フィリピーノ気質


フィリピーノの男女の間ではでは、やきもちは美徳だ。やきもちをやくと相手は愛されていると実感するようだ。あなたの彼女が他の男の話をしていて、あなたがやきもちをやかないと、あんた本当に私を愛しているのと疑われてしまう。やきもちは女の特権ではなく、男も大いにやきもちをやく。はたで見ていて悲しくなるくらいやきもちやきだ。よくまあ、女が腹を立てないかと思うけれど、女のほうはまんざらではないようで、こんなに愛されているんだと幸せなのだ。 このやきもちは男女の間のことだけではなく、フィリピーノの感情のあらわれの多くがやきもちにたんを発しているということに気をつけなければならない。あなたの部下の一人にだけなにかプレゼントすると残りのものがやきもちをやく。扱いは常に公平にしなければならない。給与も一律なんていうのが簡単で不満を発生させることが少ないのだ。  

フィリピーノ気質 やきもちは美徳


一年中常夏のせいか、時間の観念が少々いい加減なのがフィリピンだ。とにかく約束の時間にこないのにはいらいらさせられる。もっともマニラのこんな渋滞では決められた時間に到着するなんて至難の技かもしれない。しかし、田舎にいても同様なのでどうも渋滞のせいだけではないようだ。遅れてもけろっとして“トラフィック カセ(交通渋滞だから)”などといい訳をする。これだけはどうしようもないようだ。普段の生活のことならばこちらも気楽に構えていればいいのだが、会社の社員となったら、事情が違う。遅刻したら給与を差し引くようにすると、決して遅刻をしなくなる。 もし女性がデートに遅れたのであれば、決して責めてはいけない。女性がデートの約束に時間どおり行くのは物欲しげでとても恥ずかしいことなのだ。30分遅れて行くのがルールだそうだ。一時間待ってもこなかったら、あきらめて帰ったほうが良いだろう。自分を優位に立たせたいと思ったら約束の時間に遅れていくのがコツだそうだ。

フィリピーノ気質 遅れるのが当たり前



フィリピンではお年寄りの言うことはめちゃくちゃ言っても聞いてくれる。お年寄りを大切にしないと自分が年を取ったとき誰も面倒見てくれなくなると思っているのだ。お年寄りを大切にしない人は周囲が侮蔑の目で見られる。いったい誰がおまえを育てたんだと。ウタナローブ(恩)という言葉も健在だ。古い日本の良さが残っているといった感じで、われわれにはうれしい風習だ。

フィリピーノ気質 ウタナローブ


フィリピーノは徹底的にレディファーストだ。エレベーターに乗るにしてもまず女性から。たとえそれがあなたの秘書や部下でも先に乗せるのが当たり前なのだ。降りるときももちろん同様。レストランに入るともドア-を開けて、椅子も引いてやる。それができないならフィリピンで女にもてようなどとは思わないほうがよい。

フィリピーノ気質 レディファースト



フィリピーノの人間関係を大事にする風習は見習うべきだ。なにかへまをしてしまったり、言いにくいことを言ったり、申し出を断ったりするとき、実に相手を傷つけないよう、感情を害さないようにいい訳を巧みに使う。日本人にとっては嘘八百並べているとも取れるが、たとえその場限りでも、ことを荒立てず、平和的に解決しようとするのだ。うそはシノガリンといい、非常に悪いことなのだが、この場合のうそはシノガリンの範疇には入らないようだ。このいい訳をにこやかに受け入れてやらねばフィリピンには暮らせない。彼女をデートに誘っても決してノーとは言わない。ママヤ(後で)とか、考えてみるなどといったら、それはノーということなのだ。

フィリピーノ気質 うそも方便


フィリピーノは日本で思われているのとは反対に大変やさしい国民だ。人前で怒ったり、声を荒げたり、机をたたいたり、ものを投げたり、決してこのような粗野な行為はしない。それに比べると日本人の行儀の悪さが目に余ることが多々ある。日本人がレストランでウエイトレスを怒鳴りつけたりしても、周りの人はもちろん黙っているが、内心、なんて野蛮な日本人と思って、思いっきり軽蔑しているのだ。しかめっ面しただけでも、もはや同席者のフィリピーノは不愉快になっている。人前では常に笑顔でいなければならないのだ。 カメラを向けただけで満面に笑みをたたえてくれるフィリピーノ

