ビコール地方タバコ市の紹介2008年7月2日


 タバコとは煙草のことではなく、刃物などを示すビコール語のタバックから来ている。タバコ市は国際港があり、サンミゲル島やカグラライ島により、波も静かな天然の良港で、日本の船員さんもたまに見かける。そのためカトンドゥアネス島へのアクセスもタバコ港であり、さらにレガスピ市と並んで周辺市町村の物資の集積地でもある。新装なったタバコ市営マーケット新装なったタバコ市営マーケット

マーケット横の通りの雑踏

マーケット横の通りの雑踏

 街そのものはZiga (シガと読む)通りの両側500m2ほどだが、夕方から人であふれかえっている。周辺は一帯に水田が広がる穀倉地帯だが、その西側にそびえるマヨン火山の絶景が有名だ。産物はお米以外にはアバカ製品(マニラ麻)が有名で、ハンドバッグなどの民芸品は、安い上にデザイン的にもすぐれ、おみやげ物屋にあふれかえっている。

マーケットの裏手で、野菜を売る行商人

マーケットの裏手で、野菜を売る行商人

干物を売るおばさん

干物を売るおばさん

 2003 8月、旧タバコ市営マーケットは火事で消失してしまった。火事の後、アロヨ大統領が見舞いにやってきたほどの大火事だったそうだが、うわさでは、マーケットのビルを立て替えるのに入居している店が邪魔なので、市の関係者が火をつけたということだ。その直後、市の経済を牛耳る中華系フィリピン人のグループとインド人のグループが秘密の会議を開いた。中華系は、今こそ、市の小売業を独占するチャンスであると気勢をあげた一方、これら小売商に資本を提供して、日銭を稼いでいるボンバイことインド人グループは、マーケットの小売商が閉店してしまっては日々の集金ができないので、死活問題と嘆くばかりだったそうだ。

夜になっても雑踏は絶えない

夜になっても雑踏は絶えない

手作りソーセージを売るおばさん

手作りソーセージを売るおばさん

 消失したマーケットビルを取り壊し、新たに完成したのが、20075月。この間、小売商は、マーケットの近くの空き地にバラックをつくり、たくましく商売を続けてきた。一方、新装なった新しいマーケットビルには、ぼちぼち入居が始まっているものの、使用権を買うのに最低20万ペソ程度必要で、そんなお金を支払える人はそうはいない。そのためマーケット周辺では露天商が並び、返ってかの喧騒と混沌のフィリピンらしい雰囲気を醸し出している。

ビコール名物アバカ(マニラ麻)のバッグを売る店

ビコール名物アバカ(マニラ麻)のバッグを売る店

タバコ名物の刃物を売る店

タバコ名物の刃物を売る店

 日本では新宿、渋谷などの一部の都心をのぞいてほとんど雑踏といえるものを見ることがなくなった。どこへ行っても人影はまばらで、活気がある、あるいは生きているという実感がなくなって来ている。道路や建物はとてもきれいになったが、人がいないのだ。特に子供がいない。ところが、マニラから500kmも離れたフィリピンの田舎街で、まさに人々は生きているのだ。ここにはあふれかえる生がある。国としてあるいは個人として、日本と比べたら微々たるお金しかないかもしれない。しかし、彼らは、ここで幸せを満喫しているような気がするのだ。

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