政財界が新大統領を受け入れた格好だ。 高らかに勝利宣言をするドテルテ候補 一方、副大統領は現政権の信任を得たロブレド候補(現下院議員)が僅差でリードしているが、対立候補のマルコス候補(現上院議員)は選挙集計に不正が行われたとして、追求の構えを崩さず、泥仕合の様相を呈している。しかし、悪あがきといった見方が一般的だ。 その他着目すべきは、上院議員選挙ではボクシング界の英雄、パクヤオ候補(現下院議員)が12名の改選に対して第7位で当選を確定した。一方、ビナイ副大統領(今回の大統領選で敗北)の次女のアビー・ビナイがマカティ市長に当選したが、それを不服とするベニャ候補(現市長)を支持する市職員が選挙に不正が行われたとして職場を放棄するなどの混乱が生じている。さらにフィリピンで初めてとなるトランスジェンダー(オカマ)のジェラルディン・ロマンがルソン島バタアン州から立候補し下院議員に当選した。 以下は投票日以降のマニラ新聞の一面の見出しだ。 5月10日(火):新大統領にドテルテ氏ー比国民、変革に期待 5月11日(水):連邦制移行に意欲、会見へ制憲議会立ち上げも(ドテルテ市長)、会見で敗北宣言(ロハス、ポー両氏)ードテルテ市長を祝福 5月12日(木):円滑な交代を約束(アキノ大統領)、米中両国が期待感、マルコス氏が不正疑惑指摘ー中央選管は反発 5月13日(金):治安向上と発展で支持拡大ー真の分権実現に夢託す(ダバオ市民が語るドテルテ氏)、ドテルテ氏当確を歓迎ー専従民族と欧州連合が声明 5月14日(土):大統領選を振り返って、異端の指導者を押し上げた30年の怠慢(解説) 5月15日(日):休刊日 5月16日(月):犯罪者は命を失う、撲滅に決意を再表明(ドテルテ氏)、選挙プログラム修正に物議(マルコス副大統領候補) 5月17日(火):死刑復活を表明(ドテルテ市長)、ドテルテ市長と会談(日本大使)-事実上の当選を祝意、悪徳警官をあぶり出しー国家警察が内部捜査開始ードテルテ氏発言を受け 5月18日(水):ドテルテ氏の豪腕に期待(日本商工会議所藤井副会頭) 5月19日(木):差別乗り越え下院で当選ー比初のトランスジェンダー議員、オバマ米大統領が祝意表明ードテルテ氏と電話会談 […]

統一選(大統領選)のその後ードテルテ効果 2016年5月22日


5月9日行われた統一選挙の投票は、即日開票が行われ、夜のテレビでは早くもドテルテ候補の大統領当選確実との報が流れていた。開票結果の途中経過では、事前の支持率調査と全く同じで、ドテルテ候補は圧倒的な優勢を誇り、いよいよドテルテ大統領が実現することになった。一方、アキノ路線を踏襲するロハス候補とポー候補は、アキノ大統領が投票直前に候補者を一本化するよう働きかけたとおり、二人を合わせれば、ドテルテを辛うじて上回る票となっている。しかし、政財界はダーティハリーを標榜するドテルテ候補に大統領としての資格があるのか、疑問ないし反発しているので、このまますんなり政権交代が実現するかどうかは予断を許さない。 開票結果を速報するABS-CBNのキャスター 事前の支持率調査に比べて、ビナイ候補の票がドテルテ候補に流れているようだ(午後10時の集計) 約40%の票を集めて独走するドテルテ候補 事前の調査どおり20%強の票を集めているロハス候補 やはり20%強の票を集めたが選挙戦開幕当時の勢いは復活しなかったポー候補 選挙戦終盤、失速して15%弱の得票率にとどまっているビナイ候補 予測どおり一桁の得票率に終わったサンチャゴ候補 翌、10日、順調に票をのばし、支持者に囲まれながら、高らかに勝利宣言を行うドテルテ候補 一方、副大統領はマルコス候補と与党公認のロブレド候補の一騎打ちとなっている。9日夜の時点ではマルコス候補が僅差で首位となっていたが、10日の朝では同じく僅差でロブレド候補が首位に立っていた。副大統領選は最後まで予断を許さない状況だ。政界の異端児のドテルテ候補については、現政権も懸念を示し、ドテルテ降ろしののろしを 上げている。しかし、ボンボン・マルコスが副大統領に地位にあったのでは、かつてアロヨ大統領がそうであったように、ドテルテ降ろしは、返って宿敵マルコ ス政権の復活の手助けをしてしまうことになりかねない(アロヨ副大統領は、2001年、エストラーダ大統領をエドサ革命2で大統領の座から引きずり降ろ し、自らが大統領に就任し、以降、2010年、ノイノイ・アキノが政権につくまで、腐敗政治を続けた)。その点、現政権よりのロブレド候補が副大統領になれば、ドテ ルテ失脚というシナリオにおける切り札に使うことができて、大統領選の行方以上に重要な役割を担うことになる。 上位二人マルコスとロブレドは僅差で争っている […]

