Monthly Archives: March 2025


コロナ・パンデミックが終わってマニラに舞い戻ってからは、外出はもっぱグラブ・タクシーに頼っている。かつては運転手付きの自家用車を利用するか、あるいは自分で運転していたが、高齢者ドライバーの事故が相次ぐ中、しかもパンデミックで丸々4年間自宅に引きこもっていたせいで、もはや運転する気にもなれない。 そこで、恐る恐る使い始めたのがグラブ・タクシーだ。パンデミック前に試したものの、いつまで待っても来やしない、しかも、夕方、雨の中とあって流しのタクシーも捕まらず、最後は、キアンの手を引いて、歩いて帰って来たという苦い経験がある。しかしながら、5年以上の歳月が流れて、呼べば必ず来るという、しかも待ち時間はせいぜい長くて10分ということで、十分に実用に耐えうるまでに改善されていた。メトロマニラには一万台のグラブ・タクシーが走っているというから、さもありなんである。 自家用車のように目的地について駐車場を探す心配もないし、料金は流しのタクシーに毛が生えた程度、値段交渉も必要もなく、ぼられる心配もない、おまけに料金は銀行からの引き落としなので、まるで、ただで乗った気分だ。さらに、道を教える必要もないし、車も新しくて、運転手のマナーも良い、さらに乗車記録が残るので、何かあったらグラブの本部に連絡すればよいので、セキュリティーも申し分ない。フィリピンのタクシーにへきへきしている外国人にとってはこの上ないことで、特に空港からのタクシーは正規の料金の10倍程度に吹っかけられることが頻発しており、不案内の外国人にとってはこの上ない仕組みだ。 グラブ・タクシーは車両、そして運転手について、厳しい審査があり、流しのタクシーのようなボロボロの車や、ボロボロの運転手は皆無。キアンを学校に迎えに行った帰りは、タクシー乗り場にタクシーがスタンバイしているときは、タクシーに乗ることもあるのだが、乗るのが憚れるほど汚くて、運転手の態度に腹が立つこともままあるので、迷わずグラブ・タクシーに乗ることにしている。マカティに生活している限りは、もはや、タクシーや自家用車は不要な存在だ。 フィリピンのタクシーのシステムは、1台ないし数台の車を買って、陸運局(LRT)に届けて、一日、1500ペソ程度の賃料(バウンダリー)を取ってガソリンとメンテを運転手持ちとして貸し出す方式だ。したがって、あくまでも小金持ちの小遣い稼ぎで大手タクシー会社という存在は極めてまれで、運転手のマナーなどはへったくれだ。したがって、シンガポール資本のグラブが日本のように大手タクシー会社の抵抗もなく、簡単に運営の許可を取り付けたのだろう。 タクシーは初乗り料金は40ペソのままで据え置かれ、かつて600ペソ/日だったバウンダリーは1500ペソに値上がって、さらにパンデミックの後、倍近い物価上昇のおり、かなり厳しい状況にあるものと推定される。しかも、グラブ・タクシーという強敵が現れて値上げもままならず、苦戦を強いられ、ぼったくりに精を出すという悪循環に陥っているようだ。一方、我々庶民と、自家用車と、その支払いの糧を得たグラブ・ドライバーにとっては、ウインウインのなんともうれしい状況だ。まさに、インターネット、GPSなどを駆使した配車アプリのテクノロジーの勝利と言える。 この配車アプリの隆盛はタクシーにとどまらず、アンカス、ムーブイットなどのバイク・タクシーが街を席巻している。マカティの主要道路や駐車場にはバイクがあふれており、そのほとんどは、後ろに客か配達荷物を載せた商用だ。タクシーに比べて、半値程度の価格で移動できるので、一人で通学、通勤するの重宝だ。グラブ・タクシーと同様、アプリで呼べば、迎えに来てくれて目的地に下してもらえる。かつ、ジプニーで何度も乗り換えて、目的地にたどりついていたものが、一直線で行け、渋滞にも影響されず、はるかに早く到着できる。しかも夜中でも来てもらえるので安全に帰宅できる。乗車記録も残っているので、かつてジプニーの中で、脅されて物を取られるなどという事故に会う心配もない。 このバイクタクシーが日本で認可される可能性は、安全性の観点から、まずないと思うが、フィリピンにおいては庶民の味方として大いに歓迎されており、フィリピン名物、キング・オブ・ロード、渋滞の元凶と呼ばれていた、ジプニーを脇に追いやる勢いだ。