フィリピンで就労している場合、外国人であってもフィリピンへの納税義務があるため、TIN(Tax Identification Number:納税番号)の取得が義務付けられている。日本のマイナンバーに近いものと思ってよいのだが、このTINは就労していなくてもコンドミニアムの売買、株式投資、遺産相続など納税の必要が出た場合にBIR(Bureau of Internal Revenue)という日本の税務署にあたる役所から提示を求められる。フィリピンで就職した場合、TINは雇用する企業がまとめて取得等の事務処理を行うため、就職時にTINの存在を意識する必要はない。 一方SRRVの取得にはTINは必要ないため、ほとんどのSRRVホルダーはTINを持っていない。しかし、上記のような事柄に関連してCAR(Certificate Authorizing Registration:納税証明書)を申請する際、売買では売り手と買い手、相続では相続人と被相続人双方に必須の情報となるため、TINが必要となってくる。 就労していない外国人にとってこのTINの取得が難関なのだ。また、TINの番号だけでよいか、あるいはTINカード(TINが印刷され、顔写真を貼付できる紙製のカード)が必要なのかによってその難 易度が大きく異なる。端的に言ってTINカードの取得はフィリピンで就労していない場合は、よほどのコネがない限りその取得は不可能といってよい。 さて、件のSIRV申請中の方と、SIRV取得に必須である株式投資のためにフィリピンの某大手証券会社に訪れた。証券口座を開設するためだ。口座の開設には顔写真付きのID、現住所を証明できるもの、銀行口座等が必要なのだが、その必要書類のリストの一番下に目立たぬように、難敵であるTINが記載されている。申請者はフィリピンで就労していないので、当然TINを持っていない。 証券会社の担当者よりTIN取得の要領が記載されたペーパーを渡された。そこにはインターネット上でTINを取得できることも記載されているのだが、よく読むとフィリピン人用であり外国人は対象となっていない。口座開設者のTINを証券会社の方で代わりに取得してもらえないかと要求してみたのだが、それはできないという。現地証券会社でできないものが一外国人にできるわけもないと思うのだが、そのあたりの企業努力はされていないようだ。後日、申請者はインターネット上でTIN取得を試みたそうだが、何度操作しても「BIRに訪れ申請してください」と表示され、どうにもならなかったそうだ。 当方としては金にものを言わせれば何とかすることができるのだが、今後も常にネックとなることなので、今回は正攻法、つまりBIRに訪れ担当デスクでTINの取得を試みることとした。 まず、証券会社としては必ずしもTINカードを要求しているわけではなさそうなので、まずはTINの番号の取得を試みることにした。さらに色々と調べていくと、どういうわけか就労していない外国人の新規TINの発行は、現在はケソンのBIR […]