Working Visa(9g)あるいはPeza Visa(47(a)2 )などで、フィリピンで働いていて、その後、退職ビザ(SRRV)を申請する場合は、これらのビザは、前もってダウングレーディングと呼ばれる短期ビザ(9a)への切り替えが必要となる。もし、それが終了している場合は、それらの手続きの書類をPRAに提出すればよい。
SRRV申請にあたって、PRAが要求する書類は下記なので、元の雇用会社に依頼して事前に準備しておく必要がある。
① 9g等のビザの発行の入管の決定書(Order)
② 9g等のビザの切り替え(取消し)の入管の決定書(Order)
③ 所得税の納税申告書(Income Tax Return)
通常、このダウングレーディングは前の雇用主の責任で行われるのだが、雇用契約終了後、ほったらかにされてしまうこともしばしばだ。そのため、ある退職者のたっての依頼で、当方が面倒見ることになった。しかし、それは、退職ビザの取得以上、予想を上回る難敵だった。とにかく、相手が入管であるということがことを面倒にしている。その手順は下記だ。その時々に色々な用紙に本人の署名を求められるので、それぞれのステップの申請ごとに本人同行が必要となる。
① ACR (Alien Certificate of Registration)の取消し;退職ビザ以外の長期ビザではこのACRの保持が義務付けられているが、これをまず、取り消さなければならず、申請レターとACR原本が必要。それに2~3日かかる
② 9gビザのダウングレーディング;申請レター(事前にNo Derogatory Stampを押してもらう)、雇用契約の終了の通知(雇用主に発行してもらう)、パスポートのコピー、9gビザ発行のOrder(Certified True Copyの証明をもらう)、②のACRのコピーとその取り消し決定書(Order)を添えて申請し、1~2週間かかる。ダウングレーディングのOrdeを受け取るとそこにはORDERED TO LEAVEという太文字があり、出国が義務付けられる。
③ 出国許可証(ECC, Emigration Clearance Certificate)の取得;ダウングレーディングに伴って準備・入手したすべての書類を提示して、出国許可証を申請する。これに一週間かかる。一般的に、6ヶ月以上フィリピンに滞在している場合、このECCを取得しないと出国できない。SRRV保持者はECCを免除されているが、フィリピン滞在中にSRRVを取り消したあと出国する場合は、このECCを取得しなければならないので注意が必要だ。
④ 出国;どこでもいいからフィリピン国外に出て、その日のうちにでも戻ってきても良い。しかし、フィリピンに入国する際はノービザで入るので、次の出国のチケットが必要となる。要は、一往復半のチケットを用意しなければならないことになるのだ。また、フィリピン入国の際は、決して9gビザののスタンプがパスポートに押されないように気をつけないと、再度入管に行ってスタンプの修正などという面倒なはめに陥る。
これらの手続きは、色々な窓口で少しずつ手続きを行い、一階と3階を何度も往復し、途方もない手間と時間が必要だ。しかも①から③の手続きは時系列で行わなければならず、準備完了まで、優に一ヶ月が必要となる。ちなみに費用は、チケット代を除くと、申請料だけで1万ペソ程度となる。
以上の手続きを無事に終えて、いよいよSRRVの申請にこぎつけたのだが、この方のSRRV申請は、不運が続いて、前回のブログで報告した「預託金の怪」が待っていたのだ。