おまけに職にあぶれる膨大な若者に職を与え、バイクメーカーもこの世の春を謳歌しているだろう。これもまた、最新テクノロージーの勝利といえる。一方、既存の庶民の足、ジプニーやトライシクルが苦境に立たされているが、時代の変遷でいたしかたないものと思う。 因みにジプニーは路線が決められており、このジプニーがどこを通るのか熟知していないと目的地にたどりつけない。唯一の利点は路線上であればどこでも停めて乗ったり下りたりできることだが、その路線図がないので、外国人が乗りこなすことは不可能だ。おまけにBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)には乗り入れが禁止されており、自家用車を持たない庶民は決められたジプニー・ステーションから歩いて行くしかない。 一方、トライシクルで行ける範囲はそのバランガイ付近に限定されており、マカティの中心街ないしメインの通りに乗り入れることが出来ないという不便さがある。もちろんBGCに乗り入れることなどはありえない。したがって、奥様の買い物、子供の通学程度に使える程度だ。ただし、地方においてはこのジプニーとトライシクル並びにペディキャブ(3輪車)のみがが唯一の交通手段でありグラブが進出するのは先の話になるだろう。 マニラ周辺の、中・長距離の移動ないし通勤には路線バスないしUVサービス(小型バン)が主要な交通手段であり、マニラ近郊のラグナ、バタンガス、カビテ、ブラカンなどからはバスでマニラ郊外のステーションまで来て、そこからの交通手段がグラブ等の活躍の場となる。したがって現状の渋滞地獄の解消には必ずしも寄与していないが、将来、地下鉄の開通や高架鉄道の延伸が実現したら、グラブタクシー等での移動距離は最短になり、マニラの渋滞も改善に向かうことだろう。 さらに物流にも大きな革新がおきている。フィリピンの物流の雄、LBCを脅かす存在になっているのが、香港発のララ・ムーブだ。書類、あるいは小荷物の配達をアプリで依頼すると、近場の配送員がすぐに引き取りに来てくれて、宛先に届けてもらえる。LBCのように店舗に持ち込んで、発送手続きをする必要がないので、簡便で、店舗がないから、大きな固定費もかからず、それだけ、配送員の実入りになる。長距離の輸送については既存のサービス・ステーションに持ち込むのに利用できる。 パンデミック中は、外出もできないので、PRAに書類を届けたりするのにグラブ・エクスプレスというララ・ムーブと同様のサービスを利用したが、担当者に直接渡せるので、重宝した。さらに、昨年、重要書類をLBCで送ったところ、LBC職員がストライキを張っており、配達に一週間以上の日時を要して、ひやひやしたことがあった。ストの原因は新興のララ・ムーブの職員の方が実入りが良いので、LBC職員が給与アップの要求をしたためだそうだ。 このバイク・サービスの隆盛で業績を伸ばしたのが、バンク・オブ・マカティだ。昨年、SRRVを取得した退職者にこの銀行に口座を開けたいと申し入れがあった。こんな銀行は聞いたことがなかったので、何かの間違いではないかと思ったが、確かに存在しており、バイク購入のおりのローンを提供することで、このバイク・配車、配送サービスの隆盛のおりに急成長したらしい。元々は大手バイク販売会社のMOTORTRADEの子会社で、ルーラルバンク(地方銀行)だったものが、2015年に普通銀行に昇格して、このバイクブームで、そこそこ名が知れるようになったらしい。 パンデミック中は、外食をすることもかなわず、レストランは瀕死の状況に追い込まれた。それを救ったのが、この配送アプリだ。客がレストランに注文して、パンダ、グラブなどの配送サービスを利用して客に届ける、といったものだ。かつて、ピザハット、シェーキーズ、ジョルビー、マクドナルドなど配達システムを抱えているファストフードの独壇場だった配達をどこのレストランでも可能になったのだ。これは、パンデミックで家に閉じ込められていた子供たちをどんなに慰めたか計りしれない。 […]

グラブ・タクシーとバイク・タクシーの隆盛はコロナ・パンデミックの恩恵か 2025年3月7日   Recently updated !


