パンデミックも明けて、日本への渡航も自由になったものの、特にこれと言った差し迫った理由もなしに、日本まで出かけて行くのも億劫だ。一昨年は次兄の葬式にも出席できず、家族に会ったのはパンデミックを挟んでもう7年も前になる。そこで湧いて出たのは、ビジネスパートナーのママ・ジェーンが、お世話になった日本人が脳溢血で倒れて、寝たきり介護状態で、どうしてもお見舞いに行きたいと言い出したのだ。どうせ行くなら子供達、3人にも日本を見せたいというわけで、是非、私に案内をして欲しいと懇願された。 私としては日本に行くきっかけとして好都合なのだが、クッキー(7歳)、ココ(4歳)まで連れて行くのは、子守りまでしなければならないので、大いに躊躇されるところだった。一方、私が同行しないと14歳のキアンが案内から子守りまでさせられてたまらんと嘆いていた。しかし、足代を持つというので、重い腰を上げて、同行することにした。ただし、前半はお見舞いと、子供たちの接待で3泊4日、後半はわたしの家族との時間で、4泊4日、合計で、7泊8日の旅程とした。私の仕事上、せいぜい一週間が限度と踏んだのだ。 家族に連絡すると、特に妻は興奮状態で、長兄の訪問、次兄の墓参り、3人の息子夫婦と孫との家族会、さらに最近日本に家族で移住した次男の住まいの訪問など盛りだくさんの予定のスケジュールを立てるのにてんやわんやとなった。 私としてはホテルの予約、子供たちの接待、ママ・ジェーンの買い物どころと、いろいろ思案してスケジュールと予約にてんやわんやとなった。ホテルは成田空港へのアクセスが良く、お見舞いに行く板橋の介護施設にも行きやすい、前回の札幌旅行でも泊まった上野/御徒町近辺の安宿と決めた。子供達の接待にはママ・ジェーンの第一希望はディズニーランドだったが、ここは、ほとんど一日中順番を待って並んでいるだけなので、却下。フィリピンでもなじみだった、豊洲にできたキッザニア、そして、東京スカイツリー、歩いて行ける上野動物園と決めた。ママ・ジェーンの買い物どころは御徒町周辺に安売り店がひしめいているはずだ。 航空便はLCCとしては質が高いと評判のZIPAIRとして、帰りはJET STAR及びCebPacificとしたが、費用は5人で、約10万ペソ(28万円)で、一人当たり6万円弱でパンデミック前の水準に戻ってきているようだ。JALの子会社のZIPAIRは評判通り、LCCとは思えない最新鋭の飛行機で快適な旅ができた。 LCCでは飛行機の中で食事は軽食を注文することになる。現金での支払いは不可で、試しにフィリピンの銀行のATMカード兼デビットカードを使ったところ、OKだった。しかし、しばらくして銀行からの通知で「銀行からの確認の電話にでなかったので、直ちにカスタマーサービスに電話をよこせ、さもなくばカードを使用停止にする」というのだ。これから日本でもカードを使おうと思っていたのに、飛行機から電話も通じないし、日本から電話をするにも携帯はもっていないし、困ったことだ。幸い、現金主義の私は、あらかじめ円を手配していたので、事なきを得たが、なんとも理不尽な規則だ。たった1500円の使用について、いちいち使用確認の電話をすることもなかろうにと思うのだが。フィリピンにもどってから、支店に行って回復を依頼したら、即刻OKになったが、次回海外に行くときはやはり現金を用意していかざるを得ないようだ。 ホテルは京成上野駅から御徒町の方向に歩いて10分くらいのところに、二部屋3泊、65000円で泊まれたが、一泊一部屋一万円強、クイーンズベッド一つの、それなりの狭苦しい部屋だったが庶民には十分だ。到着は夜になったが、上野広小路近辺の通りには、群がるようにして若い娘さんがレストランやカラオケの呼び込みをしている光景に目を見張った。そして、窓からはドン・キホーテの看板が見えて、ママ・ジェーンの買い物には超便利なところで思惑通りだった。さらに一階にはファミリーマートがあって、サンドイッチで朝食も済ますことが出来た。 翌日は、キッザニア訪問。御徒町から新橋を経て、ゆりかもめで向かう。ビルの間を縫うようにして無人運転の電車に子供たちはいたく興味を覚えていた。クッキーとココは電車というもには乗ったことがないので、改札口を通るたびに興奮していた。なお、計画では豊洲市場に寄り道する予定だったが、毎週、水曜は休みで断念した。 キッザニアの内部は雰囲気的にフィリピンのものと一緒で、あまり変わり映えはしなかった。しかし、クッキーやココは、フィリピンのキッザニアがパンデミックで閉鎖したので、ほとんど経験が無くて、それなりに楽しみにしていた。当方は、いつものように付添人の休憩所で時間をつぶしたが、ママ・ジェーンはここぞとばかり、子供たちに張り付いて、写真撮影に夢中で、入れ替え時間になってもあらわれず、やきもきさせられた。 キッザニアの予約は12時から午後3時までなのだが、ママ・ジェーンがFace Bookでライブをやっているようで、子供たちは、彼女のリクエストに答えて、ポーズをとらされ、彼女が気に入るまで何度もやり直しさせられて、楽しむところではない。それを私が時間だから退場するように促しても、うわの空で、果ては、私になぜ急がなければならないのかと食ってかかってくる始末だ。私は、心の中で、ここは、フィリピンじゃないんだと、叫んでみてもはじまらない。 キッザニアの帰りは買い物タイム、ホテルの近く、御徒町、上野広小路にはアメ横をはじめとするディスカウントショップがひしめいている。ママ・ジェーンの目的は格安ブランドバッグと化粧品、キアンは最近、凝っているプラモデル。そのため、中古品売買のメッカ、MODE OFFとHOBBY OFFに案内した。 […]