退職者の方が入院している関係で、サント・トマス大学(University of Santo Tomas, UST)を訪れる機会があった。USTといえば、1611年に設立されたアジアでも最古の大学で、42000人の学生を有するフィリピン最大の大学でもある。マニラ市内の繁華な場所にある約25ヘクタール(7万5千坪)のゆったりしたキャンパスは学生であふれ、ここには、いかにも大学のキャンパスという雰囲気があった。 構内にあるUST付属病院はUPなどと並んでフィリピン有数の病院だ UST出身者には、ケソン、オスメニア、ローレル、マカパガル(アロヨ前大統領のお父さん)など、フィリピン共和国の初期の大統領の名が連なる。特にケソンはケソン・シティの名の由来でもある。ちなみにローレルは日本がフィリピンを占領していたときの傀儡政権でもあったので、今では歴史から抹消されて、道路などの名前になっていないので、めったに耳にすることはない。英雄ホセ・リザールもここでも学んでいる(彼は大学を3つ出ているそうだ)。 キャンパス内の道路は広々として学生が自由に闊歩する ちなみにフィリピンNo.1の大学は、押しも押されぬ国立のフィリピン大学(University of the Philippines、UP)で、全国に10校を有し、学生総数は5万人を超えるが、単独の大学としてはUSTに席をゆずる。中でもケソンシティに500ヘクタール(150万坪)近い広大なキャンパスを構えるなUP Diliman校は旗艦大学として25000人の学生を擁し、幾多の国家的指導者を輩出してきた。 遊歩道にはミリエンダ(おやつ)とるを学生がくつろぐ フィリピンの歴史に名を残す第10代大統領、マルコス、マニラの大通りの名前でおなじみのRoxas(ロハス)、Quirino(キリノ)は第5代と6代の大統領、そして、現在の副大統領、Binay(ビニャイ)などがUPの出身だ。UPの学生は、国家あるいは社会の指導層になるべくエリート学生の集合体で、その誇りと自信ははなみなみならぬものがある。なんでも一番にならなければ気が済まず、組織の中でトップとなることができないとさっさとやめてしまう。UP出身者ということで、ある程度経験を積みさえすれば、いくらでも転職先はある。 都会のど真ん中に広大な校庭を持ち、学生がスポートを楽しんでいる […]