キアンのレゴへの執心と息子のアドバイス、さらにヤフーメールのニュースで、レゴの組みたてが子供ばかりではなくて、コロナ禍のおり、自宅で遊べる大人の趣味として、ブームになっているとの記事を読んだ。そこではランボルギーニ「シアン」が紹介されており、ブロック数が3691個、対象年齢が18歳以上、ただし価格は5万円程度とまさに大人向けだ。毎日挑戦しても一週間、ゆっくりやったら一月程度はかかるだろうか。まさに、暇つぶしと脳の活性化にはうってつけだ。参照ブログ 待望のレゴが到着した 2020年9月2日 そんなわけで、まずは、ニッサンGTR、2000ペソ(純正品、ブロック数298個)をオンライン・ショッピングのShopeeに注文した。2~3日で配達されたが、キアンとの共同作業で、たったの2時間で終わってしまった。レゴ・マスターを自認するキアンの役割は私の指導員ということなのだが、私の隣で、口や手を出して、うるさくて仕方が無い。よほど私がのろまにうつるのだろう。それで、交代に組み立てることにしたら、そのスピードに舌をまいた。一体、考えているのだろうかと思うくらい、ブロック探しと、組み立てが、解説書を見ながら、同時並行して進んで、瞬く間に組みあがる。私の数倍の早さだ。 この原因は、どうもピアノのレッスンにあるようだ。楽譜を見ながら、鍵盤をたたいて、音をきいて補正するという作業を、連続かつ高速で脳をフル回転させなければならないピアノのレッスンの賜物なのだ。いわゆる頭の回転の速い子に育ってきているということなのだが、これはまさに思惑とおりだと、一人ほくそ笑んだ。 次にオーダーしたのが、Compatible(相当)と書いてある中国製の模造品だ。模造品は純正品に比べてとにかく価格が安い。三分の一から五分の一程度、しかもほとんどのレゴ製品のコピーがある。見てくれは同じだが、キアンは部品が足りないなど質がおちるので、きらいだと言って、興味を示さない。しかし、金を出す私に身になってみれば、この価格は魅力で、多少のことなら我慢できる。とにかく試してみて、だめなら純正品で行くということで決めた。 そういうことで、少しグレードの高いスポーツカー、ブロック数728個、価格1383ペソの模造品を注文した。しかし、中国から取り寄せるということで、2週間以上かかってしまい、その間の場がもてない。そのため、キアンの勧めで純正品も試しに買うことにした。たまたまハーレーダビッドソン(ブロック数1023個)が通常、1万ペソが6400ペソ(40%引き)で出ていたので、飛びついた。こちらはマニラに在庫があるので、2~3日で到着する。さらに、パパ・カーネルの愛車、Toyota FJ クルーザー(1631ペソ、ブロック数999個)の模造品を見つけたので、合わせて注文したが、これも2週間かかる。どうも模造品は、マニラにおいておくと当局に根こそぎ没収される恐れがあるので、マニラには置いていないのだろう。 模造品のスポーツカーと純正品のハーレーダビッドソンがほぼ同時に配達されたのだが、キアンのたっての願いで純正品のハーレーダビッドソンから組み立てを開始した。ステップごとに私とキアンで交代で組み立てたのだが、対象年齢は16歳となってはいるが、10歳のキアンはやる気満々で、待っている間もすぐに口と手を出してくる。ちょっと別件の仕事が入ったので、その間、キアンにやらせておくと、瞬く間に進んでしまい、私というよりほとんどキアンが組み立てたと言えるほどだ。途中、3回ほどつまづいたが、私と共同でなんとか克服して、一日2~3時間、3日ほどで組み立てが完成し、キアンは大満足だ。 次に挑戦したのが模造品のスポーツカーだ。これについては、キアンは、はなから全く興味を示さず、応援を頼んでもそっぽを向いている。まず、ブロックが組み立ての順序に小分けしていないで、ごそっとまとまっている。そのため、ブロックを探すのに手間がかかるので、ブロックを、形、大きさ、色等で仕分けして、プラスティックのトレイに分類した。この作業が、面倒だとキアンは参加しない。こうしておけば、組み立て中にブロック探しに時間が節約できると言っても、組み立てに直接寄与しないせいか、やる意義を見出すことができないようだ。 先日の「チコちゃんは知っている」でやっていたのが、何故学校で数学を習うのか、という興味深い話をしていた。四則演算、分数、小数点等の小学校で習う算数は生活に必要な計算能力を養うものだ。しかし、中学校からの数学、方程式、因数分解、微分積分、、、が社会に出て役立つのは一部の専門家でしかない。しかし、チコちゃんは、論理的な思考や行動を養うのに大いに役立っているのだと言う。このレゴ・ブロックを同じ種類ごとに分類するという作業は、チコちゃんによると因数分解の応用で、数学を通じて得た論理思考だというのだ。 多くのフィリピン人は、小学校の四則演算、分数・小数点でつまずいて、ハイスクール卒業までのあいだ、数学には目を閉じてそっぽを向いてすごす。現代社会では四則演算は計算機がやってくれるし、数学なんぞ労力をそぐ必要ないと思っているらしい、というか、数学などはちんぷんかんぷんで手に負えないのだ。しかし、これこそが、フィリピン人と付き合っていて、その発想になにか違和感を感じる原因ではないか。数学を避けて生きているために、論理的思考が未熟なのに違いない。要は、井戸端会議的発想でことを進めようとする人が多いのだろう。 レゴに話題を戻すと、模造品のスポーツカーはキアンがそっぽを向いているために単独で挑んだ。キアンのようにレゴ・マスターでない私は、じっくりと、ありあまる時間をかけながら進めて、それなりに楽しかった。まず、出くわしたのが、足りないブロックがあったことだ。これは、ダンボールに一箱も溜まっているブロック群から探して事なきをえた。 次の問題は、ドアやフロントグリルなどのパーツを組み立て終わって、本体に取り付けるときに、強く押すと、他の部分が外れてしまったり、組み立てたパーツからブロックが外れたりして、後戻りが頻発し始めたことだ。順番に組み立てきて、それが壊れると、元からやり直さないと訳がわからない。そのため、一つの作業を10回以上繰りかえさなければならない羽目に陥った。インターネットで調べてみると、この辺がレゴがレゴであるゆえんであって、純正品はこういう見えない部分に金をかけているから高いのだそうだ。 そうなると、楽しいというより、苦痛であって、なんとか最後までたどり着いたものの、ぼろぼろとブロックがこぼれ落ちる始末で、苛立つことこの上ない。キアンにもダダのいらつき具合は尋常でないと評された。脳の活性化、認知症予防、暇つぶし、キアンへのプレゼントなど、一石3鳥、4鳥を目論んで始めたものの、このいらつきで脳が損傷され、キアンとの関係にも傷が入るのではないかという気がしてきた。 […]