その他


最低賃金(Minimum Wage) 首都圏における最低賃金は現在、一日、481ペソ(2016年4月現在)です。この賃金で大卒のホワイトカラーを除く、ほとんどの職種が雇える。大卒でも初任給はこの程度だ。マニラ近辺はまだしも、地方においてはこの最低賃金を払うところは、返ってまれといったほうが良いだろう。要は需要と供給の原則で賃金は決まるわけで、ウエイター等、職種によっては一日150ペソ程度で雇用する事さえ可能だそうだ。 支払い(Payment) 給与の支払いは後払いで、月に2回支払うのが普通。すなわち1~15日分の給与を15日に、16~月末の給与を月末に払う。庭師や農夫など必要なときだけ来てもらう場合は、毎日支払う。 残業(Overtime) 一日の終業時間は日本と同じ8時間で、昼休みは1時間。それを超えると残業になる。残業に付いては1日あたりの給与を8で除した額の125%となる。また、休日は130%。深夜残業(22時から朝6時)はさらに10%の割増となる。なお、課長以上の職についている場合は残業代を払う必要はない。もっとも、そのような地位についた人は残業などめったにしないが。 13ヶ月給与(13th Month Pay) 12月24日のクリスマス以前に1ヶ月分のサラリーを支払ってやる必要がある。これがないとフィリピン人はクリスマスを無事にすごすことができないのだ。 休日(Holiday) 週一日、24時間の休日を与えなければならない。通常は日曜日を休みにする。しかしながら、政府、大手の会社においては、もはや週休2日が普通だ。祝日については休んでも通常の給与を払ってやる必要がある。祝日に働いた場合は残業代は260%になる。 休暇(Incentive Leave) 1年間の雇用に対して5日間の休暇を与えなければならない。これらは病気で休んだ場合にも使用される。通常の会社では休暇(Vacation Leave)と病欠(Sick Leave)をあわせて20日から30日程度与えているようだ。しかし、フィリピン人はこれら休暇を実に良く消化して休むので、あまり休みは与えない方がよいだろう。もちろん規定以上の休みをとった場合は給与天引きとなるが、その寸前まで休む。なお、残った休暇は会社が買いあげるのが普通だ。  

会社運営ー雇用 給与とベネフィット


雇用形態は複雑多岐にわたるが、それは、できる限り正社員としては雇いたくない、いつでも事情が変われば首にできるようにしておきたいという、雇用主側の事情によっている。これらを巧みに使って、正社員にせず、給与を安く押さえ、福利厚生費を減らし、いつでも好きなときに首にできるような状況を保っておこうとするものだ。よほど、優秀で、信頼がおけて、離したくない社員のみを正社員にするべきだ。とんでもないものを正社員にすると、正社員にしたとたんに安心して働かなくなってしまう。 正社員(Regular Employee) 会社の通常の役割を遂行する社員で6ヶ月間の試用期間等、所定の過程を経て正社員として採用されたもの。会社が規定する一切の特典(ベネフィット)を享受する。特典としては、13カ月給与(クリスマスに支給される確定年末ボーナス)、会社の業績に応じた特別ボーナス、残業、退職金、ベースアップなどがあり、13ヶ月給与を除いて日本と大差ない。また、昇格により、いったん役職につけた場合、なにか特別の事情のない限り降格する事は許されない。また、いったん与えたベフィットは何か代わりを与えない限り止めることは許されず、しかも彼らは常に雇用条件の改善を求めるから、最初から何もかも与えないで小出しに少しづつ与えていくのがこつだ。こうすれば毎年良くなっていくと希望を持って会社に残るわけだ。 試用社員(Probationary Employee) 正社員として正式に採用する前に、通常6ヶ月、契約により最長18ヶ月間、試用期間を置く事ができる。この間、正社員にするに値しないと判断された場合、無条件で期間満了をもって雇用を打ち切る事ができる。この期間は雇用、被雇用者とも必死になって相手を見極めなければならない。被雇用者は必死に見とめられようとして働くはずで、雇用者としてはイマイチと思ったら遠慮なしに切る事だ。イマイチだけど正社員にしたらやる気が出てパフォーマンスがあがるだろうなどと甘い事を考えてはいけない。社員がもっとも頑張る時期にだめなものは、その先何を与えてもだめだろう。SMデパートの売り子など試用期間で全員解雇して常に社員を入れ替えているところもある。人件費を安く保つためだろうが、特に技量の必要性がないところでは多く行われているようだ。 契約社員(Contractual Employee) コンサルタントなど一定の技量を持った人を、期間を限定して雇用するもので、通常の業務をやらせる事ができる。ボーナス、残業等のベネフィットは正社員と同様にする必要はなく、契約書に明記されている範囲で支給する。契約を延長する場合、2週間程度の間隔を開ける必要がある。そうしないと連続して1年以上働いた場合、会社にとってパーマネントに必要な役務で、正社員にしなければならないと判断されるからだ。実際、単に正社員にしたくないから契約社員にするといったことが多く行われているため、そのような法的措置があるようだ。   4. 季節雇用(Casual Employee) 季節により、あるいは一定の時期だけ必要になる業務を行わせる場合、雇用するもので夏の海の家のアルバイトとといった感じだ。必要な時期が終わると解雇される。   5. プロジェクト雇用(Project Employee) […]