前回の更新から、10年の歳月が流れ、パスポート更新の時がやってきた。7月15日なので、まだまだ、時間はあるとたかをくくっていたのだが、急遽、更新を進めなければならないことになった。それが思わぬ幸いだった。 SRRVの更新が3月15日なので、まずは、少々余裕を持って、2月末に更新することにした。昨年末のルール変更による、指紋を採取を行って、さらに6か月以内に撮影した写真の提出が必要だ。近所に写真屋さんも見当たらないので、キアンに携帯で撮影してもらったが、なんとも納得のいくものではなかった。どうにも自分とは思えない出来栄えだ。ID更新そのものはやりなれているので、あっさり終わったが、どうにも他人のような品の無い私の写真が気に入らない。 しばらく時間をおいて、パスポートを更新するつもりだったが、急遽、パパ・ジェネラルが、アメリカに出張する話が持ち上がり、しかも、家族帯同が許されるとか、さらに私も家族として行くことになるかもしれないとか、思わぬ情報がもたらされた。いまさら、アメリカもないもんだと思ったが、キアンに是非一緒に行って欲しいと懇願されて、まあ、子供たちの世話役に同行する気になった。ただし、経費は負担しないでもいいという条件付きだ。 そうなると、パスポートの更新のみならず、SRRVスタンプの貼替も必須だ。最近、PRAは「パスポートを更新したら、スタンプの貼替を」と、とやかましい。入管はとなると、古いパスポートにSRRVスタンプが押されていたとしても、新旧両方のパスポートを保持していれば、フィリピンに入国にあたって、何のお咎めも無いというのが、最近、入国された方の情報だ。しかし、入管やPRAは、突如としてルールを変更する常習犯だから、ここはPRAの言う通りスタンプの貼替をしておいた方が無難だ。そうなると張り替えに1~2ヶ月かかるので、早急にアクションしないと、アメリカ行きが現実となったらやばいことになる。 日本人はアメリカ入国に当たってビザはいらないが、ジェーン一家、フィリピン人はそうはいかない。USビザ取得は、そう簡単ではないので、ママ・ジェーンは早速、準備を始めた。それで、私に下った命令は子供たちを連れて、WaltermartでUSビザ申請用の写真を撮って来いというものだ。行ってみると、いつも行っているはずのWaltermartの5階に写真屋さんがあったのだ。毎日のように行っているWaltermartに写真屋があるなんて、目から鱗のような気分におそわれた。 そこで思いついたのが、私のパスポートの更新のための写真をここで撮ろうということだ。料金は180ペソで何の負担にもならない。ココとクッキーの写真の出来栄えもなかなかのものだ。数日後、恐る恐る行ってみると、手際よく撮影してくれて、10分くらいで写真を手にしたが、さすがプロ、これが私だと納得に行くものだった。古いパスポートと比べてみると、それなりに年は取っているものの、SRRV IDの写真は20年ほど前にSRRVを取得した時から変わっていないので、確かに別人で、PRAが6か月以内と強調するのもむりはない。 大使館のホームページを開いてみると、申請用紙をオンラインで記入して、それをダウンロードして署名して、大使館に提出すればよいとのこと。前回の様に、大使館で記入して、さらに署名が枠からはみ出して、何度もやり直して、用紙をもらうたびににらまれて冷や汗をかく必要もなさそうだ。申請は代行が可能とのことだが、受領は本人に限るということだが、今のところ私にとっては何の問題もない。 オンラインと言うの大の苦手なのだが、私の年にとなれば、仕方のないところで、いつもどこかで暗礁にのりあげる。今回も、全部入力して、「PDFの発行」というボタンを押してもウンともスンともいわないので、「次へ」というボタンをおしたら、振り出しに戻ってしまい癇癪を起してしまった。 気を取り直して続けてみると、さっき入力した情報は消えていないで、そのまま残っている。それで最後までたどりついて、「PDF」のボタンを押したら、やっぱり、ウンともスンともない。しかし、よくよく画面を見ると、右上にファイル名が出てきており、それを押すと記入済みのPDFが現れて大成功。こんな手順を踏まないで、PDFのボタンを押したらさっさとPDFを表示してくれれば良いと思うのだが、知らぬ間にOSが変更されて、使い方が変わるので、迷惑千万な話だ。 大使館で申請は、5分ほどで終了、さらに3日後に新しい、パスポートを入手することができた。多分がこれが最後のパスポートの更新になるだろうなどと感慨に耽った。早速、PRAには2冊のパスポートを携えて、PRAにSRRVスタンプの貼替に出向いた。SRRVのIDも記載されているパスポート番号が変わるので、10ドル払ってIDも更新しなければならないので、この際、写真もプロが撮ってものに変更した。因みにパスポート原本は、いつ必要になるかわからないので、入管の決定書(ORDER)が出たら、提出することにして私が所持し続けることにした。 これで後はリスタンプを待つばかりとなったのだが、最近、大使館から、重大な通知がきた。3月24日からその日以降に申請されたパスポートの発行がすべて日本になり、3週間ほどかかるので、その前に急いで申請するようにとのこと。何やらプラスティック製の偽造されにくいものになるそうで、発行手数料も値上げされるらしい。 もたもたしていたら、パスポートの発行も遅れ、さらにリスタンプも遅れて、危うく、アメリカ行きに間に合わなくなる羽目にもなるところだった。やれることは先行して実行して、後に回さないという私のモットーが正解だとしみじみ思った。だから、私は、フィリピンの人に何か頼むと、即、「ママヤー後で」と答えることが大嫌いなのだ。

パスポートを更新しました 2025年3月4日   Recently updated !