マラカニヤン宮殿でジェネラル就任の宣誓式に参加 2024年3月23日 2


パンデミックから4年経過して、ようやく日常が戻ってきた感がある。昨年の8月、すべての入国規制は廃止され、出入国が従来通りになった。違いと言えば、出入国票がe-Travelと呼ばれる電子化されただけだ(とは言うもののスマホを持たないお年寄りはどうやって出入国するのか気になるところだが)。私も、同居する子供たちの対面授業の開始に伴って、マニラに居を移した。

エドサ通りのバスレーンを爆走する国家警察の公用車でキャンプ・クラミに向かう。職権乱用も甚だしいが、それを咎める勇気もない。

規制が撤廃されたからと言って、直ちに日常がっ戻るわけではない。私のビジネスである外国人のビザ(SRRV)等をお世話する仕事は外国人の入国が許されないパンデミック中は壊滅状態だった。さらに、規制が撤廃されたからと言って、即、出かけて行きましょうかというものでもないのだろう。

キャンプクラミに一時間遅れで到着したためにせっかく用意された朝食にありつく暇もなくマラカニヤン宮殿に向けて出発となった。

しかし、2024年、新年を迎えて、そろそろ重い腰をあげようかということで、にわかに、顧客からのコンタクトが増えた。SRRVについては、円安、物価上昇でフィリピンに移住することの経済的優位性が減少したためか、ボチボチというところだ。しかし、この際、SRRVを取り消そうとか、ほったらかしておいたコンドミニアムを処分しようとか、新しいビジネスをフィリピンで始めようとか、今までとはちょっと様子が違う問い合わせが増えている。退職後の人生をフィリピンで過ごすというよりも、フィリピンを成長するマーケットとして、ビジネスチャンスととらえる、現役組が増えているのだ。一転、多忙ともいえるほどの状況になってきた。

宮殿に向かうバスの中で期待に胸を膨らませる次男のココ、女の子まがいの長髪がトレードマークだ。

今年になってかからPRAに赴いて申請業務代行をしているが、トップマネージメントの交代、パンデミックの終焉に伴って、リモート中心の従来の手順がことごとく異なって、右往左往することが度々だ。同じ申請を3度もやり直させられることもあり、当方としては、まさに肉体的そして精神的リハビリに加えてビジネスのリハビリ真っ最中だ。

流石に宮殿と呼ばれるだけあって、どこかの国の首相官邸とは桁が違いの広大な敷地を有する。

パンデミックの始まったころ、多数の中国人がオンラインカジノで違法に就労しているということで、社会問題になった。街に若い中国人が隊列をなして歩いており、コンドミニアムの需要もうなぎ上りだった。そのため、退職ビザ(SRRV)がこれらの違法就労の隠れ蓑なっているとやり玉に上がって、一時、発行停止に追い込まれた。退職ビザをやり玉にあげたゴードン上院議員が「35歳で何が退職ビザだ」と発言したそうで、まさにその通りだ。このころは、パンデミックで外国人が入国できなかったので、いずれにせよ申請者は皆無なので、何の影響もなく混乱することもなかったのが幸いだった。

式場の入り口のシャンデリアもちょっとけた違いだ。

その後、SRRVが再開されたものの、50歳未満は申請不可となってしまって、現在まで変わっていない。現在、50歳以上のSRRV申請者の数はパンデミック前と同等になったそうだが、全体では、かなり、減少している模様だ。今月初め、久しぶりに日本人の退職者のSRRV取得をお世話したが、Oath Taking (宣誓式)では日本人は、その方一人しかいなかった。しかし、50歳未満の現役世代のフィリピン移住希望者は少なくなく、SIRV(特別投資家ビザー21歳以上、75000ドルの株式投資が条件)の問合せが増えており、SRRVより多いくらいだ。

全国から集まった白い制服に身を包んだ55人のジェネラルが一堂に会する様は、威容(異様)ともいえる。

パンデミック中は話題に事欠いて、ブログのアップも激減して、年に数回のアップに留まっていた。パンデミックが明けて、すわ、と構えてみたものの、3年以上のブランクは簡単にもどらず、話題もなく、半年以上、アップをサボってしまった。ファンの方から病気ですか、などと問い合わせが来るくらいだったが、かと言って話題と言えば、愚痴位なもので、なかなかその気になれなかった。

フィリピン革命の英雄、ボニファッシオ(BGC‐Bonifacio Global City‐の地名の由来)率いるKKK団にちなんでKian、Kookie、Kokoの3人組は国家警察の要人が居並ぶ前で堂々とお披露目を果たした。

しかし、今回のブログの本題は、同居しているカーネル・ヤンさんの国家警察ジェネラル就任のニュースで、まさにブログに絶好な久々の話題だ。キャンプ・クラミの国家警察本庁で行われた就任式には都合で出席できなかったのだが、マラカニヤン宮殿で行われたマルコス大統領出席の元におこなれた宣誓式には万全を期して出席を果たした。本来は、家族のみということなのだが、私はカーネルの兄という申告で出席がかなったそうだ。

式場の天井の装飾も立派の一言に尽きる、手前のピンクのドレスが相棒のメリージェーン

当日は、早朝4時起き、5時発ということで、暗いうちに起きだして準備が開始された。しかし、準備に時間がかかるのは女性陣で、当方は待ち時間に一仕事ができたほどだ。そしていよいよ出発の時が来たが、すでに6時を回っていた。まずは本庁のキャンプクラミに到着、朝食の準備がしてあったが、遅れていたために朝食にありつけず(私だけはしっかり家で朝食をとったのが幸いだった)、10台の国家警察専用バスに分乗してマラカニヤン宮殿に向かった。