フィリピーノ気質 いつも笑顔



フィリピーノほどホスピタリティー(人をもてなす気持)にあふれた人種は東南アジアにはないのではないではないか。とりわけフォーリナー(外国人あるいは見知らぬ人)にはやさしい。外国製を自慢するのも一昔前の日本のようだ。私の靴はインポーテッド、私の旦那もインポーテッドと得意満面で言う。この人なつっこさと、一丁お人よしの日本人をだましてやろうという気持ちがごっちゃになって近づいてくる輩も多いので気をつけなければならない。そんな場合はニコッと笑ってNO THANKSと言ってほしい。すぐにあきらめて行ってしまう。また車の窓の外で子供がしつこくお金をねだったら、窓を内側からコンコンとたたくと行ってしまう。

フィリピーノ気質 ノーサンクス


フィリピン人はマイ ネイムという言葉をしばしば口にする。“私の名がすたるから恥ずかしくてそんなまねはできない、”といった感じだ。当方には見栄張りと映るが、命を張るほどのものなのだ。ネイムは常にマバゴ(良い匂い)でなければならず、バホ(臭い)であってはならないのだ。そのためには平気でうそをつく。身の上話の半分以上は作り話と思ったほうがいいかもしれない。 だから、面と向かって冗談でもバカにするようなことは言ってはいけない。また、外国人がフィリピーノをけなすと、たとえ本人のことでなくとも、聞いているほうはいやな思いをする。これも大切なタブーだ。 ワランヒヤ(恥知らず)とかプタンイナモ(おまえの母さん出ベソ)などと人前で怒鳴ったとしたら、殺されたとしても不思議ではない。 だから、それなりの地位や名声のある人は大変紳士・淑女で高潔だ。しかし、名乗るほどの名前のない人はどうなるのだろうか。その日食べるものもないというような人があふれているのも事実だ。このような人達はその日の糧を得るのに汲々としている。だから、人を信じることが美徳と思っている日本人ほどだましやすいものはないのだ。財布の紐はきちっと締めておいてほしい。逆に10ペソ、20ペソの小銭はポケットに入れて垂れ流しにしてもいいのではないだろうか。

フィリピーノ気質 フィリピン人をバカにしない・怒らない



フィリピーノに文句を言うといい訳をくだくだと続ける。私たちにとっては間違いを素直に認め、もう繰り返しませんと反省してもらうのがもっともありがたいだが、間違いを認めようとはしない。これでは改善も無いと思い、しつこく追求する羽目になって、こちらもつい熱くなってしまう。これは、彼らが間違いを認めると有罪ということになって、処罰されてしまうということが心配なのだ。裁判といっしょで決して罪を認めてはいけないのが、フィリピンなのだ。 ならばどうしたらよいのだろうか。彼らがやった事が、間違いと責めるのではなくて、このように変えればいかに彼ら自身にとってよいことなのか、あるいは得になるのか、説いてやる必要があるのだ。あるいは次回からこのように変えてくれれば私は大変うれしくて、サラリーも上げてやりたくなるとか。

フィリピーノ気質 言い訳は自己防衛の手段


なにかフィリピーノと対峙したとき、大体こちらが考えるのと反対のことを考えていると思って間違いないようだ。例えば、部下に文句を言って黙って聞いているから、さぞ反省しているのだと思うと、とんでもない。相手は怒り心頭にして達して声が出ないのだ。文句を言って相手がいい訳も言わずに黙ったら、直ちに止めろというのが鉄則だ。 フィリピーノは非常に誇りが高い人々だ。ただし日本人の場合は自分自身の内面の誇りを大切にすると思うが、フィリピーノは周りの人がどう思うかということが一番大事なのだ。どんなに本人が悪くても人前で叱責すると一生恨みに思われる。これはフィリピンで暮らす上での一番のタブーなのだ。 怒りたいときは別室につれていって懇々と諭してほしい。頭にきて人前で怒鳴りつけてしまったとしたら、その人との関係はそれで終わりと思ったほうが良い。

フィリピーノ気質 人前で叱責しない