時がたつと世相も変化してブログの話題にことかかない。ドテルテ旋風は相変わらず吹き荒れて、これでもかこれでもかと新規法案を可決・署名して、当方としては右往左往させられる。一方、一世を風靡したFace Bookも個人情報の流出で史上最大のペナルティを課せられるなど、かげりが見え始めている。そして最近、街を走っていて目立つのがバイクタクシーのアンカス(Angkas)だ。 今までの公共の陸上交通機関といえば、大きいものから電車、バス、ジープニー、UVサービス、タクシーないしグラブ、トライシクル(3輪オートバイ)、そしてパジャック(3輪自転車)とすべて客用の座席のあるもので、二輪車の相乗りは許可されていなかった。ちなみに庶民の足であるトライシクルやパジャックはマカティなどの都心部では交通渋滞の元凶と乗り入れが許可されていないので、渋滞で車が動かない時は歩くしかなかった。 そしてここ数年、目立ち始めたのが自家用モーターバイクだ。渋滞に対する対抗手段として庶民が手にしたのが自家用のバイクで、車の間をすり抜けてグネグネと走り、反対車線もくそくらえ、車の寸前を横切るバイクは運転手泣かせだ。交差点ではバイクが前列を占め、信号が変わると0-400加速のレースさながらの勢いで爆走する。 一時一世を風靡したグラブ・タクシーも一般のタクシーと同様、ラッシュアワーには来てもらえないことが多く、その利便性にかげりが見え始めた。そこで登場したのがアンカス・バイクタクシーだ。渋滞をもろともしないバイクだから、すぐに飛んできてもらえる。都心の街を走るバイクの半数がアンカスではないかと思えるほどの隆盛を極めている。 ちなみにアンカスを公共交通機関と認める法案が可決されたのが今年の2月、試験運用が6月開始、そして現在一口に3万台とも言われるバイクタクシーがマニラとセブの首都圏で運営されている。たしかに事業資金はタクシーの10分の一程度、渋滞にも強くて排出ガスもはるかに少ない。タクシーに乗ったとしてもほとんどが一人で利用するのだから、まさに良いこと尽くめの庶民の味方だ。 運賃はタクシーの半分程度で一日に2000ペソ程度の上がりがあって、ガソリンや車両代を差し引くと700ペソ程度の手取りになるそうだ。月に15000~20000ペソの手取りで悪くない仕事だ。まさに渋滞に対する庶民の対抗手段のエースで、ビルドandビルドと道路を作るだけが能ではなくて、規制緩和が肝心なのだ。