ドテルテ候補が新大統領に当選 2016年5月10日



昨日まで、街頭そしてテレビで熱戦を繰り広げていた統一選(正副大統領、上院、下院、正副知事、州議、正副市長、市議、正副町長、町議、合計約1万8千議席)が、いよいよ投票日を迎えた。この日のために多くの有権者(18歳以上)は投票をするために田舎に帰り、投票率は70%を優に越えるそうだ。フィリピンでは、その地に6ヶ月以上住んでいないと投票権がないためだが(ちなみに候補者は10年)、投票日はマニラが空っぽになる。投票の結果は締め切りから24時間、11日の朝に判明するとのことだ。 選挙の宣伝カーは意外と少なく、党派ごとの演説集会とポスターが選挙運動の主体だ ここのところ暑い日が続いているので、サリサリは選挙ポスターを日よけに使っている 投票までの手続きはこうだ。①選挙権を満足する証明を提出して事前に登録する ②自分の整理番号を掲示板から探す ③受付で整理番号とIDを示して本人確認を行い投票用紙をもらう ④投票用紙に目当ての候補者に印を付ける ⑤投票用紙を機械で読み取ってもらう ⑥プリントされた投票の記録をもらって再度投票箱に提出する ⑦ 投票終了のマークを手に記してもらい二重投票を防止する 投票所に掲げられた投票の手順(タガログ語なので私には意味がわからないが) 掲示板のリストから自分の名前を見つけ、番号を確認する(日本のように投票のための通知は来ない) 番号を確かめ投票用紙を受け取る 統一選のため、大統領以外にも大量の候補者の名前に印を付けなければならない 投票用紙を自動的に読み取る機械(人の手を介さないので不正は起きようがない、ような気もするが蛇の道はへびらしい) 選挙となると熱くなり、暴力沙汰がおこることもしばしばで、前日からアルコールの販売や、店でアルコールを提供することは禁じられている。いわゆるアルコール・バンだ。しかし、外国人は大目に見られているようで、日本レストランではアルコールを提供しており、逆に多くの日本人以外の客もたくさん訪れていた。 コンビニ入り口のアルコール販売の禁止を告げる張り紙 コンビニの張り出しによると、アルコールの販売禁止は、5月8日12:00amから5月9日11:59pmとなっている。この場合、私には、8日の昼から9日の夜中までの一日半、販売禁止と読める。一方、マニラ新聞には8日の午前0時から10日の午前0時まで丸々2日間の販売禁止となっており、これが正解だ。フィリピンでは0時という表記をしないので、12:00amは午前0時の夜中のことで、12;00pmは逆に午後0時の昼間をさすのだ。だから気をつけないと深夜と昼を取り違えてしまう。いっそ、24時間表記を広めたらこんな混乱はなくなると思うが、フライトが1500や2300などと書いてあると、ほとんどフィリピン人は一体何時なのか理解できない。 コンビニのアルコール売り場は覆いをかぶせている 普段は渋滞がひどい月曜、早朝のパソンタモ通りに車の陰はほとんどない 私の住んでいるサンアントニオ・ビレッジにはビナイ大統領候補(現副大統領)が住んでいる。投票所のちょっと先には別の投票所(双子の片割れアリアの通う学校)があり、そっちを覗いてみた。投票所(学校)の至近距離にはビナイ候補の邸宅があり、ひょっとしたらビナイ候補の投票にでくわすかも知れないという魂胆だ。 […]

統一選(大統領選)がいよいよ投票日を迎えた 2016年5月9日