マニラ新聞によると、世界の空港を評価するホームページ「スリーピング・イン・エアポート」でアジアのワースト1の空港としてマニラ空港(NAIA)のターミナル1が選ばれたそうだ。世界のワースト1は、各地のワースト1が出揃ってから決めるそうだが、ターミナル1が選ばれる可能性が大きい。もっとも、昨年2011年の世界ワースト1は、このターミナル1だったから、よほどのことがないと、その地位は揺るがないだろう。
私もかねてから、世界でもっとも出迎えが難しい空港ターミナルと評し、その出迎え方法を、拙著「金無し...」やこのブログで繰り返し紹介してきた。ターミナル1との付き合いは1989年以来23年になるが、一向に改善の兆しがない。それどころか、退化していると言える。それに比べて、ターミナル2とターミナル3は結構まともなターミナルで、同じ機関が運営していると思うのだが、どうしてこうも違うのか。入れ物が古くて汚いとそこで働く人々の心まで卑しくなるのだろうか。
出発ターミナルビルの外には荷物検査を待つ長だの列。炎天下では苦行となる。さすが最近は改造して屋内に行列を取り込んだようであるが。
最近でも、空港警備の警官が乗客の荷物検査のおりに、隙を見て荷物の中の金目の物を盗み取るということを日常的に組織ぐるみでやっているのが発覚して、多くの警官が処分された。
私自身、一度、ベレー帽をかぶって、いかにも鼻の下の長いおのぼりさんの顔をして搭乗前の荷物検査に臨んだ。すると係りの人が「かもが来た」と目で合図を送り、別の係りの人が荷物を開け、中をごそごそと探っている。私がタガログ語で応答すると、「何だベテランか」とがっかりしたような顔をして係りの人は荷物のふたを閉めた。
到着客の案内と称して客に声を一生懸命かけているのは、タクシーと称してレンタカーを押しつけて、5倍くらいの運賃をふんだくろうともくろむ係り人だから、決して頼りにしてはいけない。
私が、最近客をターミナル1でご夫婦を出迎えたとき、天井からぶら下がっている看板のSの文字の下で待つようにと指示をして、ひたすら待った。そうすると電話がかかってきて、係りの人に案内されて、すでにパーキングエリアにいるという。係りの人とやらと話したら、私にパーキングエリアに出て来いと言う。顔も知らない客だから、そんなことをしたら、永久に会えなくなってしまう。
腹を立てて、「どうでもいいからSの字の下に客を案内しろ」と怒鳴ってなんとか事なきを得た。きっとこのご夫婦を「いいかも」とばかり、レンタカーか乗用車に乗せて法外な運賃を取ってやろうと、もくろんでいたに違いない。
到着ターミナルの人ごみ。原則としてここには出迎えの人は入れず、道路を挟んだ、出迎え人用の待合所で待たなければならない。だから知らぬもの同士がここで出会うのは至難の業なのだ。
とにかくここでは係りの人が一番やばいのだ。特に声をかけてきたら無視すること。ほいほいとついて行ったら事件に巻き込まれることだってありうる。私は一部のフィリピン人を除いて一般のフィリピン人は人を騙したり、金を不法にせしめようとするようなことは決してない、と思っているが、ことターミナル1については「人を見たら泥棒と思え」の諺どおりで、係りの人の言うことを決して信用してはいけない、頼りにしてはいけない、何か言われても無視することだ。
ターミナル1はPAL、Cebu Pacific、それにANA以外の国際便のすべてが到着するフィリピンの空の玄関だ。外国人は、ここではじめてフィリピン人に出会うことになるのだから、こんな係りの人たちにフィリピンの第一印象を左右されてしまう。これが、どれだけフィリピンのイメージに悪影響を与えているか、アキノ大統領には肝に銘じて欲しい。彼は、自分のお父さんの名前(NAIA=Ninoy Akino International Airport)が冠せられた空港をこんな状態に置いておいて言いと思っているのだろうか。
私なら、即刻、上から下まで、係りの人とやら全員を総入れ替えをするところだが。もっともいても客の役にたつことは何もしていないのだから、首にするだけでいいかもしれない。