会社運営ー雇用 雇用形態



募集 人材派遣エージェント、知人の紹介あるいは新聞広告等で募集する。履歴書(BIO DATA)で一次選考をするが、玉石混交なので多少のコストはかかってもエージェントに一次選考を頼んだ方が得策かもしれない。 面接 必ず自分自身で面接をすることだ。例えばタイプをさせる必要があるのならば、必ず試してみる事。履歴書に書いてある事や口で言うことは信用できない。それから、あまり美人はとらないことだ。他の男性社員が、ところはばかりなくチョッカイを出してくるので、うっとうしくてたまらない。また、家庭があまりに高名であったり金持ちだと、あまやかされて育っているので、ちょっと文句をいうと家族が怒鳴り込んできたりするので、やめた方がいい。美人と金持ちは要注意だ。 健康診断 採用前に健康診断書を提出させる。伝染病や薬物中毒の人も少なからずいるので要注意。特に家庭内の使用人の健康診断は欠かせない。マニラ日本人会クリニックで簡単にやってくれる。 雇用契約 雇用契約はたとえ簡単でも必ず交わしておく必要がある。家庭内使用人でも同様だ。フィリピンは契約社会だから、多少無理な事でも契約書に記載しておけば何かあったとき有利になる。この何かは日本と違ってほとんどの場合おこる。

会社運営ー雇用 採用


1.会計監査報告 会計年度は通常1月1日から12月31日にするのが普通だ、日本のように3月31日にすることも可能だ。年度末には領収書等すべて会計書類をそろえて、CPAに監査報告書(Audited Financial Statement)の作成を依頼する。 2.年度末定例役員会 CPAが作成した会計監査報告書(FS)を承認する。 3.年次株主総会 年度の終わりの3ヵ月後に開催する。会計監査報告書の承認、次年度の役員を決定する。 4.年初定例役員会 株主総会の決定を受けて新規役員により開催され、オフィサー(社長等)の選任を行う。 5.SEC報告 会計年度の終わりから120日以内に監査報告書とGIS(General Information Sheet)を提出する。GISには新規役員、オフィサー、現状の払込資本、株主等を記入します。公認会計事務所がやってくれる。  6.税務申告(BIR) […]

会社運営ー一般



1.設立株主総会 SECの承認がおりたらまずやらなければならない事は、設立株主総会を開催する事。ここでは役員を決定する。 2.設立役員会 設立株主総会で決定された役員により開催される。オフィサーの決定と銀行口座の開設と小切手のサイン者の決定をする。小切手のサイン者は実際にお金が出て行くのをコントロールする役割なので必ず自分自身がなること。通常、社長とトレジャラーが連名でサインする。 3.銀行口座の開設 銀行口座を開設するためには役員会の決議が必要。設立役員会で銀行名を承認し、サイン者を決定してその議決録(Secretary Certificate)を銀行に提出する。 4.税務登録(BIR、Bureau of Internal Revenues) 税務所に届け出て設立に関わる所定の税金を支払い、TIN No.(Tax Identification No.) をもらい、連番入りの領収書(Official […]

会社運営ー設立後の手続き


  会社定款(Articles of Incorporation, By-Laws) には主に下記の事項が定められている。 事業目的 資本の額 会計年度と定例株主総会の日程 株主総会で決定しなければならない事項 役員会で決定しなければならない事項 社長等オフィサーの権限と役割   事業内容によっては別途所定の官庁からの免許を必要とする。人材派遣など外国人株式比率が25%に制限されているものもある。

会社運営ー会社定款



役員は、通常株主と同じにする。もちろん大会社では別だが。役員は最低一株の株式を持っていなければならない。役員は実質的に会社運営に必要な事項を決定する権限を持っているから、慎重に人選する必要がある。会社の事業内容にもよるが、社会的に名声のある人を選ぶ事が大切で、会社の信用にも関わってくる。最低5名の役員が必要で、通常、その内3名以上をフィリピーノとする必要がある。飲食店等では取締役全員がフィリピーノでなければならない。 オフィサーは最低、社長(President)、書記役(Corporate Secretary)、監査役(Treasurer)を任命しなければならない。また原則としてこれらオフィサーは、フィリピーノ会社においてはフィリピーノでなければならない。ただしDOLE(労働局)に申請して承認されれば、外国人でもこれらオフィサーになれるとの情報もある(ただしフィリピンに居住している事)。しかしながら、書記役だけはフィリピーノでなければならない。人材派遣会社等では外国人はオフィサーになれない。 書記役は株主総会、役員会、SEC関連の書類の記録や発行をする係り。監査役はお金の管理と税務申告等を取り扱う。どちらも会社を運営していくには必須な役割で社長の両腕といえる。弁護士やCPAに依頼するのも手だ。

