今年の6月から晴れて幼稚園に通い始めたKIANだが、それは波乱の人生の始まりだった。近所の幼稚園ないし保育園に通園を始めたのが2歳だったが、後半の1年間は、ほとんどサボっていたが、毎日ABCの繰り返して、飽き飽きしたのが理由だった。また、おとなしい子供ばかりで、遊び相手に不足したのも原因だったようだ。しかし、2年間の幼稚園がが義務教育化された現在、そうも言ってはおれず、4歳になって本格的な幼稚園に通い始めたのだが。
新しい幼稚園に通う初日。KIANは期待と不安で胸いっぱいだ
通園の送り迎えは、姉のキムの役割で、毎日8時半過ぎに、二人乗り自転車ないし、おじさんのボボイの運転する車で通う。はじめの内は、12時近くまでキムが外で待っていて、連れて帰ってきた。しかし、キムは待っている間に、ボーイフレンドとデートしていることが発覚して、外で待っていることは禁止された。はじめの内、KIANはてっきり外で待っていてくれているものと思っていたが、別に待っていようがいまいがさほどの違いがないとことを悟って、幼稚園が終わってからも、素直に姉の迎えを待つようになった。
園児50人(午前の部と午後の部で合計100人)に対して、先生が約10人、それにヤヤ(子守)が5人、合計15人が面倒を見る。約、園児3人に対して一人という勘定になる
KIANは相変わらずABCを習うのがきらいで、学習に身がはいらず、遊んでばかりいるので、先生から、小言がキムに伝えられた。ほとんどの子供は2歳あるいは3歳から幼稚園に通っているので、このままでは、皆について行けず、留年の憂き目に会うかもしれないと。それを聞いたママ・ジェーンは、わが子が留年などありえないと、憤慨した。しかし、ABCなどくそ食らえという私の主張にカーネルも賛同して、幼稚園の教育方針がなっていないと、意見の一致を見た。
しかし、ABCに興味を持てないKIANは、やがて幼稚園に行くことを拒み始めた。しかし、姉のキムは心を鬼にしてKIANに通園すること強制した。泣く 泣く出かけるKIANだが、なにか特別な催しがあると、俄然やる気を出して、ママに、「もたもたしているとスクールに遅れる」とはっぱをかける始末だ。
晴れ着をつけて、一家せいぞろで、ご機嫌で幼稚園に向かうKIAN
ある日、幼稚園に出かけるときになって、KIANが行方不明になった。姉のキムはパニックになってKIANを探し回る。当のKIANはおじさんのボボイの部屋に隠れていた。見かねたボボイがキムに告げると、KIANは、「何故ばらしたのか」とボボイに食ってかかった。確かに、KIANは私の机の周りで遊んでいる時もキムの声がすると、あわてて私の足元、机の下に隠れるのが常だ。
ママ・ジェーンはジムに通ったりで、外出することが多いので、キムは母親代わりにKIANの面倒を見ることを言いつけられている。だから、責任重大で、自由奔放なKIANに振り回されて、つい、KIANをしかりつけるので、KIANにとっては、姉のキムがけむったくなってきたようだ。だから、KIANはメイドのドナに抱きついて、「I love you」を繰り返して、キムを牽制する作戦に出ている。パパやママがいつもいなくても周囲がKIANを見守っているので、KIANは幸せだ。
約50人の園児に混じって、ひときわ目立つKIANの晴れ舞台だ
そんなある日、パパ・カーネルが幼稚園に特別講師として招かれた。警察の仕事を説明してほしいと言う特別講義だ。KIANは、去年の結婚式の際にあつらえた制服を身に着けて、家族全員、それに私が付き添って、幼稚園に出かけていった。パパ・カーネルとKIANの凛々しい姿は皆の注目を浴びた。KIANの得意絶頂の瞬間だ。
このときからKIANの幼稚園での役割が決まった。悪を懲らしめる警察官として、KIANの本領が発揮された。しかし、先生が「パパ・カーネルに重要な話がある」とキムにつげ、両親が幼稚園に呼び出されるはめになった。先生は、KIANの幼稚園でのKIANの腕白振りを両親に真剣に訴えた。
講義を終えて、記念撮影をするパパ・カーネルとKIAN。「将来は警察官になりたいか」との問いかけに、KIANが「YES」と叫んで手を上げると、園児は次々に手を上げ、KIANはリーダーシップを見せ付けた。先生は、KIANが悪さをすると、皆が従うので、まずはKIANをコントロールすることに躍起となる
KIANの行状その一;自分は先生の話をろくに聞いていないくせに、他の園児が先生の話を聞いていないと、その子を懲らしめる。先生が「パパに言いつける」と叱ると、「それだけはやめてくれ、もうやらない」と言いながら、後ろを向いて、その子をにらみつけている。
KIANの行状その2;KIANが一番大きい男の子をいじめていた。原因は、大きい子が一番小さい子をいじめて、その子がKIANに助けを求めたらしい。クラスの警察官を自負するKIANがその大きい子に挑んだのだ。
KIANの行状その3;先生の誕生日に持ってきたバラの花で、横にいる園児の顔をたたいて、額に傷をつけた。それを知った被害者の親が幼稚園に抗議した。
ママ・ジェーンは、その話を聞いて、終始笑いが止まらなかった。まさにKIANの面目躍如といったところだ。パパ・カーネルは、たかが、子供のけんかに、この先生はあまりに敏感すぎると憤慨していた。
家に戻ると、KIANは、両親が呼び出されて気が気ではなかったらしくて、ママ・ジェーンにお世辞を言いながら、「ところで先生はなんて言っていた」と、問いただす。ママ・ジェーンは「KIANがとてもいい子だったと、褒めていた」と、先生ではなくて、自分の感想を告げて、KIANは一安心した。KIANは赤ちゃんと思っていたが、もはや、しっかりと子供になっている。