フィリピンには、実にたくさんのオカマ(バクラ)とオナベ(トンボイ)が いる。バクラとは何か説明する必要もないが、肉体的には男性でも精神的に女性で、男性しか愛することができない男性で、普段から女装をしている。男性同志が愛し合うホモとはちょっとニュアンスが違うようだ。一方トンボイとは肉体的には女性でありながら、精神的に男性であり、髪を短く切って男 の格好をしている。これも女性同士が愛し合うレズとはちょっとニュアンスが違う。
笑うトンボイ、腕の刺青がたくましい
フィ リピンではこれらの性倒錯者は、立派な市民権を得ていて、一般の市民として生活している。彼らの主な職業は、オカマが、ダンスインストラクター、美容師 などで、トンボイがセキュリティガード、空手のインストラクターなど。バクラはそのユニークなキャラクターを活かして、コメディアンにもなっている。かつてほとんどのジャパユキさんはダンスのにわか練習をして、ダンサーとしての免許を取得し、日本行きの切符を手にしていたが、彼女たちにダンス を教えたのはほとんどがバクラです。これらバクラの踊りは本物の女性よりもはるかに女性的で思わず見とれてしまうほどです。
シーフードマーケットレストランで客引きをするオカマ
見るからに男性の顔をして体つきもごつごつしたバクラが、お化粧をしてさらに女装をしているのを見かけると、異様であり目をそむけたくなるが、彼らは(彼女らは)、どうしてもそのような格好をしたくてたまらないのだそうだ。トンボイも同様で男性の格好をして男にみせかけたいのだ。
オカマの職業は美容師が圧倒的に多い
一度、チャイナタウンのデビソリアでトイレに行ったところ、見るからにバクラといった人がトイレに入ろうとしていた。はて、女性用トイレに入るのか、男性用トイレにはいるのか、興味深く見守っていたところ、彼(ないし彼女)は、一瞬躊躇した後、男子用に入っていった。本人も迷ったのだろうが、この際は肉体の区別が優先したようだ。このとき、フィリピンでは、男子用、女子用、そして、その他用トイレと、3種類のトイレがいるなと思った。
クリスマスパーティに訪れたオカマ。まさに男が化粧しただけなのだが、心は女なのだ
フィリピンの女性は、バクラが好きで、完全に同性として扱っているが、一方、トンボイには、少々偏見を持っているようだ。私から見てもトンボイは胡散臭 そうに見える。これは女性なのに男性のように振舞うので、なにか生意気な感じがするからだろうか。一方、男性でありながら、女性らしく振舞うのは、 こっけいな感じがして好感が持てる。
カメラを向けるとポーズをとるバクラたち
どういうわけかシーフード・マーケット・レストランにはたくさんのオカマが働いている
一度、あることで私の相棒がトンボイと渡り合う羽目になった。日本人男性と結婚しているにも関わらず、ガールフレンドを家に連れ込んだりしていることをとがめたのです。彼女(ないし彼)の言い分は、私は男だ、女無しではいられないのだと、しきりに強調していたそうだ。ちなみにトンボイの相手をする女性は、男性も愛することのできるごく普通の女性なのだそうだ。