会社運営ー取締役、オフィサー


SECに申請するのは授権資本(Authorized Capital)だ。これは資本の枠を決めるもので、払込資本がこれに達すると増資を申請しなければならない。授権資本の増資は新会社を設立するのと同じぐらいの面倒な手続きを必要とするので、大きめに設定しておいた方がよい。 授権資本の枠内で資本を引き受ける株主を決定する。これを引受資本(Subscribed Capital)といい、会社設立時、授権資本の25%以上である必要がある。 実際に払込をするとき外国人・ローカルあわせて引受資本の25%を払い込む必要がある(ただし、設立時、外国人は100%払い込む必要がある)。 残りは後日ある時払いだ。これを払込資本(Paid Up Capital)という。なお、この未払い分については帳簿上、会社からの借入金とみなされれ会社解散などのときは、支払義務が発生する。 資本の払込はSEC申請に先立ち行う。そのため仮のトレジャラー(Treasurer in Trust)により銀行口座を開設する必要がある。 なお、授権資本の枠内での引受資本や払込資本の増資は役員会の決定で行う事ができる。ただし、引受資本における60:40等の株式比率は常に守るようにしなければならない。 払込資本が引き受け資本の25%以上でなければならないという条件は、外国人及びローカルの払いこみのトータルに適用される。したがって、個々の株主は必ずしも25%払い込む必要はない。しかしながら、極端に少ないとダミー禁止法に抵触するのである程度リーゾナブルな額を払い込まねばならない。外国人とローカルを同じパーセントあるいはそれぞれの株主の払込を25%以上としておけばまず問題はない。  

会社運営ー資本の払込



会社設立に当たっては、自分以外に最低4名の株主(Share Holder)が必要。フィリピーノ株主は出来るだけ互いに関連のない人を選び、彼らが結託して会社を乗取ったり、不本意な方向に動いてしまう事を防ぐことが肝心だ。全員彼女やフィリピーナ・ワイフの家族などというのは大変危険で、その時点で会社の所有権と運営権をやってしまったのと同じだ。会社設立を依頼したCPAにも株主になってもらうのも一方だ。会社設立に関する知識は豊富だし、信用が大事なのでおかしなことはしない。 会社の設立に際して5名の設立発起人(Incorporator)が必要。通常株主と同じにする。また資本金の受け入れなどの手続きに仮のトレジャラー(Treasurer-In-Trust)を決める必要がある。信用できるフィリピーノ・パートナーに依頼するか、会社設立手続きを依頼するCPA(公認会計士)などに依頼することもできる。

会社運営ー株主等


フィリピンでは小売や土地の保有はフィリピーノ会社に限定されている。輸出や最先端技術等は外資100%でも許可されるが、通常のビジネスをやる場合はまずフィリピーノに60%の株式をもってもらう必要がある。したがって我々外国人が持てる株式の最大は40%まで。これは法的にはフィリピーノが決定権を持っていなければならないという事で、そのため誰かフィリピーノに形だけ株主になってもらってと考えるわけだが、これはアンタイダミー法で禁止されている。いくら裏契約を交わしてもその契約そのものが違法ですから、いざとなると役に立たない。 そのため白紙委任状(Deed of Assignment)および株券の裏にあらかじめ委譲のためのサインをもらうといった予防措置が必要だ。株主や役員が意に叶わないと思ったら交代させてしまうのだ。こうする事により、ローカル株主もはじめから自分のものではないのだと肝に銘じて、おかしなことを考えないものなのだ。予防注射のようなもので、皆初めから悪さをしようなどと思っていないから、必ずサインをする。もしいやだといったら、はじめから株主からはずしてしまえばよい。 株式の額面は、普通1ペソから1000ペソの間で自由に設定しているが、外国人が保有する株式をフィリピーノが保有する株式の額面を変えて、フィリピーノの出資額を少なくする事が出来る(その場合、クラスAフィリピーノ用、クラスB外国人用と株式を区分けする必要がある)。但し、議決権に関しては株数で考えるので60%の議決権を持つ事には変わりない。しかしフィリピーノの金額的出資比率が下がるので、いざ会社解散などとなると回収できる金額が大きくなる。そのためにはあらかじめ会社定款に “解散後の資産の分配は出資額に応じて分配する”  等の文面を含めておく必要がある。 また、資本の60%は基本的にフィリピーノの所有となるために、資本の額を小さく抑え、ローンという形で会社の資金を貸し付けるということが、外国人株主の財産を守る上で有利となる。

会社運営ー株式比率等