55人のジェネラルの家族は最大限の礼装をして生涯に一度あるかないかの式典に臨んだ

マラカニヤン宮殿ではセキュリティチェックで、約一時間、バスの中でスタンバイ。ようやく会場に入場できたのは8時半だった。1990年に一度、観光目的で訪れたことはあったが、内部は宮殿と言うだけあって、大統領府としてはなかなかの風格を有している。

最前列に陣取ったKKK団はダディの晴れの姿を拝もうと胸をときめかしている

会場には今回宣誓式に参加する白い制服に身を固めたジェネラルが55人(このうちヤンさんをはじめとする新任のジェネラルは15人程度)、それにその家族で、総勢、300人程度は参加していたろうか。女性はうちわのような肩がついたドレスを身にまとって、最大限の礼装で着飾っている。男はバロンタガログ、私も窮屈なバロンを着て参加させられた。

中央、ココの後ろに立っているのがマルコス大統領。彼がが参加する式典においては撮影禁止、そうでもしないと、写真好きのフィリピン人はスマホをかざして式どころの話ではなくなってしまう。これはプロカメラマンが撮ったものだが、残念なことにちょっとピンボケ。しかし、子供たちには一生の宝物になるだろう。

因みに警察の肩書は、高い位から順に、ジェネラル、カーネル、メジャー、キャップテンとなっており、警察学校を卒業した場合のキャリアはキャップテンから始まる。10年ほど前にメジャーからカーネルに出世したヤンさんは、一昨年大病を患い長期療養を余儀なくされたので、ジェネラル昇進は危ういと懸念されたが、皆さんのご支援のおかげで、念願のジェネラルの座を射止めることができた。全国で、100名程度のジェネラルがいるそうだが、十数万人の組織のトップ百人だから、千人を超える警察官のトップということになる。タガイタイにある国家警察学校の1995年卒業組としては、出世頭だそうだ。

式典も終了し大統領そっちのけで戯れるクッキーとココの後ろではマルコス大統領が国家警察関係の要人と談笑している。

国家警察は56歳で定年だそうなので、その前にジェネラルになるかならないかは、定年後の天下り先での給与に大きな開きがある。まだ、4歳のココを始めとして3人の子を抱える彼としては、まだまだ、頑張ってもらわないといけないので、今回の出世は家族の将来にとっても一大事だ。

式典も終わって、国家警察を管轄するアバロス内務大臣と談笑するマルコス大統領。

いよいよ、マルコス大統領が登場して宣誓式が始まった。大統領の読み上げる宣誓文を追いかけて、55人のジェネラルが合唱する。そして大統領のスピーチ。良くは聞き取れなかったが英語で犯罪の年間の件数などを原稿を見ないですらすらと言うあたりは大したものだと感心した。国家の治安維持を担う国家警察は、いわば大統領の懐刀で、いざというときに頼りにすべき組織なのだ。このため、最前線で指揮を取るジェネラルに家族ぐるみで忠誠を誓ってもらったわけだ。

左端はアバロス内務大臣、ヤンさんの直接のボスだ。ついでに私まで握手をしてもらった。

その後は、恒例のジェネラル一人一人との記念撮影。55人にいるので、大変なことだ。新米のヤンさんはかなりあとだったが、大統領は次男のココを可愛いと褒めたり、長男のキアンもブレスをして、感激の瞬間だった。このことは、きっと子供たちの生涯の思い出になるだろう。

間近に見るヤンさん、生涯最良の誇るべき晴れの日の式典も終わってほっとしているところだ。白い制服と両肩の3つの星がジェネラルの証だ。軍隊や警察では身分がわかるように姿・格好で区別することが厳然と行われており、出世するということは名誉であり、金銭的報酬に代わる努力と成果のすべてなのだ。

10時過ぎ、大統領が退席した後も、記念撮影は延々と続き、食堂は向かったのは11時になっていた。朝飯を食べ損ねた長女のクッキーはお腹がすいて泣きっ面で写真撮影に応じていたが、キアンも、食事にありつけるかどうかが気がかりで、食堂へ向かい始めてやっと笑みがこぼれた。この日は、学校の遠足で、本音としてはそっちに参加したかったのだが、食事にありつけたので、良しとすることになった。

やっと食事にありついてホッと一息ついたところで、ピアノ演奏のリクエストに答えたキアンだが、キーが壊れていて演奏にならなかったと愚痴をこぼしていた。

ビュッフェのメニューにココの好物のパンシット広東が無いので、不機嫌だったが、子供たちにとっては大統領よりも食べ物の方が大事なようだ。

食堂の外でKKK団の巨大な絵画を見つけて、こぶしを振り上げるココ。実物大の絵に身も心も溶け込んでおり、キアン撮影の、この日一番の傑作写真だ。


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2 thoughts on “マラカニヤン宮殿でジェネラル就任の宣誓式に参加 2024年3月23日

  • 古良田 保

    志賀様

    おめでとうございます。
    この様な機会は大変な財産となりますね。
    カーネルさんとの長い信頼の付き合いの結果だと思います。
    当方も少しご縁があり、カーネルさんの出世を喜んでいます。。

    古良田