ひょんなことからKIANの海外旅行(日本)が実現した。私の仕事のからみなのだが、相棒のジェーンが主役で、私は、通訳兼ガイドのようなもの。しかし、太っ腹のお客さんは、娘のキムとKIANも同行しても良いとの話で、思わぬ家族海外旅行が実現、キムとKIANは大喜びだった。パパ・カーネルも同行するはずだったのだが、先日の国家警察による韓国人殺人事件がらみの綱紀粛正の折、おいそれと休暇を取ることができず断念した。それからというものはKIANは会う人毎に日本に行くのだと得意そうに言いふらしていた。
ターミナル2に入って、初めての海外旅行にKIANはそれとなく緊張気味だ。姉のキムはひょうひょうといつもの通り
目的地は名古屋。うまく行けば一日で用事は終わるのだが、予備日と土日をはさんで四日、往復日をいれて、2月16日~21日、5泊6日の旅程を組んだ。そうすると、3日ほどの観光が楽しめることになる。学生時代を名古屋で過ごした息子に聞いてみると、岐阜の飛騨高山は欠かせないという。それに、名古屋城、熱田神宮、大須観音あたりが適当というアドバイスをもらった。確かに神社仏閣などはそれはそれでいいとしても、やはりせっかくこの季節に行くのであれば雪見は欠かせないだろう。
出発前、PALの飛行機をバックに、KIANの緊張は相変わらず解けない
長い間、旅行などしていない私にとって旅行のアレンジは億劫でならなかった。フィリピンの国内旅行であれば、足さえ確保すれば、あとは行き当たりばったりでなんとかなった。日本の場合、そうは行くまい。航空チケットの予約、宿の予約、列車の予約と、とにかく面倒だ。名古屋の宿は街なかで買い物がしやすいところ、高山は古風豊かな旅館、など、同行するフィリピーノ優先の計画とせざるをえない
いよいよ、中部国際空港に到着、ここに来てKIANも緊張が解けて日本に来たことを実感したようだ
航空チケットと宿はインターネットで安いところを探して何とかなった。しかい、高山行きの列車の予約はどうしようも無くて、名古屋についてから予約することにした。白川郷も出来れば行きたいところだが、日本は豪雪というニュースもあり、どうなるかはなりゆき次第だ。名古屋はなんと40年ぶりの訪問なので右も左もわからない未知の領域で、きっとマニラにおいでになられる退職者の気分もこんなだろう。
ひな祭りが近いとあって飛行場にはお雛様が飾られていた
空港に到着したところで懸案の高山行きの列車の予約を試みた。JTBのカウンターを見つけて問い合わせたら、高山線乗りたい放題の切符が、通常の運賃(4人で往復5万円程度)の半分で買えることが分かった。しかも高山でのタクシー券6000円までついている。しかし、午前中の列車は満員で、しかも帰りは午後の列車が満員。要は昼ごろでかけて、昼には戻ってこなければならないということで、残念ながら白川郷に足を延ばす時間はなくなった。しかし反面、ゆっくりできるのでよしとしよう、とにかく雪さえ見れればそれでいいのだ。一方、空港から名古屋はリムジンバスで向かえばホテルのある栄町に直接行けるということなので、めんどうな名古屋駅での乗換えを免れることができた。
夜の名古屋、栄町はさすがに寒い。テレビ塔の前でしばし撮影会だ
ホテルはトラスティ名古屋栄町というビジネスホテルをBooking.comで予約した。二部屋で一泊24000円。他の立派なホテルは5万円もして手が出なかったが、フィリピンだったらシャングリラホテル並みの料金だ。しかし、このホテルの部屋の狭さにはちょっと驚かされた。一方、不用意にも喫煙か禁煙ルームか指定しなかったので、一つは喫煙ルームだった。エレベーターをおりて廊下に出たとたんタバコのにおいが充満していて、KIANは私と一緒に、この部屋で寝ることをママ・ジェーンに禁止されてしまった。ちなみにフィリピンの我が家はジェーンのお達しで全面禁煙だ。日本でもレストランの全面禁煙で揺れ動いているが、フィリピンでは20年以上前から事務所やレストランでは全面禁煙となっている。
翌朝、ホテルのロビーでますは写真撮影
さて朝食だが、ホテルの朝食は一人1200円、4人で4800円は予算(全員で2000円)オーバーだ。外へ出ると、すぐにファミリーマートが見つかって、カップヌードルやサンドイッチ、それに大量のミネラルウオーターを買い求めた。しかし、レジに向かうと異様な風景があった。レジが3つあるのに客は遠くに一列に並んでいる。何をしているのだろうと思いつつ、空いているレジに行くと、「並んでください」と注意された。なるほど、客は三つのレジの手前で並んで、レジが空いたら前から順に会計するのだ。
まずは仕事。迎えに来ていただいた日本人の立派な車に乗せてもらって皆ごきげんだ
翌日、ジェーンは、そんなことはお構い無しにさっさとレジで会計をした。遠くからは「なんだ、旅行者なのか」という声が聞こえたが、きっと「なんとルールをわきまえないやつらなんだ」という冷たい視線を送っていたに違いない。ジェーンは中国系なので、日本人に見えるのだろう。さらに横断歩道を渡るとき、赤信号だが車が来ないのでジェーン一行は、信号が変わるのを待っている人々を尻目に躊躇無く渡ってしまう。人々はやはり「なんとルールをわきまえないやつらなんだ」という冷たい視線を送っていたに違いない。後からついていく私はうつむいて自分もフィリピン人の振りをしていた。
仕事が一段落したので昼食は回転寿司、やはり日本の一番のご馳走は寿司だ
KIANの好物はエビフライ、なんとエビフライの寿司があったのには驚きだった。どこでおぼえたのかKIANは箸で手品を披露している
客はわざわざ大トロとぼたんえびの寿司を注文してくれたが、彼らは手をつけず、私が全部たいらげた
皆、回転寿司の雰囲気にご満悦だった(ちなみにフィリピンには回転寿司はない)
夕方の用事まで時間が空いたので、観光目的のひとつだった熱田神宮を訪問することになった。ちなみに、ここは明治神宮、伊勢神宮と並んで由緒ある三大神宮だそうだ。神宮とは何かと聞かれ、困った挙句の果てに「神の住まう家、House of God」と説明したが、果たして正解なのだろうか、いままで神宮とは大きな神社という認識で、正確に何なのか考えたことも無かった。
都会の中にこんなに大きなスペースがあることにまずはびっくり
聖水で手を清めるという行為は、クリスチャンにもなじみの行為だ。KIANは寒さに震えている
本殿をまえに記念撮影
ちょうちんといういかにも日本的風景にご満悦の様子
本殿の横では結婚式が執り行われていた。KIANはなにも思ったか忍者のポーズをとっている
古い社の前で、座禅をしている彼らには神も仏も関係ないのだ
夕食が問題だった。栄町は繁華街で、どこもかしこも居酒屋ばかりでKIANの大好きなエビフライやフレンチフライはおいていない。しかも店内はタバコの煙でむせている。探しあぐねて、やっとファミレスのガストにたどり着いて、おなじみの料理をみつけた。KIANはフレンチフライとエビフライ、キムはスパゲッティ、ジェーンは野菜サラダと意中の料理を注文することができた。これで毎日、朝食はファミマ、夕食はガストという結論に落ち着いた。そのため、朝食が2000円、昼と夕食が5000円という予算におさめることが出来た。
ファミレスはフィリピン人旅行者の味方だ。ちなみにGUSTOとはタガログ語で「好き」という意味だ
フレンチフライを食べきれず、顔の絵を作って遊ぶKIAN